今治裏庭の酔いどれ野郎
高卒ルーキーから即戦力として過ごした十数年の会社が倒産して2日経った。
オレは昼前に起床してベランダで煙草のケムリと共に外の空気を吸い込み空に目をやった。雲一つなく際限なく広がる青にケムリを吹き掛けながら未だに現実を受け止められないまま今度はため息を吐いた。現実を受け止められない理由として幾つかあったが、大きな理由の一つは、倒産した会社でつるんでいた先輩と呑みに行く約束であり、いつもどおり先輩と顔を合わせる事はオレの生活において"お約束"だったからだ。
一服終えて部屋に戻りカップ麺を啜りながらTSUTAYAで借りてきた「あぶない刑事」のDVDを見ているとLINEの通知を報せる着信音が鳴った。
今夜の場所と時間を改めて確認する親友からのLINEだった。この親友というのが変わったヤツで、インドアでオタク気質、下戸のくせに呑みに誘うと出てくるというヤツだった。
この親友とはオレの母を通じて知り合い、面白いヤツだなと思い友達になり親友になった。社会人になると友達なんて出来ないだろうと思ってたけど、二人で肩を並べて呑む事を繰り返すうちに親友になった。
ある時はやや酔いながらプロレスの素晴らしさを説き、実際に会場まで観戦に連れ出したりもした。オレはこの親友のことをパレハと呼びだしていた。




