ステータスを見ることにしました。
「起きてください!」
「……ん、ああはい……」
眠気眼をこすりながら、ベットから体を起こす。
「さ、早くいかないと遅れますよ」
「いや……いくらなんでも早すぎるでしょこの時間帯……」
「いえ、早めに行っても損はないのです」
「ないけどさ……」
部屋の隅にかけてある小さな時計に目をやると、針は五時半を指していた。
いや早すぎない? 俺の起きる時間が遅いことを差し引いても早すぎない?
普通早くても七時だよね……と、そんなことを思いながらも部屋から出て、朝ごはんを食べるために昨夜と同じ席に着く。
「はい、かつ丼です」
「かつ丼!? いまかつ丼って言った!?」
「言いましたけど」
さらっと言いのけるミーア。いや、いやいやいや、かつ丼って! あっちの世界の料理だよね!? あるの!? あのかつ丼があるの!?
と、机に載せられたのはどこからどう見てもあのかつ丼。
「…………」
「早く食べ終わってくださいね?」
「……あ、うん」
おぼつかない返事をしながらも、頭の中は目の前のことにくぎ付け。
「かつ……まじか」
置いてあったスプーンで、かつごとすくって頬張る。
「うっま」
思わず声が出る。それほど美味しい……てか、日本でもこんなにおいしいの食べたことないかもしれない……。
っていうか、米、あったんだ。この世界にも米ってあるんだ。
そんなことを考えながら、勢いよくご飯をかきこむ。
「ふう、ごちそうさま……」
「あ、早いですね」
「いやあ美味しかった……」
ふふ、と笑って、食器を下げてくれる。
「さ、早くいきますよ」
「あ、はい」
満腹でたぷたぷのお腹を抱えながら、連れられて外に飛びだす。
「すぐそこなので、すぐ着きますよ」
「じゃあもっと遅くてもいいんじゃ……」
「そういうことじゃありません! はい、走って!」
「ちょ、今お腹があああああああ!」
きつい! きついから! お腹が揺れて気持ち悪いからああああああああ!!
そろそろ死を覚悟をしたときに、ミーアがいきなり止まる。
「ごふっ!?」
頭が俺のお腹にめり込んでうずくまる。死ぬ……ごめんほんとに死ぬ……。
「着きましたよ……あれ? どうしたんですか?」
「死ぬ……まじ死ぬ……」
「あ、ごめんなさい」
「うん……許すけどちょっと待って……」
十秒ほど悶えてから、立ち上がる。
「ぐう、ふう」
「大丈夫ですか?」
「なんとか」
「では行きましょう!」
なぜかテンションが上がっているミーアに手を引かれ、着いたのは広い建物。
「ここがギルドです。いろいろあります」
「なんとなく想像がついてしまう……」
たぶんだけどゲームとかのあれだよね。クエストの手配とかしてくれるあれ。
「では行きましょう!」
「テンション高くない?」
「そ、そうですかね?」
「結構」
「こ、これが普通ですよ! 早く用事を済ませましょう!」
と、ギルドにずんずんと入っていくミーア。それについて行く俺。
ギルド内は……なんていうか、ゲームそのままみたいな感じ。
食事するところがあって、クエストの内容が書いてあるであろう紙が貼ってあるボードがあって、カウンターがあって、受付の女の人が居て……。
……いや、なんていうかモン○ンの集会所みたいなところだわ。てか思いっきりそうだわ。
と、カウンターに進んで、受付の女性に話しかけるミーア。
「すみません、この人のレベルを計りたいのですが」
「冒険者登録ですね、了解しました」
「若干違うのですが……まあそれでいいです」
「ちょ!? いま投げやりに答えたよね!?」
「あんどうすすむさんでお願いします」
「無視して進めるなあああああああ!!」
分からないうちに話が進んで、謎の機械に連れて行かれる俺。
水晶の下で歯車が回っている、周りの景色に似合わない近未来的な装置。めっちゃかっこいい。
「これに10レイベル入れてからそこに手をかざしていただくと、カードが出てきますので、それが冒険者カードとなります」
「いや……はい……」
手持ちに1000万しかありませんとは言わずにお金を投入する。
「これで手を……」
光っている石に手をかざすと。
「ぺっ」
「は!?」
吐き出すようなSEがなって、カードが排出される。
「今吐いたよね!?」
「ギルド長の遊び心です」
「遊ぶにしてもなんかほかにあっただろ! なんか汚い!」
ギルド長さん、どんな人かは分かりませんがこれどうにかしてください……。
カードが汚い物に見えそうだったので思考停止して、カードを手に取る。
「えっと……ああ、こんな感じになってるんだ」
上に俺の名前が異世界語表記で入ってて、その下に体力とかが書いてある。
「んっと、体力が1000万……1000万!?」
いっせ……え!?
これ神様のあれだよね!? あの時のバフのおかげだよね!?
なんなの、お金といいこのことといい神様1000万好きなの!?
「どうですか? どれくらいですか?」
「いや……うん、これぐらい」
「あ、やっぱりそれぐらいでしたか。予想通りです」
「予想通りなのかよ!」
「まあレベルからしてこれ位が普通ですね。それでも驚異的なステータスですが……」
あ、レベルどれくらいなのかな。
と、カードに目を走らせる。一番下に記入してある数値は。
「また1000万かよ! どんだけだよほんと!」
ってよく見ればほかの攻撃力やら防御力やらも1000万じゃねえか! 好きすぎるだろ神様……。
「ギルドに詳細な数値を保存しますので、一旦カードをお預かりしますね」
「あ、はい」
と、カードを手渡す。
と、次の瞬間。
「えええええええええええええ!?」
ギルド内に、受付のお姉さんの大声がこだました。