インパクトの強い食事をとることにしました。
武器屋から出て、空を見上げてみる。
「うわ、暗くなってきてる……」
武器屋で意外と時間を食っていたみたいで、外はもう日が沈み始めていた。
「早く宿に戻らないと……」
小走りで宿に向かう。幸いまだ時間が余っていたようだった。
「ああすすむさん、あと少しだけ時間がかかりますので」
「あ、はい」
そこに座っていてください、と言われたので、机に座って待つ。
……前から気になってたことなんだけど、異世界の食べ物って大丈夫なのか? ほら、免疫とかいろいろ。
と、ミーアさんが木皿に載っている料理を持ってきた。
「お待たせしました、サケ煮込みのから揚げです」
「サケ煮込みのから揚げ!?」
とんでもないパワーワードじゃねえか! 危ないにおいしかしない……。
「それと、クマ肉の鍋煮込み揚げです」
「めっちゃ揚げるじゃん! パワーワードからの煮込み揚げ好きなの!?」
油もの多すぎだろ!
「それと、炭酸ジュースです」
あ、ここは普通なんだ……。てか炭酸ジュースなんてあるんだ……。
四矢サイダーのような透き通った色をしている。普通に美味しそうだ。
「い、頂きます……」
付いてきたフォークのようなもので、まずはサケのほうを一口。
「うおお、美味い……!」
煮込み、というのがよく分からないけど、普通にから揚げだ。すごく美味い。
いや本当に煮込みってなんなんだよ。煮込んでないじゃねえかよ。
気を持ちなおして、次はクマのほうを一口。
クマだからと抵抗があったものの、食べてみると意外と美味しい。
…………相変わらず、煮込みが何なのか分からないけど。
「あの、ミーアさん、この煮込みってなんなんですか?」
「え? ああ、なんかかっこいいじゃないですか。高級料理っぽくて」
「……」
……いや、おかしいよね? かっこいいからって……え?
「あのさ、そんなことしたらお客さんに誤解が生まれますよ?」
「良いんですよ別に、ここにはお客さんは来ないんですし」
少しさみしそうな顔をするミーアさん。
「あ、すいません……」
「いいんですよ別に」
と、俺の顔を見て。
「というか、なんで私に向かって敬語で話してるんですか? 私年下なのに」
「え? ああいや、なんていうか癖っていうか……」
昔からどういう人にも敬語で喋る癖があるんだよなあ……。いろいろあったし、いろいろ。
「別に普通に話してもらっても構わないですよ。私こそ才能レベルで敬語が刷り込まれてますけど、すすむさんはそうではないですよね?」
「あ、いや……うん」
「それでは、どう考えても年上の人に敬語を使われて恥ずかしくなるのは終わりになるわけです」
「あ、恥ずかしかったのね」
「そりゃそうですよ。あ、名前も呼び捨てしてもらって構わないですよ。そっちのほうが自然ですし」
「そ、そう……」
と、ミーアさん……改めミーアがぺこりとお辞儀をして。
「短い間ですがよろしくお願いします」
「あ、うん……よろしく」
とりあえず、なんかよく分からない状況で、女子を呼び捨てにすることを許されてしまいました。