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逃がしてしまいました。

ミーアが寝ている横で、これからのことを考える。具体的に言うと、どうやって村の人たちを守るかだ。


 さっきの商人と戦っているときに確信したけど、多分そこらの人と対人戦になっても負けないと思う。あれだけの人がうじゃうじゃいるとは考えにくいし。


 それに俺は戦い慣れしてないのに太刀打ちできた。このことから考えると、俺がもっと戦えるようになったら負けなしになるんじゃないか? まあ、ほとんど神様が上げてくれたステータスのおかげだろうけども……。


 とにかく。今はそれは置いておくとして、問題は数で攻められたときのことだ。


 レイジスト“領”って時点でかなりの数の敵がいると予想できる。俺が倒せるのは、多くても十人前後だ。何十って攻められたら勝てないと思う。


 いや、勝てることは勝てるのかもしれないけど。……全力投球で攻撃すれば。


 今の所俺の全力って言ったら、火竜を倒した時だ。


 いや、言い方を変えよう。火竜を“殺した”ときだ。


 ……はい、要するに人を殺すとか無理です。まじ無理ですホント。勘弁してください……。


 まあそういうことで。手加減……というか弱めに調節して戦うとかとてもじゃないけど無理だ。


 で、ライトとレイさんの二人はそもそもこの村を護衛しに来たってことだから戦闘に参加してくれると思う。それでも、せいぜい三十人程度じゃないか?


 相手が極端に弱かったりすればこれも変わってくるだろうけど、まあその時はその時ってことで。


 とりあえず、ライト達とちょっと話してみよう。あと戦い方とかいろいろ教えて貰いたいな。


 ……って、二人ともどこ行ったんだろう。商人をどこに連れて行くのか聞いてない……。


 とりあえず、テント一つずつ確認していくか……。


 村が小さ目だったことに感謝しながら、端っこから見ていく。


 と、案外すぐに見つかった。外だったけど。


「進がどうしてこんなとこにいるんだ?」


 俺に駆け寄ってくることに気づいて、ライトが声を掛けてくる。


「ちょっと用があって……って、何してんの?」


「いや、こいつをどうするかなと思ってな」


 ぐったりとした商人を指さしてそういう。


「睡眠魔法で眠らせたところまではよかったんだがな、どこに捕まえておこうかって悩んでるんだ」


「なるほど」


 物騒な言葉が聞こえた気がするけどスルーして。


「もうずっと眠らせておこうかと思ってるんだけどな」


「ま、まじか……」


 怖いんだけど、結構怖いんだけど。


「それしか思いつかないのが困るな……」


 レイさんも悩んでいるようで、うーんとうなっている。


 と、商人が体をピクッと震わせる。


 睡眠魔法が解けたのかな、と俺が考えた


 次の瞬間。


「ッ!?」


 俺の目の前に一瞬で移動する商人。縛られていたはずの手はいつの間にか自由に動いている。


「こんな拘束で抑えておけると思っていたんですか?」


 俺にそういって、真逆の方向へ突っ走っていく商人。


「……え」


 二人も茫然としている。そのせいで反応が大きく遅れてしまった。


「な、どうやって……」


 逃げられた今ではそんな疑問後の祭りで。


 俺達は商人を、見事に逃がしてしまった。

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