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異世界転生することにしました。

「ああごめん、ちょっと間違えちゃって」


 道を歩いてただけなのにトラックに吹き飛ばされた俺は、なんかよく分からないところに居て、なんかよく分からない人にそう言われた。


「えっと……え?」


「いやあ、ちょっと時間軸巻き戻そうとしたら間違えて加速させちゃってねえ」


「あの、意味わかんないんですけど」


「なんでかわかんないけど、君だけ時間軸の加速の影響を受けなくてねえ。トラックが轢いちゃった」


「だから意味わかんないんですけど!?」


 ん?と、目の前の女性は首をかしげて。


「ああ、そういえば君はなんでここに居るのかってことが分からないんだったねえ。そこから説明しないと」


「いや……まあ、はい、よろしくお願いします?」


「ふむ、よろしい。まあ簡単な話なんだけどねえ」


 と、女性は俺を指さして。


「安藤進くん、君は死んだんだ」


 そう言った。


「原因は、さっきも言ったように時間軸の影響。ごめんねえ、私のせいで」


 謝ってはいるものの、全く誠意が感じられない……。


「ああ、私は誰なのかってのもあるねえ」


 と、俺が答える間もなく言葉を発する。


「私はねえ、君たちの言う、いわゆる神様ってやつ。こっちの世界の最高神なんだ」


 ……いや、いやいやいや。


 いや待って、ホント待って? 神様? なんだそれ、ていうか俺が死んだ? え?


「まあ戸惑ってると思うよお。そりゃあ普通の人だったら驚くよねえ」


「いや! 驚くどころじゃないから!」


「そうだよねえ、驚くどころじゃすまないよねえ」


 どこか達観したように言う“神様”に、若干怒りを覚えながらも。


「まず、俺はどうなったんですか?」


「ん? さっきも言った通り死んじゃったよ。もっとも、体は別の所に飛ばされちゃったけどねえ。時間軸に巻き込まれずに逆らうとか、一体どんなことが起きたのかねえ」


 専門用語のようなものが飛び出してきてきて戸惑うなか、なんとか聞き出せたことが一つ。


 俺は、死んだ。死んだのか。


「ごめんねえ、理解してねえ」


「理解できねえですよこんなこと……」


 不思議とその事実を受け止めることはできている。……じゃあ、二つ目の質問。


「その、神様ってなんですか?」


「君もよく知ってると思うよお。そのままの意味で、神様」


「……まあ、俺とこんな話してる時点で普通じゃないとは思いますけども」


「理解が早くて助かるよお」


 と、うなずく自称神様。


「それでねえ、君に聞きたいことがあってねえ」


「なんですか?」


 と、神様が俺の目をまっすぐと見て。


「君、生き返りたい?」


「生き返りたいです」


「即答だねえ」


「そりゃそうですよ」


 と、わざとらしく悩むような仕草をする神様。


「まあそういうと思ってねえ、一応生き返るようには手配してあるんだけどねえ」


「……?」


 と、申し訳なさそうな声色で。


「ごめんねえ、元の世界には帰れないんだあ」


「……え?」


「本当にごめんねえ」


 ……この展開、見たことがある。確かほら、ライトノベルとかでの定番と言えば……。


「それでねえ、生き返るってなるとねえ、生き返るところが」


「異世界!」


「う、うんよく分かったねえ。正確には別次元の世界だけどねえ」


「いや……定番なんで……」


 驚いたような神様。


「で、どうする?」


「いや……どうするって聞かれても……」


 急には決められないだろ。第一、理解が追いついてない……。


「うーん……じゃあ、冷静になる魔法かけてあげるねえ」


 神様がそんなことを言うと。


 すーっと、今までのことが理解できてきた。


「ああ、ついでに順応能力もあげといたよお。ここで躓かれたら大変だからねえ」


「あ、ありがとうございます……」


 お礼を言って、さっきのことを考える。


 ……驚くことに、結論は一瞬ででた。


「えっと、異世界? でもいいので生き返ります」


「うん、きみならそういうと思ったよお」


 神様は満足げにそんなことを言うと。


「んじゃあ、あっちの世界に適応できるように魔法かけておくねえ」


「あ、はい」


「それと、あっちで困らないようにお金と、あとはある程度の戦闘ができるようにしておくねえ。死なれたら困るしねえ」


「あ、ありがとうございます」


 神様からいろいろ施される。いや、なんかラノベのような展開だな……。


「よし、これでおっけーだよお」


 と、手をあげる神様。


「それじゃあ送るねえ。迷惑かけてごめんねえ」


「い、いえ……」


「優しいねえ」


 と、急に俺の頭をなでる神様。


「じゃあねえ、行ってらっしゃい」


「あ、はい、行ってきます」


 なぜかそんな挨拶をした瞬間。


 周りが真っ白になって。


 俺は、意識を失った。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

次回も読んで頂ければ幸いです。

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