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僕の家には秘密がある  作者: 玖龍 眞琴
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07_黒竜歴517年5月1日

「あれ??アリアちゃん何してるの??」


僕はいつもの日課で魔法の練習をしようと川に来た。

そしたら、いつもは居ない子がそこにいた。


「わっ!・・・なんだ・・・シウゴか・・・びっくりさせないでよ」


その娘は僕の家のお隣に住む女の子

アリア=ロンド

僕と同い年(数か月?僕が先に生まれたけど)で

僕よりもちょっと背の高い女の子

お母さんが言うには女の子の方が先に背が大きくなるらしく

『そのうち追い抜いちゃうから、今大きいからってバカにしちゃだめよ』と言われたことがある


「びっくりは僕のほうだよ~~いつも僕この時間にここにいるのに誰かいるんだもん」


「あら、私が来ちゃダメなのかしら??」


魔法の練習ができなくなるから、ダメって言いたいけど

そんなこと言ったら絶対、アリアは拗ねちゃうからなぁ


「ダメってことはないよ~~何してるのかな?って」


「ちょっとねーお父さんと喧嘩しちゃって」


「えっ?喧嘩?!アリアちゃんと先生が?!」


アリアのパパはこの村で唯一の先生だ

教会に教室を開いて、「学校」をやってくれている

算数や言語や魔法、剣術なんかも教えてくれて

何でもできるすごい先生だ。

・・・人間にしては、だけど


「聞いてよ、シウゴ・・・うちのお父さんは私が騎士になるのを反対するのよ??」


「そりゃあ・・・アリアは・・・ねぇ・・・」


昔からアリアは気が付いたら『騎士になりたい』って言っていた

その為の剣の訓練や体術けいこはまじめにやっているのも知っている

だが、あまり成長していない

アリアは近接より明らかに魔力の多い魔導士タイプなのだ


「わかってるわよ・・・私が魔導士のほうがいいことくらい・・でもね!憧れなのよ!!聖騎士サウザー様・・・」


うっとりとした顔で、聖騎士の名前をあげる

その昔、この村に訪ねてきた、聖騎士団の女団長さん

確かにかっこよかったけど・・・うちの母さんほどじゃあないしなぁ・・・なんて思ってみてた


「まぁ・・・憧れは良いんだけどさ・・・もう6歳なんだし、現実みなきゃ」


「いやだ、シウゴまで・・・いいじゃないの!!頑張ればなれるわよ!って応援してくれても」


そういいながら、腰に携えていた木剣を振りかざし、川に向けて振り下ろす


「なるほどね・・・ここには剣の練習しに来たのか」


「そうよ、今日からはここで練習するわ・・・家の近くだとお父さんがうるさいんだもの」


えっ?!やめてくれよ・・・僕の魔法の訓練ができなくなっちゃうじゃないか

とはいっても、アリアは結構意固地だからな・・・来るなって言ったら絶対来る


「で、シウゴはここに何しに来たのよ?」


・・・しょうがない、正直に言うか・・・半分だけ


「僕は魔法の練習だよ・・・人を巻き込んじゃったりしたら危ないからここでやってたの」


本当の姿になるのはやめて、、、は言わなかった

アリアにも僕の正体は秘密・・・幼馴染でも絶対にびっくりしちゃうからね


「ふーん・・・私にケガさせないように頑張ってね。コントロールの練習練習!」


「それができるなら初めから練習しないってば・・・もう・・・」


ほら、こうなると思った・・・

全力で練習できないとあんまり意味ないからなぁ・・・うーん・・・どうしようかな・・・

今日はごまかして、他に練習できる場所を探そうかな・・・


--------------------------------------------------------------------------------------------

「・・・あぶなかった・・・」


川に来て、本気を出そうと思ったら

まさかシウゴが来るなんて思わなかった・・・

木剣を持っててよかった・・・


私はアリア=ロンド

いたって普通の女の子

聖騎士にあこがれて、ちょっと人より魔力が高くて

ちょっと世間知らずな田舎娘


それが私の『設定』




「・・・聖騎士、あんまり興味ないんだけど、いつ撤回しようかしら」


私の家族には秘密がある。

それはお隣さんのシウゴにも絶対に言えない秘密。

あたりの気配をうかがいつつ、私は背中に意識を集中する。

背中の魔力を開放しつつ、私は文字通り『羽を伸ばし』た

背中からは真っ白な羽が伸び、その羽からは信じられないような神々しい光が放たれる。


私のお父さんはこの村で唯一の先生だ

いろんなことを知っていて、魔法も剣術も得意

常に冷静で穏やかで、誰にも怒ったりせず

それでいて、ちゃんと説得をする、村の先生だ


私のお母さんはこの村で唯一の医者だ

弱いながらも治癒魔法と解毒魔法が使えるので

この村で起きた事件、事故に対して

いつも走り回っている。

教会の聖女のように強い魔法は使わないが

村の人たちにいつも頼りにされる。村の先生だ


でも、私の家には秘密がある


私の体には天使の血が流れている



父は天使だ

天界に住んでいた父は知の天使と呼ばれ

人間界でいろいろな知識を残すように図書館で働いていた

そんな中で、ふと出会った「人間」の母に出逢い恋をした


彼は、一介の図書館職員として、働きながら

人として母に何度も何度も会いに行った。

数年のアタックの末、彼は母の心を射止めた

彼は自分が人間と結ばれれば堕天することを知っていた

それを覚悟し、天使であることを隠し、「人間」の母と結婚し堕天した。



だから私の体には天使の血が流れている



母は天使だ

人間界で暴挙を働いていた国に滅ぼされそうになっていた良国を

見捨てるわけにはいかないと、戦の天使としてこの国にやってきた

無事に敵国を追い返し、その後始末をしている中、「人間」の父に出会った

「人間」にしては深い知識を持つ父に惹かれ、その父の様子を見て

「人間」により肩入れをしたくなり始めた。

そんな中、自分を天使と知らないからか、

敬意より愛情を注いでくれた父に興味を持ち、

父のプロポーズを受けて、ともに生活をするようになった。

彼女は自分が人間と結ばれれば堕天することを知っていた

それを覚悟し、天使であることを隠し、「人間」の父と結婚し堕天した。




私の体には天使の血が流れている



父は知らない

私が生まれたときに「自分が天使だから」天使の羽が生えて生まれた私に違和感をもたなかった


母は知らない

私が生まれたときに「自分が天使だから」天使の羽が生えて生まれた私に違和感をもたなかった



お互いに

「天使の祝福を受けたのか」と喜び合った

私は生まれた時から「天使であること」を隠すように諭された

私自身、物心が付いたときには天使の羽を隠すことが当たり前になっていた



母は知らない

父が昔、私に自分が知の天使だったことを明かし、羽を見せてくれたことを


父は知らない

母が昔、私に自分が戦の天使だったことを明かし、羽を見せてくれたことを



父は私を人と天使のハーフと思っている

母は私を人と天使のハーフと思っている


父は知らない

母も知らない

私は純天使だということを

ハーフではなく、純粋な天使であることを


父は知らない

母も知らない

私が実は何度も天界に呼ばれていることを

既に「風の天使」の称号をもらっていることを


父は知らない

母も知らない

自分たちが実は「堕天していない」ということを



父にも母にも秘密であると天界で念押しされて

天界では面白おかしくみられているということを私しか知らない


私の家には秘密がある

平凡な田舎の村の

秘密のある、とても不思議な家のお話

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