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僕の家には秘密がある  作者: 玖龍 眞琴
2/10

01_黒竜歴522年3月2日

2018年

あけましておめでとうございます


今年度からこの作品もちょっとちょっと進めていきます。

【石】よりもこっちのほうがもしかしたら進むかもしれません

なにとぞ、よろしくお願いいたします。

とある森には謎がある

他の森に比べて比較的平和である

他の森に比べ、モンスターの総数が少ない

夏場なのに氷が散らばっていることがある

春先に起きるはずの魔物の群衆暴走スタンピードもここ10年発生していない


そんな田舎の森のお話


----------------------------------------------------------------


雪も溶け始め、あたたかな日差しが差し込む時期になり

そろそろ巣穴から出てくる動物や魔物が増えてくる時期

父は明日から森での狩りを再開する。


僕は狩りの準備をする父の隣でそのお手伝いをする。

武器のお手入れは危ないから、と父がやって

僕は防具のお手入れをする

父がいつも使う革の鎧だ

戦闘中に壊れたりしたら大変だから

30分くらいかけて、防具の耐久や

しめ縄の張り直しなどをする


「おとーさん、これでいい??」


鎧を見せて、父の顔をうかがう

剣を横に置き、鎧を受け取ってマジマジと見渡し

状態を確認する。


「手入れが随分うまくなったな、ありがとうな。これで大丈夫だ」


ニコニコと笑いつつ、頭をぽんぽんと撫でてくれる

父が褒めてくれて心底うれしい…

でも、僕はそれを隠すように目をキッと細くして

ちょっとだけ怒ったふりをする


「おとーさん、もう1年もお手伝いしてるんだよ?それに、僕ももう10歳だからね!子供じゃないんだ!」


「おっと、そうだな。ゴメンゴメン」


ちょっとだけ焦った父を見ながらも、僕もニコニコと笑顔を返す

そんなとき、後ろから母が声をかける


「ほら、シウゴ。お父さんを困らせちゃダメでしょ?それにもう遅いからそろそろ寝なさい」


「はーい、ごめんなさい」


あたたかな家族団らんの一晩を過ごし

明日から父は「仕事」を始める。

でも、僕は知っている。

父が手入れをしている剣はほぼ使われないことを

僕が手入れした鎧はほぼ意味がないことを


僕の父は魔族だ

この村の森にいる魔物は強くてもせいぜい討伐レベルが20程度

冒険者レベルがDであれば十分に倒せる


「おとーさん、明日気を付けてね。おやすみなさい」


「はい、おやすみ…シウゴも明日からお勉強頑張るんだぞ」


「はーい」


-----------------------------------------------------------------------------------

俺には秘密がある


これは妻にももちろん教えていない。教えるわけにはいかない。

息子には伝えた。彼は『知っておかなければならない』から


俺は『魔族』だ

しかも、そこらにいる魔族ではなく、六騎魔王と呼ばれる最強種の一人

氷のファブラの長男。

俺の父の魔力と同等レベルを引き継いだ、次期六騎魔王の一人。

そんな俺が、今は『人間の家族』をやっている

『人間の父』をやっている。


「よし、じゃあ行ってきます」


「はい、お弁当。気を付けてね。冬眠明けで気が立っていると思いますから」


「そうだな、無茶はしないようにするよ」


妻から弁当を受け取り、家を後にする。

こんなやり取りももう10年になるのか…時がたつのは本当に早いもんだ

まぁ、250歳も超えれば10年なんてあっという間だが…

本当に楽しい10年間だったな。今までの魔生がウソのようだ。


こんなやり取りも、妻が死んでしまうだろう後40年くらいしかできないのが悲しいことだ…

シウゴもそろそろ独り立ちさせるために狩りの仕方や魔力コントロールをちゃんと教えないとな

特に『魔王の血』を引いているんだ…そこらの人間には絶対に制御できないしな…

そんなことを考えながら、森に入る…

魔力探知をすると、森の中の動物・魔物の気配が伝わってくる


「さて…本気で頑張らないとな」


武器として、近くにあった木の枝を手に取り、折る

六騎魔王の一人、氷のファブラの血を引く自分がこの森で『本気』になること

それは……





「…くそ、やっぱり鈍ってる。僅か3か月やってなかっただけなのに」


自分の周りの木々が枯れ、一部氷漬けになっている

そこにいたであろう魔物は出来上がったクレーターと共に粉々に粉砕されている

力がありすぎる自分がやること…それは全力の『ちょうどいい手加減』

ちょっと力を入れれば指先一つでクマも爆発四散してしまう

かといって家族にやるように完全に力を抑えると当然まったくのノーダメージ

これを『原型を残したまま倒す』ことが本当に難しい…


「勘を取り戻すのに一週間くらいはかかるかなぁ…」


息子が手入れをしてくれた鎧に軽く泥を付けたり、

襲ってくる魔物がいれば、『わざと』魔物の攻撃を受けて傷をつけたりとし

何度か攻撃を受けてから、一撃でうまく昏倒させるように木の枝を振る


そして、爆発四散


「…くそ、また失敗した…おのれ…」


不器用な自分に多少腹立ちつつも、冷静に木の枝を振る。

枝が折れない程度の速度で触れれば…と思って振っているが

既に今日は7本目である

すなわち、大型の動物や魔物を7体爆発四散させているということになる…

余波を受けて多少なりとも森の形が変わっている…


「調子悪いし…今日は引き上げるか…はぁ、ダメ旦那だって呆れられないよな…大丈夫だよな…」


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この森には謎がある

生い茂る木々の枝が誰かにへし折られたような跡がある

周りに岩も何もない、小さな荒野が点々としている

流れる川にはところどころ深い深い穴がある

夏でも他の森に比べて涼しくて過ごしやすい


そんな不思議な不思議な森のお話

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