もしも矛盾の矛が最強ならば...
テスト期間中の休憩時間に思い付いたネタを小説にしてみました。
今日か不幸か幸福か。
そう考えるのが最近俺の中で流行っている事である。
....のだが、今日はよくわからない日である。
順に追って話をするため、とりあえず昨日の話でもしよう。
─── 一日前....
自己紹介をしよう。俺は矛売りだ。あれ、以外に短いな....。まあいい。
今、俺が何をしているかと言うと、矛を売るため、市場に行って店を出しているわけでも無く、ただ出かけていた。
サボるなだと?残念、今日は市場が休みなんだ。
というわけで、さっきも出かけていると言ったが、具体的には町の外にある神殿へときて見たわけだが.....
「おぉ、たくさんの物が置いてあるな....」
神殿の中に少し入り、あたりを見渡す。
「これだけいろんな物があるならこれ全部持って帰って骨董屋でもしてやろうか..?」
置いてあるのは壊れた壺と壊れた皿と...前言撤回。やっぱり骨董屋はやめだ。
「とりあえず、もっと奥に入ってみるか。」
しばらく神殿をぶらついていると、あるものを見つけた。
「おお!これは...槍か?てか、何で刺さってるんだよ。」
地面には槍が刺さっている。もしかして罠か?などと思ったが、周りには何も無いので多分違うと思われる。
というわけで、これを持って帰る事に決める。これを売り物に出せばそこそこの値段で売れる気がする。
「にしても何だこの形は。」
改めて槍を見る。だが、ただの槍とは言いにくい。二本の漆黒の金属の棒が渦を巻くようにねじれあい、その先には二又に分かれている。
だが、こんなものだからこそ、魅力があるような気がする。
「よし!早速抜くぞ!.....おっりゃぁ!.....とう!...せいやぁ!....。駄目だこりゃ。」
うんともすんとも言わねぇな。
......すんぐらい言えよ!
「ちっ!しょうがない。帰るか。」
そう言って俺は槍に背を向けて帰る......わけねぇだろうが!
そう思い、怒りとともに壁に蹴りを入れる。
ドスッ!
俺の蹴りが壁に突き刺さる。
「にしてもどうやったら抜けるんだよこれは....あれ?抜けてるじゃねえか。」
俺が改めて槍を見ると、抜けていた。
「まさか抜けてるとはな!まあ抜けてるんだし早速持って帰るか!」
何これ、俺盗賊みたい。
もうこの際何でも良い。とりあえず持って帰ろう。
そう思い、槍に手を出す。
「...何じゃこりゃ。重すぎだろ。」
これまたうんともすんとも言わない。
「ふんごぉ!」
槍を持ち上げる事に必死で謎の掛け声が出たが、ようやく持ち上げられた。
それから、俺は、槍を引きずりながら持って帰った。
──そして今。
今は俺は市場にて昨日の槍を売ろうとしているのだが。
「この盾をご覧あれ!これはどんな物の武器だろうと、貫けやしません!」
そう、隣に店を開いていは盾売りである。こんな所で一緒になるとは...ついていない。
なぜなら、俺もこの槍を最強の槍として売ろうとしていたからである。
...ん?あれ、今気がついたんだが、俺矛売りじゃん。まいっか。ノリと勢いで売りこんじまえ!
「では、こちらもご覧あれ!この槍は何でも貫けるという代物!買うなら今だ!」
俺に続き、盾売りもアピールをし、それに続き俺がアピールする...と、言うのを続けていると、ある客が俺と盾売りに向かって言う。
「では、その槍と盾、ぶつけたらどうなるんですか?」
さすがにその言葉にどちらとも押し黙ってしまう。だが、謎の自信で俺が言う。
「では、実際にやってみようじゃありませんか!」
俺と盾売りが広場で向き合う。
「では、いくぞ!」
俺の威勢のいい声に、周りに集まっていた客が声を上げている。
盾売りはといえば、盾を構える。
「ふんごぉ!」
相変わらず重い槍を振り上げると、盾めがけて槍を振り下ろす。
振り下ろされた槍は盾に当たり....
まるで水の膜を破るように貫く。
ゴガァァ!!!
その音と同時、槍はそれだけでは足りないと言わんばかりに周りにある全ての物を吹き飛ばした。
そして、広場にポツンと残された俺はこうつぶやいた。
「俺は、嘘をついていない。」