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(旧)マル才  作者: 青年とおっさんの間
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顔出し中は好きにやらせていただく 25

「そんな… ミスター・サムライまで…」



動けない俺の機体を歩美と西野が担ぎ出してくれて、補給エリアまでは何とか戻ることができた。


あの場を離脱できたのも、ミスター・サムライの決死の特攻のおかげだ。



「補給ポイント見えてきたわ!」

「もう少しよ、勇志!」



歩美、西野…


この2人は何としても俺が助けると息巻いていたのに、こうして2人の足を引っ張って…



「ごめんな2人とも、迷惑かけて… 俺は… 俺は誰も守れない、弱い人間だ… 」


「バッカじゃないのッ!?」

「西野?」


「莉奈の言う通りだよ、私たちはずっと勇志に守ってもらってたよ? それに守れないことが弱さじゃない」


「そうよ! 私にも歩美にも、もっと頼ってよ!? 自分1人で全部背負って、無理して… 」


「一緒に悩んで、一緒に考えよ? 自分に出来ないことを誰かに頼れることは強さだと思うから」



そうか、そうなんだ…


俺は全部自分1人で抱え込んでいたんだ。自分1人の問題じゃないのに。


守ってやらなきゃって、2人を下に置いて…. 1人で突っ走っている俺を支えてくれてたのは、俺が守ろうとしていた歩美と西野だったんだ。



「ありがとう、歩美、西野… 少し気が楽になったよ」

「少しだけー?」


「か、かなり!すごく!とても!!」

「フフフッ… 」



本当に2人には頭が上がらないな。ミスター・サムライの為にも、みんなの為にも、このデスゲームをさっさと終わらせてやる!



「遅かったじゃないか?入月勇志くん!!」

「え?」


「キャーーーッ!!!」



西野のヴァーチェカスタムが突然宙に打ち上げられ、そのまま爆発する。



「西野…. 西野ーッ!!」

「莉奈!!??」



何だ?何が起こったんだ?何で西野が?さっきまで一緒に笑ってたのに…



「おや、手加減したつもりだったのだが、いまいちパワーバランスの調整がうまく出来ないようだ」


「郷田ァア、貴様かッ!? 貴様が西野をッ!!」



空よりゆっくりと目の前に降りてくる白い機体、unknownとダンガムを融合したようなフォルムに天使の翼を8枚羽ばたかせた姿は、まるでこの世界に遣わされた神の使いのような、そんな幻想的な姿。


だが、今の俺にはすべての元凶であるコイツに憎悪しか抱くことしかできない。



「おやおや、怒らせてしまったかな。私は君に絶望を味あわせてあげたかっただけなんだが、まだ刃向かう意思があるようだね」



郷田のunknownダンガムがそっと左手を上げ、歩美のデュナメスヴァルキリーに向ける。



「ならば、目の前でもう1人も失えばどうなるのか試してみよう」


「悪趣味もここまでくれば大したもんだな」

「誰だ!?」



俺の横を猛スピードで横切り、郷田のunknownダンガムに斬りかかる赤い機体。1本角に緑色に光るモノアイ、流星のような流れるフォルム。間違いない赤星レンの機体、シナンシュだ。


郷田は咄嗟に右腕からビームのサーベルを出現させ、レンの機体と鍔迫り合いになる。



「おい、歩美とか言ったな。そこの動けない奴を連れて補給ポイントまで戻れるか?」

「でも!」


「他の奴もすぐ追って来る、早く行け!」

「わかったわ!」

















「おやおや、誰かと思えば赤星レンくんじゃないか」

「まさかアンタ自らボスとして出張って来るとは、開発者ってのは何でもありなんだな」



鍔迫り合いを解き、お互いに距離をとる。



「やはり最後は自らの手で下したいと思うのは開発者としてのエゴだよ、それを理解してくれとは思わない」

「傲慢だな」


「さて、長話はこの位にしておこうか」



unknownダンガムが両手と翼を広げて宙に浮かび始める。何かしらの攻撃を仕掛ける前の予備動作か?



「赤星ッ! 遅そくなった、いや正確にはお前が速すぎるんだが… 」

「さすが赤い流星の二つ名は伊達じゃないっスねー」


「遅かったなロック、翔太、他の奴らも来たか。ところでアイツなんだが」


「あれがラスボスってわけっスねぇ? 」

「ああ、しかも郷田宏人が乗っている」


「何ッ!? 丁度いい!あっ、アイツには1発お見舞いしてやらなきゃ気がす、済まねえってんだ!!」


「声が裏返ってるっスよ、ロックさん」



続々とunknownダンガムの周りにプレイヤー達が集まってくる。さっきの入月と連れの女以外、残ってるプレイヤー全員だ。



「いきなりメインディシュを頂くのは勿体無いということにして、まずはオードブルから頂こうか」



郷田の台詞とともに、unknownダンガムを中心にほとんど透明な光の球体が出現し、unknownダンガムを覆う。



それを待たずプレイヤーたちが一斉に動き出し、unknownダンガムに集中砲火を食らわせる。


しかし、ビームも実弾もunknownダンガムから発せられた光の球体に阻まれ、焼け落ちていく。



「バリアフィールド!?」

「半分正解だが、半分外れだ」



unknownダンガムを包んでいた光の球体が突如その範囲を広げて、一瞬で周囲にいたプレイヤーの機体を巻き込み、灰に変える。



「なッ!?」

「何スか!? 今の攻撃っスか!?」


「強いて言うなら、エネルギーフィールドとでも名付けようか」



郷田宏人はそう言って、unknownダンガムの翼を大きく羽ばたかせた。

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