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(旧)マル才  作者: 青年とおっさんの間
78/127

顔出し中は好きにやらせていただく 19

全員が戻ったタイミングでミスター・サムライが再び立体映像の前に出てくる。



「確認は終わったようだな、それでは各チームのサポートしてくれるオペレーターを紹介する」



立体映像で表示されていたマップが切り替わり、オペレーションルームだろうか、5人の女性が端末の前に座っている映像が映し出される。



「彼女たちが戦闘時のバックアップや通信のサポートをしてくれる。それぞれ各チーム毎のオペレーターを確認してくれ」



5人のオペレーターは顔で選ばれたんじゃないかと思ってしまうほど美人ばかりで、プレイヤーの男たちは鼻の下を伸ばしきっている。


しかし、俺の目にはその奥にいる更に美人で可愛い2人の女の子と、隣の目が笑ってない男の方にどうしても目が行ってしまう。



「おい後ろにいるのってkira☆kiraの2人じゃないか!?」

「マジかよ!?」

「隣に郷田宏人もいるぞ!」



プレイヤーたちが騒ぎ出したからか、郷田がマイク端末を手に取り話し始めた。



「私はこのオペレーションルームから皆さんの戦いを見させていただきます、kira☆kiraの2人も彼らに何か激励をしてあげてください」


「は、はい!えーと、頑張ってくださいね」

「私たちも応援してるから、頑張ってくれよな!!」



郷田から渡されたマイク端末を受け取ったキアラがプレイヤーたちを応援すると、隣からアキラがキアラの手を動かして、マイクを自分の方に向け激励を贈る。


それを受けて、プレイヤーの中には歓喜の余り、膝から崩れ落ちる者や、涙を流して喜ぶ者までいた。



「俺、kira☆kiraに頑張ってって、頑張ってって言われちまったよぉ!!」

「頑張るから見ててねーん!!」

「よっしゃあぁあ!! やる気出てきたぜぇえ!!」



他のプレイヤーたちが盛り上がる中、素直に喜べない俺がいた。


しかし、どうやらそれは俺だけじゃないようで、隣にいる歩美からも注意するように声が掛かる。



「勇志… 」

「わかってる、目立つ真似は極力避けるよ」



あの2人が終始見てるのか… なんか気が抜けないな。



「キャーーッ!! kira☆kira の2人が私を応援してくれるって!! キャーッ!!」



西野は相変わらず元気だな、よし、放っておこう。


その後はオペレーターが1人ずつ順番にプレイヤーたちに挨拶をして、次は4人目、つまり俺たちのチームのオペレーターの番だ。



「初めまして! チーム4のオペレーターを担当することになりました天音ノエルです、精一杯頑張りますのでよろしくお願いします!」


「「「よろしくお願いしまーすッ!!」」」



まるで示し合わせたかのように、チーム4の男共は勢いよく腰を90度に折り曲げて頭を下げる。



「お前ら… オペレーターが可愛いからって鼻の下伸ばすなよ、kira☆kiraがどうとかって、さっき言ってたばっかじゃんか」


「隊長はわかってねぇな~!」

「オペレーターと恋仲になるってのは男の浪漫でしょ?」

「そして勝ち目のない戦場に赴く兵士とそれを止めるオペレーター」


「行かないで~!」

「止めるな!俺はみんなを、そしてお前を守る為に戦わなければならないんだ!!」



チーム4の男共が男の浪漫というやつを分かりやすく寸劇までして教えてくれたが、こいつらいつの間にこんな息ぴったりになるほど打ち解けたんだ?



「あの… 勇志さん?」

「あ、はい?」



男共の勢いに当てられていたところを、オペレーターのノエルさんから声を掛けられる。



「戦闘中は『隊長』とお呼びしますね。あと、私のことは『ノエル』と呼び捨てで構いませんから、その… 頑張ってくださいね!」


「ぐふぉッ!!」



隊長… だ、と… !?


何ていい響きなんだ!!


しかも、オペレーターだけに凄く可愛い声をしてらっしゃる! 思ったより俺のピュアハートへのダメージがデカいぞ…!



「ちょっとノエルちゃん? うちの勇志にあんまり優しくしちゃダメだよ?」

「え、えーと… 歩美さん? ど、どうしてですか?」


「うちの勇志は女子に免疫ないから、そうやって優しい言葉を掛けられるとすぐに好きになっちゃうから気をつけてね」


「それは困ります! わかりました、気をつけます!」



酷いッ!皆んな酷いよ!



「それではブリーフィングは以上だ、各自チーム毎スタンバイしてくれ!」



ミスター・サムライの掛け声でブリーフィングは終了し、チーム毎に分かれた。


テントの中には人数分のゲーム機が用意されていて、おのおの準備に取り掛かり始める。



「さあ!! ついに戦場の友情全国大会、注目の協力プレイが幕を開けようとしておりますッ! 」



俺たちが準備を始めると隣のメインステージ会場から司会者と観客の歓声が聞こえてくる。


ちょうどプレイヤーたちの周りにカメラマンやらがうろつき始めたから、俺たちの様子が中継でもされているのだろう。



「そしてご覧下さい! このメインステージに設置されている大会の様子を中継する巨大スクリーンの前には、会場に収まりきらないほどの人々で埋め尽くされております! それほどまでこの大会と協力プレイの全貌が注目されていると言えるでしょう!!」



俺たちがゲームに接続し、発進シークエンスに入ると会場もより一層ヒートアップし始める。



「いよいよだな… チーム4、全員準備はいいか?」


「こちらロック、いつでも行けるぜ!」

「私とヴァーチェカスタムもOKよ!」

「発信準備よしっと、歩美とデュナメスヴァルキリーも行けるわ!」



15人全員大丈夫みたいだな。


おっと、16人目を忘れるところだった。



「ノエル、そっちも大丈夫か?」

「はい隊長、大丈夫です!」


「作戦の方も理解してる?」

「はい、我々チーム4は荒野と旧市街地を含むエリア2が担当です。そして防衛ラインを維持しながら敵unknownを撃破していくのが我々の作戦です」


「流石オペレーター、頼りにしてるよ」

「はい、頑張ります!」


「皆んな、準備はいいか!?」



ミスター・サムライより全プレイヤーに向けてオープン回線で通信が入る。



「つい先程まで優勝を賭けて競い合った敵同士だった者が、こうしてお互いの背中を預け合う友となった。今日、我々は共にこの戦場の友情というゲームの新しい一歩を踏み出そうではないか!」


「「「おぉーーッ!!!」」」



オープン回線からは全員の頼もしい応答が聞こえてきて、つい口元がニヤけてしまう。



「ふっ… ミスター、盛り上げてくれる。 チーム1 全員準備はいいか!? 俺に続け!! 赤星レン、シナンシュ発進する!!」


「僕たちも負けていられませんね、チーム2の皆さんお願いします! ゼロ・ルシフェル、ダンガムウイング行きますよ!」


「さーってと! 俺たちも行くっスよ~~!! 工藤翔太、ダンガムフルクロス出るっスよ!!」



各チーム毎、次々に発信して行き、順番的に次はチーム4である俺たちの番だ。



「じゃあ俺たちもそろそろ行こうか?」

「おーい隊長さんよ~! そんなんじゃ締まらねぇよ、もっとビシッと決めてくれ!!」



どうにも気合いが入らない俺の掛け声にロックからダメ出しを受ける。



「えーとそうだなー、こういう時は… 」

「入月青年! 先に行かせてもらうぞ、全機私に続け! ミスター・サムライ、ブレイブコマンダー出撃する!!」


「ああッ!」



そうこうしてる間にミスター・サムライ率いるチーム5に先を越されてしまった。


しょうがない、ここは隊長らしく少しくらいは格好つけようかな。



「ふーっ… 行こう! 未来を切り開くために、 俺が、俺たちが… ダンガムだ!」

「「「おーッ!!」」


「名台詞で決めてきたわね、勇志はダブルオーが1番好きだもんねー」

「何々!? 私はダンガムじゃないけど?」


「歩美、折角格好良く決めたんだから、その話はまた今度ね… 」


「隊長、発進どうぞ!」

「了解! 入月勇志、ダンガムヘルゲイズ行きまーすッ!!!」


「さあ遂に始まりましたッ!! 総勢75名のプレイヤーたちによる戦場の友情協力プレイ! そして彼等を待ち受けるunknownとは一体どんな敵なのでしょうかッ!?」



開始地点は話の通り、全員マップ中央の補給地点からスタートで、俺たちチーム4が到着した時には他のチームは既に自分たちの担当のエリアに出発するところだった。



「ミスター・サムライ、遅れたか?」

「大丈夫だ問題ない、直ぐに出てもらうが作戦エリアに移動の際は、私に個別通信を開いてくれないだろうか?」

「どうしてだ?」


「少し話したいことがある、ではまた後でな入月青年」

「了解」



ミスター・サムライのやつ、一体俺に何の話があるんだろうか?


わざわざ個別通信を頼むくらいだから、オープン回線では言えないような重要なことなのだろうか?


とにかく、うちのチームが1番出遅れているから作戦エリアへの移動を急ごう。


補給エリアのゲートを潜り、チーム4全員で隊列を組んで作戦エリアに向かう。


隊列の感覚や敵の索敵はノエルに任せ、俺はミスター・サムライに言われた通り個別通信を開くと早速通信が入った。



「調子はどうだ入月青年?」

「調子ね、良過ぎて困ってるくらいだ。機体のレスポンスがいつもより良いし、振動の感じ方がまるで本当に身体で感じているような感覚がある」


「やはり気付いていたか、実は話と言うのはそのことなんだ。以前、VRゲームにフィードバックシステムが導入されるという話を聞いたことはないか?」


「ああ、脳に直接信号を送って五感情報を生成するんだっけか? フルダイブの時代が間近に迫った!とか、ネットで騒がれたやつだったよな? でも確か、あの後急に開発中止になったんじゃなかったか? 」


「そう、重大な欠陥が発見され開発中止になったんだ」

「重大な欠陥?」


「フィードバックシステムの実験中、プレイヤーが腕を欠損するダメージを受けた。その痛みはフィードバックシステムで計算された切り捨てられる痛みの上限を越え、その余剰分の痛みがプレイヤーにフィードバックしてしまったんだ」


「そいつはどうなったんだ?」


「猛烈な痛みにより、ゲームは強制終了された。直ぐに病院に運ばれたが命に別条はなく、それどころか全くの健康で異常は一切見られなかった。もちろん、現実では腕は欠損していないから、しっかり付いていたしね」


「ふぅ… びっくりさせないでくれよ!」


「ただ、そいつの腕はピクリとも動かなかったんだ。正確には動かせなかったと言った方がいいか、それから2度とそいつの腕は動くことはなかった」


「一体どうして?」


「脳が腕を認識していないのか、それとも腕は無くなったものとして認識されてしまったのか… 詳しくはわからないらしい」


「そっ、それで? その話がどうしたんだ? まさかこの協力プレイに導入されているなんて言わない… よな… ?」



そんな物騒なシステムが導入されているなんて考えただけでもゾッとする。



「それはまだわからない。あくまで仮定の話に過ぎないからな。しかし、このタイミングでの予定になかった協力プレイβ版の導入とプレイ感覚の相違は、単なる偶然にしては出来過ぎている気がする。用心に越したことはないだろう」



もしそのシステムが導入されているのならそんな悠長に構えていられるか!!


ここには俺だけじゃなくて、歩美や西野もいるんだぞ!


「用心って言ってもどうすればいい!?機体の損壊なしで情報もない敵のボスを倒せって言うのか!?」


「このゲームの設定上、機体とプレイヤーの互換性はないはずだ。だが、もしプレイヤーが戦闘不能、つまり死亡した場合、フィードバックシステムで人体に受けるダメージは想像を絶することになるだろう… 」



腕がなくなったプレイヤーは腕の感覚を失った… じゃあもし命を失ったら…?



「死ぬ… ってことなんだろ?」


「…… 最悪の場合の話だ。 しかし、やりようはある」


「機体が損壊してもプレイヤーがダメージを負わない限りは大丈夫ってか?」



敵の狙いは俺たちの全滅だってのに、そんなの何の気休めにもならない!



「そうだ、だがやるしかない! オペレーター、全プレイヤーに回線を繋げてくれ!」

「了解です、回線繋ぎました」


「全員聞いてくれ! 急遽作戦を変更する。新たな作戦は『敵のボスの索敵』だ。そのため無駄な戦闘は一切禁止とし、敵の足止めを最優先とする!」



「はぁー!? どういうことだよ!」

「戦闘しないなんて意味わかんねーし!」

「ふざけてんのか!? サムライ!」



オープン回線を通して、ミスター・サムライの作戦に露骨に不満を漏らす声が聞こえてくる。


しかし、まだ仮定の話を彼らに説明したところで理解してくれるとは思えない。



「ボスを発見したら、私と入月青年、赤星レンの3人で撃破する、以上だ!」



オープン回線が切られ、再びミスター・サムライと個別通信に切り替わる。



「そういうことだから入月青年、頼んだぞ!」

「わかった、やるだけやってみる。 そろそろ作戦エリアだから通信切るぞ」


「入月青年、敢えて言おう、死ぬなよ!」

「あんたもなミスター・サムライ」



クソッ!!


これはもうゲームなんかじゃない!

命を賭けた本当の戦争だ。


歩美、西野…


お前たちは何があっても俺が守ってみせるからな!


例え俺の命に代えても…!

作者の活動報告も是非見てくださいね!

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