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(旧)マル才  作者: 青年とおっさんの間
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顔出し中は好きにやらせていただく 16

先程のカフェブースに戻った俺と歩美、西野の3人は初戦に備えて早めの昼食を取ることになり、女性陣に先に注文をしてもらっている間、俺は席取りのため空いているテーブルに着いて待つことになった。


待っている間、手持ち無沙汰なためポケットから携帯を取り出す。


そういえば最近、キアラからのメールに全く返信してなかったから、お詫びと今日のアリバイ作りの為にメールしとくか。


『キアラ久しぶり、最近メールの返事してなくてゴメンね。 元気ですか? 俺は元気です』


っと、送信。


携帯をポケットにしまった瞬間に着信が鳴り、すぐにまた携帯を取り出すとキアラからの返信だった。



『ユウさん! 良かったー、最近連絡がなかったので何かあったんじゃないかと心配しました、お元気で何よりです。 私も元気です、今日もお仕事でゲーム大会の特別ゲストとして招待されているんですけど、ユウさんもしかして会場に来てました?』



なぜわかったーッ!!? キアラはエスパーなんですか!?


と、とにかくやんわりと話題をそらす方向で返信しよう。



『そこの会場に同じお面被ってるやつがいたのかな? あんな趣味の悪いお面が流行ってるとは世も末ですな(笑』



ふっ、直接会話するのはあれだが、メールだと中々センスあるトークができるな、俺。


よし、これで送信っと。



再び携帯をポケットにしまったところでまた着信があり、相手はやはりキアラだった。


キアラの返信が早い、早過ぎるよ!


超多忙のスーパーアイドルなのに、いつもキアラはメールの返信が早いんだよなー。


どれどれ…



『たとえユウさんと同じお面を被ってる人がいても、ユウさんじゃないって一目でわかりますよ? さっき、ユウさんが私のことを見ている感じがしたのですが、気のせいだったみたいです』



あ、やっぱりエスパーだったのね、宇宙に適応するため進化した新人類だったんですね。


これはもし声なんて聞かれた時には、一瞬でバレるんじゃないだろうか。


いやいや大丈夫だ、一般人がアイドルに接近して、話す機会なんてまずあるわけがない!



「それでは恒例、プレイヤーインタビューのお時間です! ゲストのお二人には会場にいるプレイヤーさんたちにバンバンインタビューしていただきたいと思いまーす!」



カフェブースの天井から吊るして設置してある液晶TVが先程の司会者を映し出したかと思うと、直ぐに画面が切り替わりマイクを持ったキアラが映し出された。



「はーい、私は今、会場内にあるカフェブースに来ております!」



キアラの後ろには見覚えのあるカフェブースが映し出されている。



「まさかここじゃないだろうな…」



急いで振り返ると、カフェブースに面した通路にはでっかいビデオカメラを抱えたカメラマンやら、照明などのテレビクルーに大勢の野次馬、そしてキアラがカメラに向かってまさに俺たちのいるカフェブースでインタビューしようとしている瞬間だった。



「何ということだ…! 」


「それでは早速プレイヤーさんを見つけて、インタビューしていきたいと思います!」



キアラがカフェブース内を見回し、大会参加の目印であるバッチを付けているプレイヤーを探しているみたいで、咄嗟に自分の胸に付けていたバッチを左手で覆い隠す。


しかし、その仕草が逆にキアラの注意を引いてしまったようで、真っ直ぐこちらに向かって歩いてくる。


やだ!ちょっと待って!こっち来ないで~!!



「こんにちわ、お休みのところ申し訳ないのですが、少しインタビューをしてもよろしいでしょうか?」


「ひゃッ、はぃ… 」



なるべくキアラと顔を合わせないように精一杯顔を伏せて、とびっきりの高音ボイスで対応する。


こうなったら、なるべく早くインタビューを終わらせて早々に切り上げて貰うしかない。



「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「い、入月勇志です~」


「勇志さんの大会に参加しようとおもったきっかけは何ですか?」

「と、友達に脅さ… 誘われて、嫌々…」


「そ、そうなんですか、では大会に向けての意気込みをお願いします」

「えっと、頑張ります…」


「あのー… 」

「は、はい?」


「もしかしてどこかでお会いしたことありましたか?」



ひぃー… やっぱりエスパーなんですね、そうなんですね!?


もうこの際、正体を明かして穏便に済ませればいいんじゃないか?


いや待て、それだと芋づる式で歩美もバレるし、同じ学校だからメンバー全員バレるんじゃないか?


俺はキアラならバラしても別に構わないと思っているが、メンバー全員が同じようにバラしてもいいとは思ってないだろうから全員に確認とるまでは迂闊には言えない。


それに、マネージャーの水戸さんにもちゃんと話を通しておかないと後が怖い。


事後報告は水戸さんが1番怒るやつだし、八方塞がりだぁあああ!



「ちょ、えぇ!?」



昼食をお盆に乗せて席に戻ってきた歩美が俺の危機的状況を見て驚きの声をあげる。



「え? 何々、どうしたの? あ゛ー!!キアラだ! キアラが目の前にいるぅ~!!」



もう1人の方はスーパーアイドルを目の前にテンションが振り切ってしまっているようで、一瞬で俺とキアラの間に割り込み、逆にインタビュアーのキアラに質問を浴びせかけ始める。



「kira☆kiraの星野キアラちゃんですよね!? 私大ファンなんです! 握手してくださーい!」


「え!? あ、はい… どうも、それであなたは?」

「はい! 私はこいつのチームメイトで大会には初参加なんです! まさか大好きなkira☆kiraに会えるなんて思ってもなかったので来て良かったです!」


「あ、ありがとうございます、とっても嬉しいです。これからも応援よろしくお願いしますね」


「もちろんです! それでちょっと踏み入った質問なんですけど、キアラちゃん最近、あのガップレのユウと交際か!?って週刊誌に乗ってたんですけど本当なんですか!?」



ちょっと待てー!! それは初耳だぞ、当の本人が何も知らないんですけど!


まさか、俺とキアラは付き合っているなんてそんな…


待てよ、最近はあまり返信してなかったけど、ちょっと前までほぼ毎日のようにメールしていた。


世間一般ではこれを『お付き合い』というのだろうか、俺が引きこもっている間に世間一般では交際のハードルが急激に下がったのかもしれない。


だとするならば俺とキアラは告白もしてないのにすでに付き合ってい…



「付き合ってません!!」



ですよねー、うん知ってたよ。

でもそんなはっきり否定されたら…


って、今の声は歩美か!?


いつの間にか今度は歩美が西野とキアラの間に割り込んでいて、西野の質問に何故か歩美が答えていた。



「えっと… 今度はどちら様ですか?」

「この2人のチームメイトです!」


「そ、そうですか… 」


「それでキアラちゃんはガップレのユウと付き合ってるんですか?」

「えぇ!? そ、その… ユウさんとは友人として仲良くさせていただいてます… 」



キアラの友達宣言が嬉しいような悲しいような、何だろうこの複雑な気持ち。


まあ、キアラには好きな人がいるし当然じゃないか、それでも友人って言ってくれたことを喜ばないと。



「ですよね~、ガップレのユウって顔隠してて素性が全く謎で気持ち悪いですし、歌とギターは上手いけどトークは下手くそだし、キアラちゃんには似合わないと思います!」



西野~、友達宣言されて複雑な気持ちになってるピュアハートに追い打ちかけないでくださいます?


いくら俺がガップレのユウってこと知らないとは言ってもそこまで言わなくてもいいじゃない!



「それには私も心の底から同意します!」



歩美!? 何で歩美まで援護射撃してくるの? やめて! せめて気持ち悪いってとこくらいは否定してよ!



「ユウさんを… ユウさんを悪く言うのはやめてくださいッ!!」



ついさっきまで笑顔を絶やすことがなかったキアラが、泣きそうな顔で俺たちに訴えかける。


そして、その様子が会場に設置されている全てのモニターに映っていたが、すぐに画面が切り替わり女性司会者が映し出された。



「え~、少し現場でトラブルがあったようですが、気を取り直してもう1人のインタビュアー、kira☆kiraの月島アキラさんの方に中継を繋いでいただきましょう!」


「その、ごめんなさい… 」


キアラは俺たちに向かって一言謝罪をすると、スタッフのような人たちに誘導されて通路の奥へと行ってしまった。



「どうしよう!? 私、キアラちゃんに嫌われたかも!?」

「そうだな、これを機にガップレのユウのことを好きになるのを強くお勧めする」



散々好き放題言ってもくれちゃって、キアラはきっと俺の代わりに怒ってくれたんだぞ、全く。


なんかキアラには色々気を使わせちゃってるな、後でまたメールでもしてフォローしておこう。



「えー! 私、ガップレならユウよりドラムのマシュとかベースのヨシヤとかのがいい!」



「えーと、リードギターのショウちゃんは?」

「あれは無理、何なのあの落武者みたいな人」



すまん、翔ちゃん。

俺には翔ちゃんが落武者と罵られても言い返すことができないよ…


とりあえず俺と歩美の正体はバレなかったみたいで良かった。


その代わりにキアラに嫌な思いをさせてしまったようで心が痛い。


俺に何かできるわけでもないが、キアラがメールでしきりに、またスターエッグプロダクションに遊びに来てくださいって言ってたから次の休みにでも遊びに行こうかな。


そして、そのままカフェブースで早めの昼食を食べ終えた俺たちは、大会初戦の会場へと向かったのだった。

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