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(旧)マル才  作者: 青年とおっさんの間
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顔出しNGなのにどうしてモテるのか 6

立花と再び別れ、また控え室に戻って来たが、流石に骨が折れるからもうやりたくないな、今度やるなら家に帰ったということにしよう。


メンバーはそれぞれライブ前のウォーミングアップに入っていて、水戸さんも代わる代わるやってくるスタッフと、最後の細かな調整を話しているようだ。


俺もしっかり心の準備をしなければ!


いつもライブ前になると『どうしてこうなったんだろう』と自問して、目の前のことから目を背けようとしてばかりいた。


でも、立花の『ガップレの音楽は人の心に触れることができる』という言葉を聞いて、自分にしかできないことがあるんだと気付くことができた。


立花には感謝しないとな… おかげでいつになくやる気が出てきた!



「みんな、ちょっとごめん! 本番直前で悪いんだけど、どうしても1曲やりたい曲があるんだけど… 」

「「「………」」」



俺の突然の申し出に困惑するメンバーたち。


それも無理はない。本番前のギリギリのタイミングでセットリストを変えるなんて普通はあり得ず、メンバーだけでなくスタッフにも迷惑を掛けてしまうことになるからだ。



「やっぱりダメ… だよな… 」



数秒間、まるでその場の時間が止まったかのようにメンバー全員、ポカーンと口が開いたままになっていたが、そこから1番最初に復活した翔ちゃんが珍しく大声をあげた。



「まさか、あのユウちんから前向きな発言が出ましたぞーっッ!?」



翔ちゃん、ライブ以外でもそんな大声出るんだ…



「驚いたな、勇志が自分からライブのことに口を出すなんて… 」



真純はどことなく感心した様子で俺のことを見てくる。



「そんなに変かな? 俺がライブのことで提案するの… 」

「だって、勇志がライブのことで何か提案したことなんて、今まで1度もなかったから… 」



と間髪入れずに歩美に言われて、そう言われれば今まで一切ライブについて自分の意見を言ったことなかったなと思い出した。



「正直、勇志がガップレのメジャーデビューにあまり乗り気じゃないこと、何となく分かってたんだよ。それでもこうして一緒にガップレをやってくれていて、無理させてるのかもって思ってたんだけど、どうやら杞憂だったみたいだな」


「私は勇志なら大丈夫って思ってたもん!」


「でも、勇志くんが前向きなこと言ってるのって似合わないけどねー」


「ユウちんともっと男のロマンについて語り合いたいのですぞ」



義也は毒を吐き、翔ちゃんは話が脱線しているが、なんかみんなに余計な気を使わせてしまっていたみたいだ。



「心配かけてごめんな、俺… これから真剣にガップレやっていくよ!」

「うん! よろしく勇志!!」



そう言うより早く歩美が俺に抱き着いてくる。


若干、歩美が泣いているような気がするが、そこまで歩美に気を遣わせていたのだろうか… 本当に申し訳ないな。



「ゴホンッ…! えー、若者たちの熱い青春の時間に水を差すようで悪いんだけど、そろそろ時間になるわ。それで曲の方はどうするのか決まった?」



控え室の隅で一部始終を見守ってくれていた水戸さんが、やれやれといった様子で話をまとめる。



「もちろん、変えるでいいよな?」



と、真純がみんなに確認をとると…



「「「異議なし!!」」」



と、メンバー全員一致で曲を変えることに決まった。



「わかった… PAとか照明のスタッフには私の方から伝えておく、さあ! じゃあ心置き無く行って来なさいッ!!」

「「「いってきますッ!!」」」



水戸さんに送り出され、熱狂と声援が飛び交うステージの裏でメンバーが1箇所に集まる。



「よしッ! いつものやるよ!!」



と、歩美の掛け声に合わせメンバーが円陣を組む。



「じゃあ、今日の掛け声は勇志がやって!」

「え!? 俺が?」

「いいからやる!」



と、歩美に睨まれたので、掛け声係を渋々引き受けることにした。



「ゴホンッ! えぇ〜、僭越ながらこの度は… 「早くして!!」 すいません… 」



気を取り直して…



「《Godly Place》今日も思いっきり楽しんで行くぞーッ!!」

「「「おーッ!!!」」」


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