顔出し中は好きにやらせていただく 7
「はぁー… 」
どうやらこの2人は、ここまでやっても進展しないみたい、今もアイスを食べながらお兄ちゃんと莉奈さんとで、さっきのゲーセンでのことを話し合っていた。
「だから、出ないって言ってるだろ!?」
「いいじゃん! 減るもんじゃないし!!」
「そういう問題じゃないだろ!? それに何で西野はそんなに大会に出たいんだよ!?」
「そ… それは、あれよ!もっと強いヤツと戦いたいのよ! そう! それよ!!」
「何だその戦闘狂みたいな理由は… 」
理由を考えていなかったことは、莉奈さんの目の泳ぎ方からして明白だった。
莉奈さん、そこはもうストレートにお兄ちゃんに会いたいからとか、もっと一緒にいたいとかはっきり言わないと駄目ですよ?
お兄ちゃんは鈍感の極みだし、莉奈さんは恋愛経験がほとんどないのか、普段の性格からは想像出来ないほど、かなり奥手、これは先が思いやられるなー。
私がお兄ちゃんを好きだという莉奈さんを後押ししているのも、全部お兄ちゃんのためなのに…
もちろん、私はお兄ちゃんのことが大好きだし、もし彼氏を作るならお兄ちゃんみたいな人か、お兄ちゃんよりいい人じゃないと嫌だと思ってる。
好きというのは、もちろん兄妹としての好きであって、恋愛としての好きじゃない。
とは言っても、私は恋愛の方の好きという気持ちになったことがなくて、実際どんな感じなのか検討もつかないのだけれど、自分以外の誰かの恋愛に関してはアンテナが勝手に受信するようにわかってしまう。
今回の莉奈さんも正しくそれだった。
せっかくこんな特技?があるのだから、お兄ちゃんに素敵な人を! という妹の粋な計らいで、こうしていろいろな女性をお兄ちゃんに差し向けているのです。
莉奈さんがお兄ちゃんと急接近すれば、今まで不動の幼馴染ポジションを誇っていた歩美ちゃんも、動かざるを得なくなる、そうなれば立花さんも積極的になって… シメシメ
楽しくなってきた~ッ!!
「なーにニヤニヤしてんだ愛美? 1人でニヤニヤしてると変な人みたいに見られるから気をつけろよ?」
「え、顔に出てたッ!?」
つい色々妄想してしまって、顔に出てたみたい。お兄ちゃんに言われるまでぜんぜん気付かなかった。
「勇志、それ経験あるんでしょ?」
「うるさい」
この2人は本当に仲がいいなー。
観覧車から莉奈さんが泣きそうな顔をして出てきた時は、もしかして修羅場!? とワクワクしたんだけど、その後2人でゲーセンでゲームしたらすっかり元通りになっちゃって、しかもなんか私、お呼びでないって感じで2人で盛り上がってるし。
ふーん、いいもんいいもん! 全部、歩美ちゃんに報告しちゃうんだから覚悟しておいてね、お兄ちゃん。
「じゃあ時間も遅いし、そろそろ帰るか」
「えー、もうちょっと遊びたーい!」
まだ日も暮れてないのに帰るなんて信じられない! 暗くなるこれからが雰囲気が出てきて面白いのに〜ぃ!
「夕飯までに愛美を帰らせないと、今晩の食卓がグリーンピース尽くしになっちまうんだよ」
なるほど、お母さんの差し金だったか。
お兄ちゃんはグリーンピースが嫌いだから、それを武器に脅したということね!
でも、私だって簡単には引き下がれない。お兄ちゃんと莉奈さんがイチャイチャするのを目の前でもっと観察しなければならないのだから!
「別に私はグリーンピース食べれるからいいもん!」
「俺がダメなの、嫌いなの! 世界で2番目くらいに嫌いなの知ってるだろ!? 絶対に夕飯までに連れて帰る!!」
「やーだやーだやーだッ! もうちょっと遊んでく〜!!」
「わがまま言うんじゃありません!」
「お兄ちゃんもグリーンピース食べたくないってわがまま言ってるじゃん!」
「おッ、お兄ちゃんはいいの! お兄ちゃんだからッ!」
「ふっ! くくくくくッ!!」
そんな私たち兄妹のやり取りが漫才みたいだったからか、莉奈さんから堪えられず笑いが起こる。
「西野も笑ってないで説得してくれよー!?」
「えー、どうしよっかなー?」
そういって困っているお兄ちゃんに向かって大袈裟にリアクションをとる莉奈さん少し悪い顔をしていた。
莉奈さんって、やっぱりSなんだろうな、頑張ってねお兄ちゃん!
「頼む! 俺の命に関わる問題だから!」
たかがグリーンピースが食べられないくらいで大袈裟だよお兄ちゃん。
それを大真面目に言ってるところが、妹として少し恥ずかしいよ…
莉奈さんはうーんと少し考えたような素振りをして口を開いた。
「じゃあ、戦場の友情の全国大会に一緒に参加してくれたら協力してあげてもいいわよ?」




