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(旧)マル才  作者: 青年とおっさんの間
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顔出し中は好きにやらせていただく 4

「ちょっとアンタ! いきなり攻撃してくるなんてどういうことよ!?」


「へぇ~女か、珍しいな。 そうだ、負けそうになってる所を助けたんだから俺は白馬の王子様ってことだよな? 感謝しろよ? なあッ!?」



乱入してきたプレイヤーは男、しかもかなり性格が悪い。乗ってる機体もゴテゴテしてて、いかにも自分は厨二病です、と言っているような機体ね。



「2人まとめて片付けるつもりだったんでしょ!? 調子いいこと言ってんじゃないわよ!」


「ちッ、オープン回線開きっぱなしだったか、それにしてもうるせぇ女だなー! さっさとかかって来いよ、可愛がってやるからさあッ!?」



勇志のゴフカスタムから受けたスタンはすでに解除されているけど、ヒットポイントは4割ほど削られている。


けど、ここまで舐められて黙ってるわけにはいかない!



「上等じゃない! 返り討ちにしてあげるわ!!」



ヴァーチェカスタムの砲撃で弾幕を張りながら体制を整える。おそらく、相手の機体はダンガムチェストブレイクがベースにカスタマイズされているから、中距離戦闘が得意で、それ以遠はヴァーチェカスタムの方に軍配が上がるはず。


なら距離をとって遠距離で戦うまでよ!


ヴァーチェカスタムのビーム砲撃がまっすぐ相手の機体に向かって飛んでいくが、相手は避けることもせずただその場に立ち尽くしている。



「もらった!」



そう確信した瞬間、チェストブレイクのほんの僅か手前でヴァーチェカスタムの砲撃は全て何かにぶつかったように霧散してしまった。



「残念でした~」

「まさか… オートバリアフィールド?」


「大正解~、よく出来ましたー」

「オートバリアフィールドは対人戦で制限されている違法パーツじゃない!?」


「そうだよ? だから何? 勝てば良いんだよ、勝てば!」



この『戦場の友情』では違法パーツという装備するのに制限がかかるものがある。


コイツが装備しているパーツが正しくそれで、通常の対人戦では装備は出来るが使用はできないことになっている。


しかし、特定の条件下において使用が可能で、今回はそれが当てはまる状況が出来上がっていた。



「そのパーツを使うために、わざと2人以上いる所に乱入してきたってわけね… 」



「またしても大正解~! 女のくせに大したもんだぁ!」



特定の条件下とは、相手が自分より人数が多い時のみ使用可能というものだ。


元々、この部屋は私と勇志の2人しかいなかったけど、その2人を同時に敵として設定することで、違法パーツの使用可能条件下に無理やり持って行ったのね。


マナー違反に違法パーツの使用、何よりもコイツの女を見下したデカイ態度にイライラするわ!



「なーに? もう終わり? なら今度はこっちから行くぜ! フィンネルピットぉ~!!」


「また違法パーツ!?」



相手の攻撃宣言とともに、機体のカスタムパーツから遠距離攻撃誘導端末が8基発射された。


この遠距離攻撃誘導端末『フィンネルピット』はターゲットをロックオンすると、ターゲットに向かって自動で誘導し、オールレンジで攻撃をする、この『戦場の友情』というゲームの中では、最強の部類に入るほどの武装で、いろいろなバリエーションがあるけど、どれもすべて違法パーツに分類されている。


このファンネルピットは相手の周囲に展開して、全方位からビームを発射するタイプのもので、ほとんどのプレイヤーが避けることもできずに蜂の巣にされてしまう。


それでも、幾つか対策はある、中でも1番わかりやすのは…



「撃たれる前に全部落とすッ!!」



ヴァーチェカスタムの砲身を8基のフィンネルピットに合わせ砲撃するが、それぞれが独立して移動しているため、簡単には落とすことができない。


それでも確実に1基ずつ数を減らしていく。



「残り4つ!!」

「残念!もう遅い、お疲れ様ぁあ!!」



8基のフィンネルピットを射程に入る前に半数に減らしたが、残り4基に包囲され、オールレンジのビーム攻撃を背後に受けてしまった。



「うッ! バリアフィールド!!」



堪らずバリアフィールドを展開して防御をするが、4基のフィンネルピットの連続攻撃に怯み、足が止まってしまう。



「動けない…ッ!!」

「さっさと消えろよ!」



チェストブレイクの腹部が拡張し、3基の粒子砲が露わになると、光のエフェクトがそれぞれに集まっていく。


ヤバい!最初に勇志のゴフカスタムを吹き飛ばしたやつが来る!!



「喰らえ、トリプルギガソニック砲!!」



あの威力の砲撃を食らったら、いくらバリアフィールドを張っているヴァーチェカスタムでもひとたまりもない!


このまま負けるちゃうんだ、私…


発射されたトリプルギガソニック砲の緑の光が徐々に強くなっていく中、私の心の中は悔しさで溢れていく。


しかし、強くなった緑の光に包まれることはなく、高出力のビームはヴァーチェカスタムの右腕のギリギリをかすって、残りのフィンネルピットを巻き込み、周りのビルを蒸発させながら通り過ぎていった。



「外れた…? どうして…」



ビームが発射された方向を見ると、チェストブレイクは左側からビルに半分突っ込む形で大きく体制を崩していた。


チェストブレイクが立っていた場所には私を庇って緑の光に消えたはずの、勇志のゴフカスタムがチェストブレイクを見下ろすように立っていた。



「お前ぇええッ!? まだ生きてやがったかッ!」

「勇志… もう…! 生きてるならもっと早く助けに来なさいよ!」



本当は2度も助けてくれて、すごく嬉しいはずなのにゲームの中でも素直になれない自分がいた。



「ごめんごめん、ちょっと補給エリアに行ってて遅くなった。なにせ腕を1本持ってかれたからヒットポイントが危うくてね」



確かにゴフカスタムの左腕は肩の部分から焼け落ちたようになくなっている。


戦闘で消耗した弾薬や、武装は特殊な物以外はプレイヤーごと割り振られる補給エリアに行き、そこで一定時間待機することで補給を得ることができる。


また機体の破損箇所は大破していない限り、同様に補給エリアでのみ修復が可能となっていた。



「ギガソニック砲をまともに食らって生きてるヤツなんざ初めてだぜ!?」


「まさかー、あんなんまともに喰らったらほとんどの機体はイチコロですよー」

「じゃあ、なんでお前は生きてやがる!?」


「そのギガソニック砲を受けるより前に真横のビルにワイヤーアンカーを固定しといたんだよ。 後はゴフカスタムの耐ビームコーティングの施されたシールドが、お前のギガソニック砲によってビルを中心に円を描くようにはじき出されたってわけ」



あの一瞬で咄嗟にそれができるなんて、勇志って一体何者なの?


相手の性悪男も私と同じことが気になったようで、勇志にオープン回線で問いかけてくる。



「お前、二つ名があるだろ? 教えろ!」



『二つ名』とはこの『戦場の友情』の上位プレイヤーに与えられる称号みたいなもので、一種のステータスに近い。


公式が勝手に上位ランクのプレイヤーにつけるらしく、ある日プレイするとプレイヤー名の表示の横に二つ名が追加されたという話を聞いたことがあった。


そして、確認された二つ名持ちのプレイヤーは全世界で僅か10人前後で、このゲームの中では、最強のプレイヤーとして伝説の存在になっていた。


でも、勇志が二つ名を持っているなんて聞いてないし、 それに既に明かされている伝説のプレイヤーの機体情報と、勇志のゴフカスタムとでは、全く機体が違う。


そもそも、伝説のプレイヤーに量産機ベースの機体を使っている人はいなかったはず…


思わず、私も目の前で行われている通信に耳を傾ける。



「え!? な、ないよ… そんなの…!」

「絶対嘘だ…」



めちゃくちゃ同様してるじゃない!


もしかして勇志って、めちゃめちゃ嘘が下手くそで、まともに嘘がつけないタイプなの!?


そうだとしたら、勇志って二つ名持ちってことになるの!?


何百、何千万のプレイヤーの頂点に立つ、まさしく最強のプレイヤーってことじゃない!?



「何とだよ!? 何で西野が突っ込んでくるんだよ! だいたい西野は俺が二つ名持ってること知らないだろ!? 」


「やっぱり持ってるんじゃない… 」

「はッ!? しまった… 」



あーあ、自分で墓穴掘っちゃったよ。



「ねぇ? もう二つ名持ってることバレちゃったんだから教えなさいよ?」

「い… いやだ… 」


「どうして?」

「…恥ずかしい」


「なに? よく聞こえなかったからもう一度言ってくれる?」


「だから恥ずかしいって言ってるだろぉお!? 如何にも厨二病ですって自分で公言しているみたいだから内緒にしてたのにッ!! それに名もないプレイヤーが、実はめちゃくちゃ強かったっていうシチュエーションのがカッコいいだろ!?」


「別に良いじゃない! 目の前に如何にも厨二病ですって公言してる違法パーツ詰め込んで俺tueeeってやってる痛いヤツがいるんだから!!」


「あんなんになりたくないから二つ名を隠してたの!! あんな恥ずかしい人間になりたくないの! わかってくれよ西野!!」


「お前らぁアアッ!! さっきから黙って聞いてれば人の事をバカにしやがってぇええ!! ぶっ潰してやるよぉお!!行けぇフィンネルッ!! 2人まとめてやっちまいなぁアアッ!!」


「西野! 話は後だ、来るぞ!」

「はぐらかすつもりでしょ!?」


「そんなこと言ってる場合かよ!?」

「あとで絶対話してもらうからね!」



勇志と話している間にも、チェストブレイクに装備された違法パーツからフィンネルピットが8基、次々に発射される。


フィンネルの弾数は24基、1度に発射できるのは8基で再充填不可。戦闘時に再充填するためには、先程の勇志と同じように自陣の補給エリアに戻り、待機しなければならない。


さっき、8基のフィンネルの内4基は私が落とし、残り4基は自分で放射したギガソニック砲で消失したから、残弾は16基か、多いけど私と勇志と2人なら何とか捌き切れるかもしれない!



「西野、俺がフィンネルを何とかするから西野は本体を頼む!」



暗号通信で勇志から通信が入る。


オープン回線とは違い相手側に聞かれることがない通信で、チームプレイ時は常に暗号通信の回線が開いていて、任意でオープン回線に切り替えることが出来るようになっていた。


勇志が暗号通信で連絡して来たということは、おそらく何か作戦があるのだろう。



「わかったわ! でも、私の武装はほとんどがビーム兵器だから、あいつのビームフィールドを破れないわよ?」


「奴の狙いはフィンネルで足止めして、ギガソニック砲を確実に当てることだ」


「そうか! バリアフィールドを張っている時は自分もビーム兵器は使えない… 」



私のヴァーチェカスタムの砲撃でギガソニック砲を撃つ間もなくバリアフィールドを展開させて…



「西野があいつの足を止めている間に、俺がフィンネルを全部落とす!」

「オッケー! 背中は任せたわよ!」


「西野の機体、なかなかの幅広だから守り切れるか自信ないけど… 」

「つべこべ言わない! 来たわよ!」


「了解! オペレーション『デビルズダウン』開始!!」

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