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(旧)マル才  作者: 青年とおっさんの間
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顔出しNGで新曲作ります 8

「続いてのニュースです。本日開催となるアイドルユニットkira☆kiraの全世界同時サテライト中継コンサートが今、世界中で注目を集めています。それでは会場の横山アナウンサーと中継が繋がっています。横山アナお願いします」


「今、私は本日行われるkira☆kira全世界同時サテライト中継コンサートの会場に来ております! この規模で行われるサテライト中継は前代未聞ということで、世界中のメディアの注目を集めており、会場前のカメラだけでも数十台、いえ数百台ほどのカメラと報道陣が集まっています」


「横山アナ、観客やファンの方々の様子はどうでしょうか?」


「はい、只今開演2時間前なのですが、もう既に会場の待機列は会場の敷地の外まで伸びています。先程の情報では最寄駅のすぐ目の前まで列が続いているということです。先頭の方にお話を聞いたところ、2日前からこの日のために並んでいるという方もおられました」


「はい、横山アナありがとうございました。やはり世界のアイドルkira☆kiraですね、世界中の人が1人1枚はCDを買ったというほどの記録を打ち出しているアイドルですからね、2日前から並ばれる気持ちもわかります… 」













「kira☆kiraってやっぱ凄いんだな~」



休憩室の大型テレビのニュースを見ながら、呑気にお茶を飲んでいるkira☆kiraの2人を尻目に俺はつい感嘆の言葉を漏らしてしまった。



「まあねー、世界中が私の魅力に夢中になっちゃうのも無理ないかな~」



その言葉を受けてアキラがどうだとばかりに胸を張り、自信満々に俺の方を見る。



「アキラちゃん! あまり調子に乗ったらダメだよ、私たちはファンの方たち、ひとりひとりに支えられているんだからね!?」



位置的には俺の向かい、アキラの隣に座るキアラが少し説教をするようにアキラを嗜める。



「分かってるよ~、ちょっと言ってみたかっただけだってばー」



とは言っているが、結構本気だったんだろうな。


アキラは大体顔に答えが出てるから、嘘も隠し事も出来ないタイプなんだろう。


まあそういうところがある意味、アキラが言う魅力なのかもしれない。



「お疲れ様~ん、どお? 準備は進んでる?」


「あ、 マリーちゃん!」

「マリーさんも来てくださったんですね」



休憩室に現れたマリーちゃんにアキラとキアラが駆け寄る。


何度も言うが、マリー〝ちゃん〟とは言っているが見た目はゴツくてケバいおっさんだ。


そんな人がkira☆kiraの所属しているスターエッグプロダクションという会社の社長だと知った時は足が攣るほどびっくりしたものだが、最近はもう慣れてしまっている自分が怖い。


その時から何となくkira☆kiraの2人とマリーさんの間には、仕事上の関係以上の信頼関係がある様な気がしていた。


その事について詮索するつもりは全くないが…



「今日はみんなに差し入れを持ってきたのよ~ん」



そう言いながらマリーちゃんが両手に下げていた袋を軽く持ち上げる。



「わーい! サンキュー、マリーちゃん!」

「わざわざありがとうございます、マリーさん」


「別にいいのよ〜、ユウくんに会う口実みたいなものだから〜ん」


「それよりマリーちゃん! 早く中身見せてよ〜!」

「はいはい、慌てないの」



さらっと流されたけど、とんでもない事言ってたよこの人。


マリーさんは早速、机の上に袋の中身を取り出すと、なんと“超”がつくほど高級なシャンパンが2本出てきた。


俺はシャンパンということくらいしかわからなかったが、ドラムのナミさんが目を輝かせて教えてくれた。


ちなみにナミさんは結構いい歳のお姉さんでお酒が大好きらしい。なかなか素敵な人なのに独身で彼氏なしだというからびっくりだ。どことなく水戸さんに似ている気がすると思ったことは本人には言ってない。


それより、この人たちはコンサート前に1杯引っ掛けるつもりなのだろうか? それに、そもそも俺とアキラ、キアラの3人は未成年だからお酒飲めないんですけども。



「このコンサートの成功を祝して乾杯しましょーう!!」



そう言いながら高々と高級シャンパンを掲げるマリーちゃん。



「マリーちゃん? まだコンサート始まってすらいないんですけど…?」

「いいのよ〜、あなたたちなら必ず成功させてくれると信じてるから」



堪らず突っ込みを入れてしまったが、俺たちのことを信頼してのことらしい、そう言うことなら悪い気はしない。


「でも、マリーさん? 私たちお酒飲めませんよ?」


「何だよキアラー、堅いこと言うなよ。こういう時くらい飲んでもいいだろー?」

「ダメですッ!! もしアキラちゃんが飲酒したら一生口聞いてあげないからね!」


「はーい、ごめんなさーい… 」



とんでもないことを言い出したアキラに、キアラがしっかり釘をさす。


キアラ、何かお母さんみたいだな。 きっといいお母さんになるんだろう。



「もちろん、あなたたちには違うものをちゃんと用意してるわよ〜」



そう言うと、マリーちゃんは別の袋からまたシャンパンの様な物を取り出して俺たちの前に置いた。



「だからお酒はダメなんだってば~」



残念そうに肩を落とし俯きながらマリーちゃんに抗議するアキラだが、よく見るとマリーちゃんが取り出しのはシャンパンとは別物のようだ。



「これ、シャンメリーですよね?」

「さすがユウく~ん、目の付け所が違うわねん!」



嬉しそうに手を合わせ、片足を後ろに曲げて喜ぶマリーちゃん。仕草は可愛いが念の為にもう一度言っておくがケバいおっさんだからね。


「シャンメリーって何?」と、アキラがキアラに聞いているのは見なかったことにしておこう。



「グラスもちゃんと持って来たわよ〜ん」



マリーさんがそう言うと、どこからともなくお付きの人が現れて、人数分のグラスを置いてまたどこかへ消えていった。


マリーさんは忍者でも雇っているのだろうか…?



「じゃあ俺、注ぎますね」



ここにいる中で男はマリーちゃんは別として俺一人なので、率先してシャンパンの栓を抜き、それぞれのコップに注いでいく。


大人組を注ぎ終え、次は未成年組のためにシャンメリーをと思ったが、アキラが一生懸命シャンメリーの栓と格闘していたので、それを見守ることにした。



「ぐぬぬぬぅ~! 抜けな~いッ!!」

「アキラちゃん無理して怪我しないでね、コンサートの前なんだから」



キアラの言う通り、アキラがこのまま力を入れ過ぎて、栓が抜けた拍子にひっくり返って頭でもぶつけたら大変だ。


俺はそっとアキラに近寄り、シャンメリーの瓶を取り上げると意図も簡単に栓を抜いて2人のコップに注いだ。



「あッ! もうちょっとで開けれたのにーッ!」

「無理して怪我でもされたら困るんだよ、2人は今日の主役なんだからな」



取り上げられてすぐに栓を抜かれてしまったのが悔しいのか、ほっぺを膨らませてむくれるアキラだったが、心配だからと言われるとそれ以上は何も言ってこなかった。



「ふんッ! まあ… ありがと」

「最後なんだって?」


「何でもない! バーカバーカッ!」

「はいはい」


「ふふっ、素直じゃないんだからアキラちゃんは」


「ささ、じゃあ乾杯するわよ〜ん!みんなグラスを持ってー! 乾杯ーー!!」


「「「乾杯ーー!!!」」」



乾杯の音頭に合わせ、グラスの中のシャンメリーを一口、口の中に招き入れる。


すると、濃厚な味わいが口いっぱいに広がったと思うと、口当たりの良い炭酸が喉を通り抜けていく。



「すごく美味しい…」

「そうでしょーん!? ユウくんに喜んでもらえて嬉しいわー」



思わず溢れてしまった言葉にマリーちゃんが嬉しそうに反応する。



「はい! こんなに美味しいシャンメリー飲んだことありません!」

「今日は特別、ユウくんのために奮発しちゃったからんだからね~ん」


「え、高いんですか? これ」

「そうねぇ、だいたい高級車1台分くらいかしら」

「ブーーーーッふっ!!」



本当ですか!? そんな高いんですか、これ!? さすがモンスターカンパニーの社長だけあって飲み物のレベルも桁違いだ…


あまりにもびっくりして、飲みかけたシャンメリーを吹き出してしまった、なんて勿体無いことを…


残りは大切にちびちび飲もう。



「さあ!乾杯も済ませたことだし、 そろそろ時間ね! さあ、みんな気合い入れて行くわよー!!」

「「「おーーーーッ!!!」」」



全員が飲み終えた頃を見計らって、マリーちゃんが掛け声を出す。それにより全員の士気が一気に最高潮に達し、緊張感も高まる。


さあ、遂にkira☆kiraのコンサートが始まる。 俺も頑張らなきゃな!

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