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(旧)マル才  作者: 青年とおっさんの間
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顔出しNGで新曲作ります 1

「ここが生徒会室か…」



ある日、学校の中で唯一至福の時間である昼休みに校内放送で呼び出しをされて、すぐ来るようにと指定された場所がこの生徒会室だった。


生徒会室に呼び出される生徒の種類は主に2つ、1つは校内外問わず、問題行動の未遂や疑い、またあまりよろしくない噂などの事実確認をするために生徒が呼び出される。


もう1つは、大会やコンクールなどで優秀な成績を収めた生徒を呼び出し、生徒会からお褒めの言葉を預かるというありがた迷惑な呼び出しだ。


賞状やトロフィーなどもらった場合の生徒はこれの例外で、全校集会の場で校長直々に労いの言葉をかけていただける。


生徒会に呼び出されるのはそこまでじゃないけど、まあまあ頑張ってくれた生徒が呼び出されるというわけだ。


俺の場合、後者はまずあり得ないとして残るは前者になるわけだが、まず身に覚えがない。


とにかく、いつまでも入り口で突っ立っていてもしょうがない。



「ふぅー… 」



軽く息を吐き、覚悟を決めて扉をノックする。



「どうぞ、お入りになってください」

「失礼します」



ドアを開き中へ入ると、まずその豪華な作りに目を奪われてしまった。他の教室とは全く違う、まるでどこかの王室に来てしまったようなそんな感覚さえする。


ソファーのクッション1つを取っても、きっと俺のお小遣いで何とかなる代物でもないだろう。



「楽にしてくれていいのですよ」



あまりにもの煌びやかさに目を奪われていて口でも開いていたのだろうか。 クスッと笑い声が聞こえた後、生徒会長から俺に声がかかる。


改めて目の前の立派な机に向かって座っている生徒会長に向き直る。



「2年4組の入月勇志くんですね、初めまして。私は六花大付属高校の生徒会長を務める、3年1組の九条麗香です」



そう言って優雅に頭を下げる。その顔立ちはまるでどこかのモデルか女優のように整っていて、金髪ブロンドの髪は上品に縦ロールがかかり、その顔立ちと全身から溢れ出る気品とマッチしている。何よりもその自己主張の激しい胸が最高です。


噂ではこの学校の理事長の娘だとか、どこぞの財閥の娘だとか聞いたことがあるが、実際のところはよくわからない。



「初めまして入月勇志です。それで… わたくしのような者に何か御用でしょうか?」



当たり障りのないように、そもそも自分がここに呼ばれた理由を伺う。



「話が早くて助かりますわ。今回貴方をここにお呼びしたのは、先日貴方が男子バスケ部の助っ人をした件です」



おや? もしや県大会出場に貢献し、男子バスケ部存続が決まったから、お褒めの言葉を頂けるのでしょうか? それにこれだけ凄い部屋だし、何か粗品なんか貰えたりするのかなー、期待に胸が膨らむ。



「まさか貴方が六花大付属中のエース、『六花大のスピードスター』だったとは知らず、県大会出場を許すなんてとんだ失態です」

「はあ…?」


「県大会出場という無理難題を押し付ければ、男子バスケ部も納得の上で廃部になると考えていたのに、とんだ計算違いでしたわ」



あれ? 何だろう、全然喜んでもらえないし褒められもしない。



「あのー… 」

「何かしら?」


「ひょっとして俺、怒られてます?」

「まあ簡単に言えばそういうことになりますわね」



とほほほ、どうしてそうなるんでしょう… それに何故そこまで男子バスケ部を目の敵にするんだろうか。



「何で男子バスケ部を廃部にさせたかったんですか?」


「私も余程のことがない限りは廃部などには致しません。しかし、男子バスケ部には多くの方から苦情が来ておりまして、仕方なく廃部という形を取ることに決まりました」

「その苦情といいますと?」



だいたい予想はできるが、万が一ということもある。一応聞いておこうとさらに質問を重ねる。



「主に女子生徒からの苦情でして、内容は男子バスケ部の生徒が女子バスケ部の生徒を舐め回すような、いやらしい目で見ているということですわ」

「うん、やっぱり廃部にしちゃいましょう、あんな部活」



予想通りだった。もしかしたら別の可能性があるのではと思った俺がバカだった。



「だから貴方の所為で廃部を間逃れてしまったのです!」

「ほんとすんません!わざとじゃないんです!そんな事情があると知っていればスケットなんてしませんでした、ほんとに!」


「はぁ… わかりました。そこまで言うのであれば、今回の件は不問としましょう」



良かった、わかってくれたみたいだ、流石生徒会長様。


綺麗で優しくて誰からも愛される、六花大付属高校の付き合いたい女子No. 1は伊達じゃない。



「しかし、条件があります」

「へ?」



ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、被せるように言われた言葉に嫌な予感しかしない。



「今、生徒会は人手が足りません。通常の活動を行うのに手一杯です。これに学校行事やイベントが重なってしまうと、その運営に大きな支障をきたしてしまいます」

「はあ…」


「そこで貴方には生徒会の臨時補充要員として働いてもらいたいのです!」



うわ~… 厄介な話になってきたぞ。ただでさえ学校行事なんて憂鬱なのに、その裏方までやらなきゃいけないなんて、まるで拷問だな。何としても回避しなければならない。



「拒否権はありますか!?」

「ありません!」


「裏方の仕事をすると逆立ちしながら発狂する病気を持ってるので辞退させていただ…」

「ふざけないでください!」

「はい、すいません」



どうやらダメみたいです。


学校行事なんてあわよくば欠席してやろうと思ってたのに、とんだ面倒に巻き込まれてしまった。男子バスケ部のスケベ野郎たちめ~ッ!! 覚えてろよッ!!



「そんなに嫌そうな顔をしないでください。あくまで臨時補充要員であって、普段から手伝ってと言っているわけじゃないんですから、ただ忙しい時に雑用を少し手伝ってもらうだけですわ」


「それってつまり… パシリってことですか?」

「まあ、簡単に言えばそういうことですね」



物凄い笑顔で言われたけど、なんでだろう… 全然嬉しくない…



「では、また必要な時にはこちらからお呼びしますので、それまでは普段通り学業に勤しんでください」

「はい… わかりました… 」



こうして俺は生徒会パシリに任命されました。


それにしても、どうしてこう厄介ごとが後を絶たないのだろうか。


もうこれ以上何も起こらないことを願うばかりである。


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