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(旧)マル才  作者: 青年とおっさんの間
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顔出しNGの事情があるのです 9

「なあ、いつまでお姫様抱っこしているつもりだ?」



花沢さんを庇って脚を軽く捻ってしまった俺は、脚に負担が掛からなそうだからという理由だけで、真純にお姫様抱っこされて保健室まで運ばれていた。


道行く男子生徒には指をさして笑われ、女子生徒たちにはキモがられ散々な目に遭っている。


中には例外もいて…



「男と男がお姫様抱っこで、あ゛ぁあぁぁあぁああッ!!! どこ行っちゃうのッ!?」



と、大騒ぎしている女子がチラホラいて反応に困った。



「もうすぐ保健室だからガマンガマン」



そう言って軽々と俺を運んでいく真純。

流石ドラマーなだけあって、凄い筋肉あるなーと感心する。


真純になら抱かれてもいいかも… いかん!邪念がッ!


保健室に着くと両手が塞がっている真純の代わりに、俺がお姫様抱っこされている状態で扉を開ける。


なんてシュールな絵面だろうか。



「すいませーん、バスケの練習中に脚を怪我したやつを運んできましたー」

「おう、お疲れさん。 空いてるベッドに運んどいてー」


「俺はモノ扱いか!」



そのままベッドにゆっくり降ろされる。 やはり、ベッドが脚に触れると少し痛みがある。



「こりゃ捻挫だなー、湿布貼って包帯巻いときゃ大丈夫だろ」




相変わらず適当だなこの先生。


保健室の先生と言えば白衣の似合う、素敵なお姉さんというイメージというか、世の男の憧れでもあるのだが、この学校は違う。


まずオッサンだ。 それだけで既に夢は潰えたのだが、これがただのオッサンではなく色気があるオッサンなのだ。


後藤重正ごとうしげまさ

六花大付属高校の養護教諭。 所謂、保健の先生だ。


無精髭を生やし、髪はボサボサの癖に女子生徒からモテモテ。


学校をサボろうとする女子が、わざわざ登校して保健室でサボるというくらい、もう訳がわからないオッサンなのである。



「シゲ先生、もうちょっとちゃんと見てくださいよ….」

「そんなん見なくてもだいたいわかるっつーの。 ほれ、湿布と包帯」


「投げるな! てか、セルフサービスかっての!」

「スー、ハァー」


「タバコ吸うな!!」


「じゃあ先生、勇志のこと頼みます。俺はそろそろ戻らないといけないので」

「おう任しとけ」

「不安で仕方がないがな」



真純は俺を運んでくれた後は手持ち無沙汰なので直ぐに練習に戻るようだ。


この先生と2人きりにされるのは少し嫌なんだけどな。



「おい、お前さん以前に脚にでっかい怪我した事あるだろ」



真純がいなくなると、シゲ先生が唐突に俺に尋ねてくる。


しかも触ってもいないのに見事に当てやがった。何者なんだこの人は?



「中学の時に足首の靭帯断裂やってます。 でも、今はもう日常生活に支障はないです」


「今は、ねえ? どうも激しい運動に勤しんでいるように見えるけど、日常生活逸脱しちゃってない?」

「問題ないです。 流石に無理はできないですけど、ちゃんとセーブしてますから」


「まあ俺は別に止めはしないが、足首の怪我はクセになりやすい。 あんまり無茶すんなよ」

「肝に銘じておきます」



あれ? なんだシゲ先生いい人なのか? なんだかんだ言って俺のこと気にかけてくれるようなこと言って。


相変わらずタバコ吸ってるのはどうかと思うが、そこまで毛嫌いすることもないのかな。



「それよりお前さん、部活動なんかに勤しんじゃって、《Godly Place》の活動はいいのか?」

「え゛?」


「あら? お前さんガップレのユウってやつだろ?」

「え゛ぇぇぇええええッ!!?? 」



なななななんでわかったんですか? エスパーですか、あなたは!?


俺、シゲ先生の前でガップレの話すらしたことないのになんで!?



「図星か、わかりやすいなお前」

「なんでわかったんですか!?」


「そりゃあ、骨格とか声のトーンとか判断する要因はいくらでもあるぞ」



何ということだ!


俺が今まで頑張って顔を隠してきたというのに、こんな人間離れした観察眼で見抜かれてしまうなんて… あまりにも 理不尽だ!


泣きたい… 泣いてもいいかな?



「おいおいおいおい! そんな顔をすんなよ、別にとって食おうって言ってるんじゃないんだからよ!」

「え? そうなの?」


「もちろん生徒の秘密は守るさ。 代わりにサインくれ、ネットで高く売るから」

「やっぱアンタ最低だよ!」

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