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(旧)マル才  作者: 青年とおっさんの間
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顔出しNGの事情があるのです 2

「はあ…」



その日の放課後からバスケ部の助っ人をすることになってしまった俺は、重い身体を引きずって体育館へ向かっているところだった。


放課後、いつも通り隣の教室から迎えにきてくれた歩美に助けを求めたが、「勇志は運動不足だからちょうどいい機会じゃない」とサラッと流されてしまった。



「試合の日にちが決まったら教えてね、応援に行くから」



そう言って先に帰ってしまった。 薄情な幼馴染みだよ、まったく!



結局、俺を脅した小畑のヤツは限定ダンガムプラモを渡すのを渋り、短い口論の結果、県大会出場まで行ければ進呈することで話しがついた。


そう、つまりそれは頑張らなければいけないということだった。


『努力』


俺の嫌いな言葉だ。


この世の中、努力じゃどうにもならないことの方が多い。


そんなマイナスことばかり考えてしまうほど気が乗らないことなのだ。


体育館に着くと、早速俺を見つけた小畑が駆け寄ってくる。



「よーく来てくれたな! 待ってたぜ! 」

「待ってくれなくて良かったのに」


「そんなつれないこというなよ~! さッ、練習始めようぜ!」



練習するとは言っても3面あるコートは全部使われている。


目の前のコートだって女子バスケ部がオールコート使って練習をしていた。



「練習と言われても一体どこでやるんだ?」

「ああ、ここだよ、ここ」



小畑は自分たちが立っているコートサイドのわずかなスペースを指してニヤニヤ笑っていた。


どうやらこの限られたスペースが男子バスケ部の練習場所らしい。



「そこまで追い詰められてるのね、君たち… 」



周りを見ると他の部員たちは、その僅かなスペースで中腰になり、バスケボールをドリブルしてコートの中で汗を流す女子をボンヤリ眺めていた。


その光景がすごく切ない…



「ほらッ、ボール」

「おっ、と」



小畑から投げつけられたボールをキャッチして、俺も同じようにコートサイドでドリブルを始める。


久々にボールを触ったからか、なかなかボールが手に馴染まない。


2、3分ドリブルを続けると、やっとボールが手に馴染む感覚を取り戻してきた。


「懐かしいなー」


中学時代、バスケ部の体験入部の時もこうやってコートサイドでドリブルをついて、コートの中の先輩たちのプレイを見てたっけな。


今、目の前では女子バスケ部の練習が繰り広げられているが全員なかなかレベルが高い。


たしか、うちの学校の女子バスケ部は県大会出場の常連だったけかな。


廊下に張り出されている校内新聞で見かけたことがある。


そりゃあ弱い男子バスケ部がコートを追い出されても文句言えないわなと、隣の部員たちに目をやるが、はて? なんかコイツらニヤニヤしてないか?


彼らの視線の先を辿ると、コートの中でも一際目立つ女子がディフェンダー2人を華麗にドリブルで躱し、右サイドからレイアップでシュートを決める瞬間だった。


その動作の一つ一つの綺麗さに、俺もつい見惚れてしまった。


しかし待てよ、どうもその女子に見覚えがある。


シュートを決めて、コートの内側に向き直った顔を見て俺は驚愕した。



「い、委員長… 」



コートの中の可憐な女神は俺のクラスの学級委員長、『立花時雨たちばなしぐれ』だった。

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