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(旧)マル才  作者: 青年とおっさんの間
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顔を隠したある休日の話 4

「はぁ〜… 広いな〜!」



まさか、スターエッグプロダクションの中にゲーセンがあるとは、マリーさんなかなかいいセンスしてるな!


キアラとのデート中だから、ゲーセンに寄るのは我慢しようと思っていたのだが、キアラの方から行きたいと言い出してくれたので、こうして大義名分を得た俺はキアラと一緒にゲーセンにいるわけだが…



「おお! ダンガムシリーズ! 一通り揃ってるじゃないか!」



完全にキアラを差し置いて俺が楽しんでいた。



「ふふっ、ユウさんったらそんなにはしゃいでしまって… 転ばないように気をつけて下さいね?」


「あ、いや! ごめん… キアラを差し置いて、俺が楽しんじゃって… 」


「気にしないでください。それに、はしゃいでるユウさん、すごくかわぃ…!? うッ…!!」



可愛いと言いかけてしまって恥ずかしくなったのか、キアラが真っ赤な顔をして俯く。



「かっ、可愛いか… あ、ありがとう… 」


「ごめんなさい! 私、可愛いなんて言うつもりなくてですね! さっきのユウさんにピッタリ当てはまる言葉が、たまたま“可愛い”って言葉だっただけでして!別に本当に可愛いわけじゃないんです! いや、でも可愛くないってわけでもなくて… あれ!? あれあれあれ!?」


「ふッ、あはははは!」



キアラがこんなに動揺しているのは久々に見るな。あたふたしている仕草や、照れている姿を見て、思わず笑ってしまった。



「もう… 笑わないでください…!」

「ごめんごめん、あたふたしてるキアラが何か可愛くて… あ… 」



つい俺もキアラのことを“可愛い”と言ってしまい、急に恥ずかしくなってしまう。



「ゆ、ユウさんが私のことを可愛いって… ユウさんが私のことを可愛いって… 」



キアラも俺に可愛いと言われたことが恥ずかしかったのか、さらに真っ赤な顔になって今にも湯気が出てきそうだ。



「えっと… せっかくだから何か2人でできるゲームでもやろうか!? ほらあれ何てどう!?」



恥ずかしさを紛らわすように、近くのクレーンゲームを指差す。



「クレーンゲームですね!でも私、やったことがなくて… 」

「ゲーセン初めてだもんね、じゃあ俺がやり方を教えるからやってみる?」


「はい! お願いします!」



数あるクレーンゲームの中からキアラが選んだのは、色々なキャラクターがデフォルトされた姿のぬいぐるみが並べられているボックスで、早速俺はクレーンゲームにコインを入れてキアラにやり方を説明し始めた。



「このレバーで上のアームを操作して、隣の丸いボタンでアームを下ろしてキャッチする。あとは出口まで勝手に動いてくれるよ」

「こう… ですか?」


「そうそう、いい感じ。取りたいぬいぐるみとアームの位置を合わせて、ボタンを押して」

「…えいッ!」



キアラが操作したアームはぬいぐるみの足元を目掛けて落下し、少しだけぬいぐるみを持ち上げて落としてしまった。



「惜しい!」

「あッ! 残念です… 」


「今度は一緒にやってみようか」

「はいッ!」



もう一度コインを入れて、今度はキアラのすぐ後ろに回り、レバーを操作する手の上に自分の手を重ねる。



「あいつは頭が重そうだから、もう少し首の辺りを狙ってアームを落とそう」

「あ… あの、えっと… その… こ、これは… 」


「もう少し… あッ、行き過ぎかな… もう少し下、うん! そこ、いいよ!」

「い、いいんですか? 私で… 」


「大丈夫、キアラにしてもらうことに意味があるんだよ! 」

「分かりました… 行きます!」



何かクレーンゲームじゃなかったら、凄く変な会話だよな…


キアラが押したボタンに合わせ、アームが勢いよくぬいぐるみに向かって落ちていく。


そして、狙い通りぬいぐるみの首元にアームがハマり、ぬいぐるみ全体が上手く持ち上がっていく。


そのまま首を吊るされながら運ばれたぬいぐるみは、ゆっくりと出口に吸い込まれるように落下し、見事ゲットすることができた。



「ユウさん、すごいです! ぬいぐるみが取れましたよッ!」

「うん! キアラが上手だった… から… 」



いつの間にか、俺とキアラの顔がくっ付きそうな程近くにあり、凄い至近距離でお互い見つめ合って固まってしまう。


何だこれ!? まるで俺がキアラを後ろから抱き締めてるみたいな感じになってるじゃないか!?



「ごッ、ごめん!」

「いッ、いえ!」



何とか数秒で意識を戻し、キアラから離れることが出来たが、あと少し遅かったら危なかった。


キアラの澄んだ瞳に見つめられていると、すごく柔らかそうな潤った唇に、俺の唇が吸い込まれそうな感覚に陥ってしまう。


キアラは俺の事が好きなんだから、「そのまま唇を奪っちまえよ!」と、俺の中の悪魔が囁き、同時に俺の中の天使は、「キアラの純粋な気持ちを弄ぶようなことをしてはいけないよ! 」と、俺の崩れそうな理性を辛うじて支えてくれている。


俺にとってキアラは…


俺にとってキアラは、どういう存在なのだろうか…?



「えっと… ユウさん、このぬいぐるみは… 」

「ん? ああ、もちろんキアラにあげるよ! まあ、欲しかったらだけど… 」



なぜキアラは数あるぬいぐるみの中で、こんなホラー映画の殺人鬼みたいなやつをデフォルトしたぬいぐるみを選んだのだろうか?


もっと可愛やつなら周りにいっぱいあっただろうに…


まさか、俺の被っているお面のモチーフになってるからなんてことはない… よな?


単純に取りやすそうだったからとかだろう。



「はいッ! 嬉しいです、大切にしますね!」



何という汚れのない純粋な笑顔なんでしょうか!?


守りたい、この笑顔…



「キアラが良かったら、もっと可愛やつを取ってあげるけど… 」

「これがいいんです! だってこの子、どことなくユウさんに似てると思いませんか!?」


「えッ!? 確かに、俺のお面のモチーフはこの人形と一緒だから、似てるというか何というか… 」

「私、このぬいぐるみを枕元に置いて大切にしますね!」



まっ… 枕元、だと…!?


おい、そこのぬいぐるみ、ちょっと俺と変わってくれ… お願いします、変わってください!


くぅ〜、何と羨ましい人形なんだお前は!?


人形に焼きもち妬いても仕方がない、そろそろキアラに誕生日プレゼントを選んでもらわないと予定の時間になってしまう。


キアラと一緒にゲーセンを後にしようとした時、ポケットの中の携帯が音を立てて着信を告げる。



「はい、もしもし… え? もうですか!? まだ早いじゃないですか! はい、はい… わかりました」


「ユウさん? どうかしましたか?」


「ううん、何でもないよ。それより、キアラと行きたいところがあるんだけど、一緒に来てくれないかな?」

「はい、喜んでご一緒します!」



俺とキアラは、マリーさん一同が待つ、キアラの誕生日会の会場へと移動したのだった。

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