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(旧)マル才  作者: 青年とおっさんの間
118/127

顔を隠したある休日の話 3

私は夢でも見ているのでしょうか…?


大好きなユウさんの隣に並んで歩くことができるなんて…


しかも、ユウさんは確かにこれを“デート”だってハッキリと言っていました…!


私は天にも昇る気持ちを顔に出ないように、自然にニヤケてしまう表情をその都度直します。


ダメよキアラ! ユウさんの前でこんな顔をしていたら変な子だって思われちゃう! ユウさんには、私のことを少しでも可愛いと思ってもらえるように努力しないと!


そう自分に言い聞かせて気合いを入れます。



「あの〜、キアラ? やっぱり俺なんかと一緒じゃつまらないかな… 」



ユウさんから見えない位置で1人でグッと握り拳を作ってガッツポーズをとっていた私を見たユウさんが、申し訳なさそうな声色で訪ねてきます。



「そっ、そんなことないですッ!! 私、ユウさんと一緒にこうして、でっ… デートできて凄く嬉しい… です… 」



勢いで言ってみたものの途中から恥ずかしくなってしまい、だんだん声のボリュームが落ちていきます。


夢にまで見たユウさんとの“デート”という言葉を口にして初めて実感が湧いてしまって、嬉しさと恥ずかしさで全身が焼けるように熱くなっていくのを感じます。



「う、うん… ありがとう… 」



そう言ってユウさんは頭の後ろをポリポリ掻きながら、明後日の方を向いてしまいました。


もしかして、ユウさんも緊張したりしているのでしょうか?



「えっと! じゃあキアラ!」

「はッ、はいッ!!」


「その… どこか見たい所はある? と言っても自分の会社だし、いつも買い物とかしていると思うけど… 」

「ありますッ! ユウさんと行きたいところいっぱいあります…!」


「…良かった!じゃあ一緒に行こうか!!」



それから私とユウさんは、普段私が買い物をする服屋さんや雑貨屋さんを見て回りました。


いつも来ているお店も、ユウさんと2人だと全く違って見えて、少し派手な服も、可愛くないぬいぐるみも、私の目には全てが輝いて見えました。



「ユウさん、これなんてどうですか?」

「俺にはちょっとお洒落過ぎる気がするんだけど… 」


「そんなことないですよ! 絶対似合いますッ!」

「じゃあ試着してみるよ、その代わりキアラもこの服着てみてくれない?」


「え? 私がですか!?」

「うん、この服キアラが着たら凄く似合うと思うんだけどなー」


「きッ、着させて頂きますッ!」



2人で隣同士の試着室にそれぞれ入り、私はユウさんが選んでくれた柔らかい水色のウエストリボンのワンピースに着替えます。



「ううっ… 」



薄い壁の所為でしょうか、隣からベルトを外す音や服が擦れる音が聞こえてきて、さっきからドキドキが止まりません!


だッ、ダメよ私! すぐ隣にユウさんがいるのに変な妄想とかしたら…!


考えないように、妄想しないようにと思えば思うほど、私の頭ではユウさんとの甘い妄想が広がっていきます…





……


………





「キアラ?」

「……… 」



寝室のクイーンサイズのベットで眠っている私の耳元で、ユウさんがその優しくて甘い声で私の名前を呼びます。



「疲れて眠ってしまったのかな… 」



私の前髪を撫でるようにして、ユウさんの指が頬に触れます。



「じゃあキアラと夢の中で会えるように、キアラをギュッと抱きしめながら僕も寝ようかな… 」



そう言ってユウさんはおもむろに上の服を脱ぎ、その次はベルトを外して下の服も全部脱ぎ捨てると、私の眠るベットの中へ潜り込み、そっと背後から優しく私の身体を自分の身体で包み込みました。



「うん… ユウ…?」

「ごめんね、起こしてしまったかい?」


「ううん、いいの… 目を開けたら隣にユウがいたから… それだけで私は幸せなの… 」

「キアラ… 」


「ユウ… 」



そして重なり合う二人の唇…






……


………






「…アラ? キアラー?着替え終わったー?」

「はッ!? ユ、ユウさん!? あ! もうすぐ終わりますッ!!」



あれだけ変なことを考えないように言い聞かせていたにも関わらず、あんな恥ずかしいことを平気で妄想してしまっていました。



「お待たせしました!」



途中で止まっていた着替えを急いで済ませてカーテンを開けると、そこには私が選んだジャケットと細身のジーパンに着替えたユウさんが立っていました。



「……!?」

「えっと、やっぱり変… かな?」


「ちっ、違いますッ! その… 凄く似合ってて、凄く格好良くて… その… 」

「え…! っと、あ… ありがとう… 」



どっ、どうしよう… ユウさん格好良過ぎるよ〜!!



「キアラもさ、その… 似合ってるよ! 凄く可愛い… 」

「え…?」



ユウさんに言われて改めてちゃんと自分の姿を鏡で確認します。そこには普段とは少し違う大人っぽい服装の私が少し頬を赤らめて立っていました。



「あ… 可愛い、この服… 」

「それもそうだけど、やっぱりモデルが良いからじゃないかな?」



私が鏡を見ている横にユウさんが立って、お互い鏡越しに目が合います。



「そっ、そんなことないですよ! ユウさんが選んでくれた服が良かったんですよ!」

「はいはい、そういうことにしておいてあげましょう」



そう言って2人してクスッと笑いました。


私が選んだ服を着たユウさんの横に、ユウさんが選んだ服を着ている少し大人っぽい私が並んでいて、それはまるで私とユウさんが付き合いたてのカップルのように見えます。


私とユウさんを見た人はきっと今の私みたいに、この人たちは付き合ってるのかなって思うのでしょうか…


あああああッ!! すごく恥ずかしい〜ッ!!


私ったら本当に何を考えているのッ!?


結局、ユウさんも私も試着した服をそのまま購入しました。


だってユウさんが私のために選んでくれたんですよ!? 買わないわけにはいきません!



「キアラ、そろそろ休憩しようか?」

「はい!」



ユウさんはそう言って辺りを見回し始めると、ふと目線が何処かで止まりました。


私もユウさんが見ている方に目を向けると…



「ゲームセンター…?」



ユウさんの視線の先には、色々な色の光が輝くゲームセンターがありました。



「あっ、いや! ごめんごめん、まさかここにゲーセンがあるなんて思ってもなかったから… 」



もしかして、ユウさんはゲームセンターに行きたいのでしょうか?



「あの… 私、ゲームセンターって行ったことがないので、その… 良かったら案内してくれませんか?」

「え…? そうなの!? なら… 俺がバッチリ案内するよ! 行こう!!」



そう言ったと思ったら、ユウさんは私の手を取ってゲームセンターまで駆けて行きました。


ついに、私はユウさんと手を繋いでしまいました…




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