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運命の赤い糸  作者: 頭山怛朗
16/21

ファミレスにて

<13>



 私は市長からの電話を置いた。


 間違いなく、あの女刑事は一昨日、家の前でこっちを窺っていた女だ。男刑事は私の説明で納得したが、女刑事は何故か納得していない。あの女、どうして、私にたどり着いたのだ? 

 女警官と私の間に赤い糸が繋がっているのが見えた。

 でも、それはほんの一瞬だった。錯覚なのか?

 それとも、私とこの女警官は“運命の赤い糸”で結ばれているのか? 私とこの女警官は恋愛関係になる? 馬鹿馬鹿しい。あり得ない!!

 先、考えたことと同じことを、また、考えた。どうどう巡りだ。

 あの女刑事と恋愛関係でないつながりがあるとすれば、逮捕される? 私はあの女刑事に逮捕される?



「絶対にあの男が怪しいと思うわ。あの男が津田四郎さんを殺したのよ! 」と、美鈴は言った。「で、葬儀委員長のおさまるなんてなんて図々しい! 」

「でも、事件のあった日、その男の車はずっと車庫にあったのでしょ? 」と、和田君。「車がないと移動はできない」

「それに、男は徒歩でも出かけていない。と、近所の“お節介さん”のおばさんが言っている」と、美鈴。

 何時ものファミレス。店の奥の一番端の席だった。

 幸いなこと(?)に美鈴と和田君が付き合っているのは、管内で殺人事件が発生してM署内の噂になっていなかった。事件でそれどころではない。交通課がスピード違反の取締りをしても、「こんなことしている暇があったら、さっさと殺人事件を解決しろ」と、多くの違反者が言った。

 それでも、二人で一緒にいるところを見られたら不味い。和田君の官舎に美鈴が訪ねるなんてとんでもないことだ。逆に、和田君が美鈴の家に顔を出すのも適当ではないだろう。

 それで、二人合うのはちょっとした“犯罪”でも犯しているみたいだった。待ち合わせの時間と場所を決め、二人ばらばらに署を出て落ち合っていた。

「男は別に車を持っている、とか……」と、和田君。

「それはない。調べたけれど、車はレクサスの一台だけ」と、美鈴。

「……。なら、その男は殺していない!? 第一、その男が被害者を殺さなければならない理由ない。仮にその男が中学生の時に被害者と何らかのトラブルがあったとして、中学校を卒業して二十年以上たっている、今、何故? ……と、いう疑問もあります」

“あの男とは赤い糸で繋がっているのよ! ”という言葉を飲み込んで、美鈴は言った。「刑事の勘よ! 」

「杉田さんは刑事になって何年ですか? 」

「三年よ 」

「その間、実績は? 」

 和田君は聞きにくいことを聞いた。美鈴にも和田君が言いたいことは分かった。“たった三年で、刑事の勘は養えるのか? ” 答えはきっと“無理! ” でも、私には殺人犯と繋がる<赤い糸>がある。実績がある……。

「一件だけ。つい、この間、事件を解決したわ 」

「あぁ、それなら僕も聞きました。杉田さんが男子高校生に声をかけていなければM署は二つの殺人事件を抱え込むことになった、と……」

「あれは、まぐれと思う? 」

「いえ、決して。僕、信じます。杉田さんの刑事の勘! 」

“ヨイショかな? ”と、美鈴は思った。

 美鈴と和田君は見詰め合った。和田君の顔が赤くなるのが美鈴に分かった。

“和田君も私のこと、好きなのかも? ”と、美鈴は思った。

「珈琲でも飲む? 」と、美鈴が言った。

「……」 和田君の返事が無い……。美鈴の話を聞いていない!?

「珈琲でも飲む? 」


ヤフーブログに再投稿予定です。

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