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エピソード5 接近

Episode5

登場人物

加地 伊織:主人公

吾妻 碧:幼馴染み 高校生

館野 涼子:ヤンデレ 中学生

イアン シェパード:友達 留学生

東雲 詩織:怪しい 女子


伊織は進路なんて今の処真剣に考えた事が無い。 まだ高校2年生だし、将来どんな仕事に就きたいかなんてピンと来ないし、ぎりぎり赤点を取らないで済んでいるレベルの自分が大それた進学の夢を語るのもおこがましい気がする。


碧は受験勉強で忙しいらしい。 もう高校2年生だし、そもそも中高大一貫校に通っているのに夏休み中を受験勉強と部活で明け暮れているのだから、それなりに何かしら将来のビジョンを持っているに違い無かった。


そんな貴重な夏休みの合間を縫ってのデートである。 とは言っても昨日の深夜に急遽決まったイベントなので、関係各所への通達が一部間にあわなかったとしても、情状酌量の余地はあると思う。



待ち合わせの駅前ロータリーには、何故だか涼子がくっ付いて来ていた。


碧:「お待たせ〜。」


碧、薄緑のかぎ針編みニットのトップスとデニムのショートパンツ、多少気合いの入ったコーディネートで登場。


伊織:「最近毎日うちに来ててさ、…付いてきちゃった。」


碧、ちょっと、むっとした表情になる。


碧:「涼子ぉ、伊織の彼女は誰かな?」


涼子、碧を指差す


碧:「そうそう、よくできました。」

碧:「じゃあ、そいう事で、今日は伊織 返してもらうからね。」


涼子、意外と素直に引き下がる。


碧:「さてと、せっかく夏なんだから、プール行こ、プール。」


伊織、どんどん先へ行く碧の後を付いて歩く。



ローカル線でかなり西へ行った所から、今度はバスで十分ほど揺られて目的のプールリゾートに到着する。 本物の海が眺められるプールとして有名。


更衣室の出口で待ち合わせ、


碧、白と青のストライプのビキニで登場。

伊織、体育会系で鍛えられた碧の腰回りと意外に深い谷間にドキッとする。


伊織:「お前、結構胸あるんだ…。」

碧:「感謝しなよ。」


伊織、改めて自分の腹を見る…。


伊織:「明日から腹筋しよっかな。」

碧:「期待してるよ〜。」



伊織、とりあえずパラソル借りて陣地を決める。


碧:「背中、日焼け止め塗ってくんない? 」


確かに、結構日差しがキツい。

伊織、緊張しつつも女の背中にローションを塗布。


伊織:女の背中に触るなんて、始めてかも…。


碧:「ほら、あんたにも塗ったげるよ。 後ろ向いて。」

伊織:「俺は良いよ、別に。」

碧:「バカ、後で日焼けして痛くなるから、ちゃんと塗っときなって。」


伊織、背中に女の掌を感じる、当然ドキドキせずにはいられない訳で…


碧:「隙あり!」


碧、いきなり脇の下から手を忍ばせて伊織の胸を揉む。


伊織:「何を、」

碧:「いつぞやの仕返しだ!」


伊織:「それ以上は…やめて!」



ウオータースライダー待ちの凄い行列に並ぶ。


碧:「二人乗りでいいよね。 最初 私、前!」

碧:「ここさ、コースが二つ有んの、二回滑るよ!」

伊織:「受験勉強やってる奴が、滑るとか言ってていいのか?」

碧:「今日は勉強の話はすんな!」


八の字型の二人乗り浮き輪を借りる。

140m 一回目、…結構長い。 浮き輪の構造上伊織の足が碧の肩に触れる。 一寸緊張。 それでも碧は何だかキャーキャー言って楽しそう。


再度、ウオータースライダー待ちの長い行列に並ぶ。


碧:「おー、海が見えるね、あれもしかして江ノ島じゃね?」


確かに、遠くにそれらしき影。


碧:「海の色、綺麗ね〜。」


140m 二回目、…今度は伊織が前。 碧の裸足が伊織の肩に乗っかっている。 一寸緊張。 それでも碧は何だかキャーキャー言って楽しそう。



碧:「次、アレ行こ。 流れるプール。」

伊織:「夜店の水風船みたいだな…。」


伊織、浮き輪を借りて来る。


碧:「一個で良いよ、」

碧:「私座るから、あんた押さえてて…。」


プールサイドで浮き輪を固定、碧が真ん中の穴にお尻を入れる…

碧、案の定ひっくり返る。


碧:「ちょっとぉ、ちゃんと押さえててよ。」


結構流れ速い。


碧:「気持ちいい。」

伊織:「…掴まりにくいよ。」


碧、伊織の腕をとって、自分の腰に掴まらせる。 密着。

伊織、しばらくは上がれない状態に…。



イアン:「イオリ!」


見ると、イアンが流れている。


伊織:「イアンじゃないか。 どうしたんだ? こんな処で、」

碧:「何! あの人、格好よくない? もしかしてあんたの知り合い?」


伊織:少しふてくされる。


伊織:「あぁ、格好イイね…。」


イアン、プールサイド女子の視線を独占している。

イアン、伊織に近づいて来る。


イアン:「あれ、…その人、この前の人と違いますね。」

碧:「この前の人?」


伊織、一瞬ギクリとする。


伊織:「ああ…涼子の事。 この間イアンがうちに来た時に涼子と会ったんだ。」


イアン:「失礼しました。」

イアン:「始めまして、イアン シェパードです。」

イアン:「お会いできてとても嬉しいです。」

イアン:「イオリの友達で、一緒に武術を習っています。」


碧、お尻を浮き輪に突っ込んだちょっと恥ずかしい格好で、握手する。

何故か、胸を隠そうとしている。


碧:「始めまして、吾妻碧です。 伊織とは幼馴染みで…、」


伊織:彼女じゃ無いんだ…。


伊織:「一人で来たの?」

イアン:「ジロウと一緒です。」

イアン:「僕の住んでいた町には、こんなプールが無いので、」

イアン:「見学に連れて来てもらいました。」


伊織:「それで、…上野は?」


伊織、見回すが辺りにそれらしき人影は見当たらない。


イアン:「彼は傘の下でずっといます、」

イアン:「彼は泳ぐのは嫌いみたいです。」


伊織:また無理矢理つき合わされたのか…。

おそらくパラソルの下でラノベの資料収集に勤しんでいるに違いない。



碧:「あんた、凄い友達いるじゃん。」

伊織:「ああ、半年間イギリスから留学にきてるんだって。」


伊織:こいつ、結構面食いだよな…



伊織:「それにしても、みんな結構大胆な水着で来るんだな。」

碧:「まあ、ああいうイケメンが来るから、気合いれてんのよね。 知らないの? 大体こういう所に来るのは、お子様か、男子釣りかドッチかなのよ。」


伊織:男子釣りって…


碧:「あんたもキョロキョロ見過ぎ、ほら!此処に可愛い子がいるでしょう?」

伊織:「幼馴染みだけどね…、」


碧:「あら、気にしてんの?  もしかして、「彼女」とか言って欲しかったのかな?  …伊織クンは?」

伊織:「別に…。」



その後、波のプールへ。

結構な波高。


碧、浮き輪に寝そべって波乗り。 目を閉じて暫し安らぐ。

伊織、馬方の様に付き添い。

伊織、碧の胸元が気になって仕方が無い。 しばらくは上がれない状態に…。



昼飯はプールサイドのハンバーガー、

碧、ケチャップが口元に付いている。


碧:「じゃあ、さ、この後ボーリング行こ?」


伊織:何故にボーリング? 

まさに体育会系女子…。



更衣室でシャワーを済ませ、すっかり着替えも済ませて併設するボーリング場へ。 …女の支度は時間がかかるらしい。 


ベンチでぼーっと碧を待っていると、女子が近づいて来た。

結構可愛い…。


女子:「あのぉ、さっきの外人の方とお知り合いの方ですよね。」


伊織:イアンの事か…。

伊織:「ええ、まあ…。」


女子:「突然、声かけて済みません。 実は、私の友人が、あの外人の方に一目惚れしちゃったみたいで、どうしても一度会ってお話がしたいって言うんです。」


伊織:「はあ…。」

女子:「もし良かったら、…連絡先を教えて頂けないでしょうか?」

伊織:「それで、…その友達は、何処に?」

女子:「彼女、凄い恥ずかしがり屋で…、良ければ私が代わりに。」


伊織:何か、怪しい気が…しないでもない。


女子:「電話番号交換させてもらっても良いですか?」


伊織:女子の電話番号ってこんなに簡単にゲットできる物なのだろうか!?


伊織:「まあ、…良いですけど。」

女子:「ありがとうございます。 私、東雲詩織って言います。」


伊織、怪しい女子と赤外線通信。


東雲:「それじゃあ…また連絡しますので、あの方の都合を聞いておいてもらえますか?」

伊織:「とりあえず、了解です。」



東雲、そそくさと立ち去る。

碧、其処へ登場。


碧:「あの女、誰?」

伊織:「なに、妬いてんの?」


碧、結構キツい顔で睨む。


伊織:「ああ…イアンの事聞いて来たんた。 紹介してくれないかって。」


碧:「まあ、確かにあんたをナンパして来る女なんていないわよね。」

碧:「改めて私に感謝なさい。」


伊織:何故に上から目線?

それにそんな事もないぞ、これでも結構 年上のお姉様にはモテるのだ。


碧:「さあ! やるよ、靴借りに行こ。 最低3ゲームね!」



中略、

3ゲーム終了、…結構ヘトヘト。 意外に指がプルプルしている。


伊織:「お前、気合いの割にはタイシタ事無いのな。」

碧:「うるさい! 今日はたまたま調子が悪かったの。」



国道沿いのファミレスでお茶。


碧、さりげにこの前 伊織からプレゼントされたブレスレットをしてる。

伊織、それに気づいてドキッとする。


碧:「結構遊んだね、」

伊織:「クタクタだよ…。」


碧:チョコレートパフェ

伊織、クリームソーダ


碧:「ところでさ、あんた、受験とか大丈夫なの?」

伊織:「何だよ、今日は勉強の話はしないんじゃなかったのか。」

碧:「いいから、教えなさいよ。」


碧、ちょっと怒った顔、


伊織:「俺? 今更、良い大学とか言ってもなぁ…、どっか入れる所があればそれでイイや。」

伊織:「お前こそ、確か大学迄エスカレーターな私立じゃ無かったのか?」


碧:「エスカレーターって言っても、あるレベルの成績とってないと駄目だし、それに…」


碧、モジモジする


碧:「私は、…出来れば、一緒の学校が、イイな、…とか。」

碧:「ほら、知り合いが一緒の方が心強いって、いうか…。」


伊織:「…。」



最寄り駅前のロータリーまで到着。


碧:「今日は楽しかった! 明日からまた頑張ろう。」

碧:「…ほら、あんたも何か感想無いの?」


碧、ちょっと照れ隠ししてる。


伊織:「楽しかったよ。 なんか、お前とだと緊張しなくて良いのな。」

碧:「意味深な発言だな…。」


碧、苦虫をかみつぶした表情。


碧:「あっ、そうだ、…忘れ物。」



碧、イキナリ近づいて来て、…キス。


碧:「じゃあね、また!」


碧、夕暮れの町をダッシュ。


伊織:「これからまた走って行くなんて…本当、元気な奴だよな、」





その夜、

…携帯電話の着信音。


伊織:「おぉ、吾妻…じゃない?」

女子:「今晩は、夜分遅くに済みません。 …今日ボーリング場で会った、東雲です…。」


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