ゲーム
私の母は何かボーッとしている。
いわゆる天然だ。
最近気づいたのだが、周りの親とは何かが違う。
今からこの親と過ごす大変さを皆さんにお知らせしよう。
私の名前は鈴木 学。
高校生だ。
私の父は幼い時交通事故でなくなった。
今は母、春子と二人暮らしをしている。
「学、今日は買い物いくよ。」
「分かった。今から行く」
誰が予測出来るだろうか。
これから起こる出来事を。
学と母、春子はいつものように買い物に出掛けた。
ただ、いつもと違うのは母、春子が運転席に乗っていることだ。
「学。今日は私の腕前を見ておきなさい」
「わかった。けど安全運転でね」
「わかってる。大丈夫だよ」
いつもは親戚の人が運転してくれるのに今日は母、が運転するらしい。
車は出発した。
出発してまもなく赤信号で車は止まった。
すると母、春子はバナナを食べ始めた。
「母さん、バナナ食べるなんて珍しいね」
「たまには食べわよ。それより食べるの手伝って」
「なんで?」
「いいから、いいから」
母に強引にバナナを食べさせられた。
食べ終わり信号が赤から青に変わった。
するといきなりアクセルを踏み絶妙なタイミングで走り出した。
「母さん、危ないって」
「学、昨日Wiiで負けたでしょ」
「母さん何いってるの」
「だから今日は勝つんだ。その練習」
「まっ、まさか」
学は嫌な予感がした。
今の会話からすると…
止めないと。
学は母を止めようとした。
しかし手遅れだった。
スピードを上げたのだ。
時速は徐々に加速してもう百キロ近くになろうとしていた。
「母さん止まって、高速違反だよ」
しかし止まらない。
母の目はゲームで集中している時と同じ状態になっている。
「母さん、赤だよ、赤信号だよ」
「何いってんのよ。信号なんてないでしょ」
もうすでに現実世界と思っていないようだ。
二人を乗せた車は信号を無視して通過した。
その時、後ろからパトカーがサイレンをならして追ってきた。
「そこの車とまりなさい」
「あーもう、うるさいわねー」
そういうとさっき食べたバナナの皮をとりだした。
「まさか…」
学が気づいた時にはもう遅かった。
母、春子はバナナを窓から投げたのだ。
「滑っちまえ」
やっぱりそうだった。
母、春子はリアルマリオカートをしていたのだ。
車からどんどんバナナを投げる母を学は必死に止めた。
「かぁさんヤメテ。罪がおもくなるよ」
「わかったわ、だから学のペット貸して」
「ダメ!それだけは」
学は必死で抵抗した。
しかし母、春子に奪いとられ窓の外に投げられた。
「かめ太郎~」
学は必死に叫んだ。
亀太郎は窓の外に投げられ、学と母、春子が乗っている車の下敷きになった。
バリっと鈍い音がして車は止まった。
「亀太郎…」
学は車をおり、亀太郎のもとに向かった。
しかし亀太郎はもう動かなかった。
亀太郎は学を救ってくれたのだ。
「ありがとう…」
学は滝のような涙が流れた。
その後、母は警察に捕まりたった数時間で釈放された。