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放課後の教室

とある日の帰り道。

私は、バッグの中を見て教科書が無いことに気がつく。

「あ、」

どうやら、学校に忘れてきたらしい。

無いと、テスト勉強が出来ないので私は来た道を戻って学校に向かった。

さほど遠くまで来ていなかったから、五分ほど歩けば学校に着く。

更にそこから階段を登って四階にある教室へ向かう。この学校は四階建てで屋上があるというシンプルな造りになっている。

そのおかげで、四階という昇降口から離れたところでもすぐに辿り着くことができる。

そして教室に入ると自分の机の上に教科書が置いてあるのが見える。

「よかったぁ、教科書無事だ。」

教科書をバッグにしまって教室を出ようとした。

しかし、帰ろうとする私の視界の端に映った、見覚えの無い男子生徒。気にはなったが、こちらに気づいていないようだったから、気づかれる前に帰ろうとした。

「……こんな時間にこんなとこで何してんの?」

「うわぁ!」

びっくりした。でも、この男の子の声は少し高めで澄んでいた。けれど、どこか芯があって、重い、そんなふうに聞こえた。

そのおかげかは、分からないけど不思議と落ち着く感じがした。

「誰……?」

自然とそんな独り言がこぼれた。

「俺?俺はかざね。お前こそ誰?」

「わ、私ははるって言います。」

どうやらこの人はかざねさんというらしい。

でも、校内で見かけたことは無い。それにいつもは誰もいないはずの席に座っている。

そんなふうに私が思っていると、

「帰らないの?」

声をかけてくれた。

「まだ、帰らない。」

私はそう答えた。もう少しだけ、かざねさんと話したいと思った。

とりあえず、会話を続けようとかざねさんに質問する。

「かざねさんこそ、帰らないんですか?」

「さん付けとかいらない、そういう堅苦しいの苦手だし。」

口調はツンツンしてるけど、意外と優しい。……まあ口調もそこまでは、ツンツンしてないけどね。

「じゃあ、かざね君って呼ぶね。」

私は、流石に呼び捨てにするのは、なんか違うと思って君付けにする。

「うん。」

かざね君から肯定の言葉が返ってくる。

それから私も、かざね君も喋らなかった。

気まずい沈黙が流れる。

「じゃあ、私、もう帰らないとだから、また明日!」

気まずい空気に耐えきれずに、逃げ出すように教室をでる。

「!また明日」

後ろからかざね君の声が聞こえてきた。かざね君が笑顔になっているのが想像できる。

私も自然と笑顔になって、ルンルンとした気持ちで帰路につく。

「   」

微かに、何かが聞こえた気がした。

かざね君の独り言かな?

私は、特に気にせず帰った。

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