いじわるな上司に甘やかされて
(これは、一体どういう状況なのだろうか…)
私は今、直属の上司である笹谷透の膝の上にいる。
因みに、笹谷さんに生活がだらしないことがバレて一緒に暮らしている。
「あの、笹谷さん」
「なんだ?」
「どうして、私は笹谷さんの膝の上に居るのでしょうか…」
少し考えて、笹谷さんは答えた。
「それはだな…私がお前を甘やかしたいからだ。」
「へ…」
「なんだ、嫌なのか?」
「そんなことは…」
まさか、自分の上司がそんなことを思っていたなんて…
ただ、私と笹谷さんは交際はしていない。
私の生活がだらしない所為で、部屋の片付け等は笹谷さんがしてくれいている。
「ただ、いつもイジワルなことをしてくるから意外だなって思っただけで…」
「なるほど、お前は普段から私をそんな風に見ていたんだな。」
「あ、いや!」
そんなことは!と言おうとした時には遅かった。
笹谷さんが私に覆い被さって来たのだ。
「笹谷さん…?」
「君は、私のことをそんな目で見ていたからな。お仕置きだ。」
「お仕置き…?」
私が、不思議そうにしていると笹谷さんはそのまま私にキスをした。
「あ、えっと…私達、付き合ってもいないのにこんなのダメですよ…」
「そういえば、そうだったな。ふむ…」
と言って一呼吸置いたあとに笹谷さんは言った。
「私と付き合って欲しい。」
「え…でも、うちの会社は社内恋愛禁止ですよ?」
「そうだな。周囲にバレないようにすれば問題ないだろう。」
「それは、そうかもしれないですけど…」
「私は、本気なんだが?」
「わ、わたしも笹谷さんと過ごすうちに笹谷さんのことが気になってました…」
笹谷さんは、黙って続きを聞いている。
「だから、こんな私で良ければよろしくお願いします…」
「…」
「笹谷さん?聞いてますか?」
「聞いている」
「じゃあ、何か言って下さいよ!」
「キスしてもいいか?」
「へ!?」
「ダメなのか?」
そんな、子犬のようで見られると断れない…
「いいですよ」
「ああ」
こうして、私はいじわるな上司に甘やかされて交際までに至りこれから幸せな日々を過ごすのであった。