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モーレツ社員ポチ太郎 幽霊を見る

作者: 豚腸

ポチ太郎はいつものように、オフィスへと足を踏み入れた。今日も一日、会社の売り上げを上げるために、精一杯頑張るぞ!そう心に決めていた。


ところが、今日は何か様子がおかしい。いつも通りに営業部のデスクに向かおうとした時、背中にゾクッとするような冷気を感じた。


「ん?気のせいかな…」


ポチ太郎は、その感覚を気にせず、自分の席へと着いた。しかし、その直後、視界の端に白い影がちらついた。


「あれ?」


ポチ太郎は、ゆっくりと顔を上げ、部屋の中を見渡した。すると、窓際に、ぼんやりと白い人影が立っているのが見えた。


「まさか、幽霊…?」


ポチ太郎は、思わず言葉を失った。幽霊なんて、パピーの頃に聞いた話だと思っていた。まさか、こんなところで本物に遭遇するとは。


ポチ太郎は、恐る恐る幽霊に近づいてみた。幽霊は、こちらをじっと見つめている。その目は、どこか寂しげに見えた。


「あの…、あなたは誰ですか?」


ポチ太郎が勇気を振り絞って話しかけると、幽霊はゆっくりと口を開いた。


「私は、この会社の創業者だ。昔、この場所で多くの時間を過ごした。でも、今はもうここにいないんだ…」


幽霊は、物憂げな声でそう言った。どうやら、この会社に未練があるらしい。


ポチ太郎は、幽霊の話に耳を傾けた。創業者から聞いた話によると、この会社は、かつて社員たちが一丸となって、素晴らしい製品を作り出していたそうだ。しかし、最近は、社員たちの間に活気がなくなり、会社も昔のような活気を失ってしまったという。


「みんな、私のことを忘れてしまったのかもしれない…」


幽霊は、そう呟いた。


ポチ太郎は、そんな幽霊の姿を見て、何かを感じた。


「そんなことはありません!あなたは、この会社の大切な歴史の一部です。みんな、あなたのことを決して忘れません!それにこの会社は私が犬とわかっても私を採用してくれました。ですから犬として活気付けてみせます!」


ポチ太郎は、そう叫んだ。


すると、幽霊の表情が少し明るくなった。


「ありがとう、ポチ太郎くん。君の言葉で、私は救われた。もう、この場所から離れることができるよ。犬として頑張りたまえ。期待してるよ。」


そう言うと、幽霊はゆっくりと消えていった。


その日以来、ポチ太郎の周りには、不思議なことが起こるようになった。例えば、新しい商品のアイデアが次々と浮かんだり、取引先との交渉がスムーズに進んだりするなど、良いことが立て続けに起こるようになった。また、活気付いて来た気がする。


ポチ太郎は、それは幽霊のおかげだと確信していた。幽霊は、この会社を見守り続けている。そして、ポチ太郎に力を貸してくれているのだ。


ポチ太郎は、これからも、この会社のために全力で精一杯頑張ることを決めた。そして、いつか、幽霊に再会できることを願っていた。

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