さくらが咲いたよ
日曜日、寒の戻りでちょっと薄ら寒いが昨日の雨で花粉が流されたのか(願望)雨戸開けたら空気が澄んでた気がする。
庭の椿の花がぽつぽつ落ちていて何気に風流。
楓「朝ごはん食べたら散歩に行こうよ」
孝「いいけど、どこ行くの?」
楓「ご近所お花見散歩よ!」
休日の朝ごはんはザ・和食。時間があるからゆっくり用意出来るからね。
炊きたてご飯に焼き鮭。豆腐とわかめのお味噌汁にほうれん草の胡麻和え、厚焼き玉子だ。
しっかり食べたら片付けていざ散歩に出発!
ちょっと寒いけど歩いたら暑くなるから軽い上着を着た。
孝「どこから行くの?」
楓「まずはお寺さん」
坂道下って5分も歩かないうちにお寺の観音様が見えてくる。
孝「思ったより咲いてないね」
楓「二分咲ってところか〜」
正門まで来ると門前のお宅の枝垂れ桜が見事だった。
楓「そっか〜、枝垂れ桜の方が早いんだ」
よそのお宅の門の脇に生えてる大きな枝垂れ桜。広い敷地には木蓮も咲いているのが見える。
孝「こういう昔ながらの農家造りの家って無くなってきたよな」
楓「そうだね、みんな小さく分割されて売りに出されちゃう事が増えたよ」
孝「とりあえず来たからお参りしていく?」
楓「そうだね、御堂開いてないかもだけど」
門をくぐり池の橋を渡ると朱塗りの山門が迎えてくれる。
孝「このお寺って結構古いんだよね?」
楓「天文20年って書いてあるけど天文っていつ?」
孝「室町時代後期?かな?」
楓「室町・・・戦国時代の前か? や〜マジで古いわ」
孝「凄いよな、そんな昔からずっとここにこのお寺さんあるんだぜ。浪漫だよな〜」
楓「確か来年2026年が千葉氏の開府900年だったはず」
孝「なんか不思議だよね。400年以上昔の人もこうやってお参りに来てたんだよな〜」
楓「あ!見てみて、梅が満開」
孝「梅も綺麗だよな〜 あれ?うちにも梅あったよね?」
楓「うちの梅は観賞用じゃないからこんなに花が大きくない気がする」
孝「梅と言ったら天満宮」
楓「飛び梅。『東風吹かば にほひおこせよ 梅の花
主なしとて 春な忘れそ』この歌好き〜」
孝「太宰府天満宮か〜 いやいやお寺さん来てて他所の神様の話しするって不敬だろ」
楓「それもそうだ。ごめんなさい」
二人でごめんなさいお参りした後お寺さんを出るとさてどっちへ行こうかと悩む。
楓「せっかくだから桜見たい。わーっと咲いてるやつ」
孝「えぇ....(困惑) 桜の木って後どこにあったっけ?」
楓「学校?」
孝「大学の門の所にもあったよな」
楓「よし! 『 駒並めていざ見にゆかむ〜』」
勢い込んで来たものの距離がさ程違わないせいかこちらのも二分咲程度。
楓「∑(꒪д꒪III)ガーン」
孝「どうする?」
楓「ちくせぅ〜! (‘ᾥ’ ) こうなったら意地でも探してやる!」
そう鼻息荒くした楓が孝を引っ張ってやって来たのは中学校。
楓「ウッソ! 桜並木で小さくなってる〜(´。・д人)シクシク…」
ここは2人が通った中学校。記憶にある桜並木は道の両側から大きく張り出しトンネルのようだったはず。
昔は・・・
今やすっかり枝打ちされて当時の面影は無い
孝「創立70年超えたんだ」
楓「そういえば制服も変わったんだよね」
学校の中には入れないから外周をぐるっと回る。
孝「懐かしいなぁ この外周よく走らされたよなw」
楓「そうねぇ、あ! 通用門の桜は残ってる」
孝「ホントだ。これが散ると掃除が大変だったんだよ」
楓「よく言う、男子はほとんど掃除しないで遊んでたじゃん」
孝「そうだったけw?」
てくてく歩いてグラウンド側の門の前に来た。
孝「俺達ここ裏門って言ってたけど、よく見たら裏じゃないよな?」
楓「お母さんも裏門って言ってたけど?」
孝「楓のお義母さんって同中?なんだっけ?」
楓「そうそうw、お母さん達の頃すんごい荒れてたんだって。この裏門に卒業式の日パトカーが待機してたって聞いたよ」
孝「マジで!?」
楓「マジでw お母さんの卒アルとか昔の写真見せて貰ったら凄かった。リアル『今日から俺は!!』だった。ヤンキー全盛期で金八先生時代だったんだって」
孝「へぇー、本当にそんなのあったんだ」
楓「今度聞いたらいいよ。面白いから」
さてご近所桜巡りは不完全燃焼だがこのまま帰ろうかと思ったんだが、不意に孝が思い出した。
孝「そういや図書館の所にも桜あったはず」
楓「あ〜、あったね。ついでに久しぶりに図書館行こうかな」
そしてまたてくてく歩き出す。
楓「この辺も寂れてきたよね。商店街も無くなっちゃったし、ヤックスもカインズもミヤマも無くなっちゃった」
孝「うん。寂しいね」
楓「日本の人口どんどん減っていくとこういう町村の行政や買い物やらの整備が成り立たなくなっていくのかな」
孝「どうだろうね(;-ω-)ウーン」
ちょっと気持ちが沈んだがそろそろ目的地だ。実のところここまで空振りだったので期待はしていなかった。
が、目の前には満開の桜が咲き誇っていた。
孝・楓「「うわ〜」」
あまり手入れされてないのかてんでバラバラに枝を伸ばした桜の木が4本見事に咲いていた。
楓「え? なんでこここんなに満開なの?」
孝「日当たりなのかな。あ、でも見て1本折れてる」
1番道路側の1本がバッキリと中程から折れている。それでも折れた所から新しい枝が伸びて花を咲かせている。
後から聞いた話では2019年の台風直撃の時折れてしまったとの事だった。
楓「凄いな。こんなになってても、こんなに力強く花が咲くんだ」
孝と楓はただただ桜を見上げていた。
孝「何でかな、桜って綺麗なんだけどずっと見てると物悲しく感じるんだよな」
楓「『願はくは花の下にて春死なむ その如月の望月のころ』その感性って時代を超えて来る気がするな」




