ニーナの検診
朝からキッチンには甘い匂いがしている。
孝「おしるこ?」
楓「そ、今日は鏡開きだからね〜」
孝「鏡開きってなんでおしるこなの?」
楓「さぁ? ググってみたら?」
孝「『鏡開き(かがみびらき)とは、お正月に年神様へのお供え物として飾っていた鏡餅を下げて食べる日本の習慣です。鏡餅を食べることで年神様をお送りし、新しい年への無病息災を願います』だって。おしるこじゃなくてぜんざいらしいよ」
楓「ぜんざいよりおしるこの方が好きだからいいの~」
孝「楓は粒あんよりこし餡のが好きだもんね」
楓「それよりそろそろ支度しなくていいの?」
孝「支度? なんの?」
楓「Σ(・ω・ノ)ノ 」
おしるこの火を止めた楓はスタタと寄って来てコソッと耳打ちしてきた。
楓「今日ニーナの病院だよ」
孝「あ!忘れてた! 何時からだっけ?」
楓「11:00予約だよ」
孝「すぐ支度するわ。ニーナ〜 今日はび「ストーップ」」
孝はニーナを抱き上げて話しかけたところをぶった切られた。
孝「え? шнДт?」
楓「動物って以外と人間の言葉って覚えてるんだよ。なのでNGワードがあるんだよ」
孝「そうなの!?」
楓「言葉として理解してるのかは分からないけど音のイントネーションとかそういうのと嫌な事とかを紐付けしてるのかもね。だから聞こえるところでそういう単語は言わない方がいいよ」
孝「あー、ご飯とかちゅーるとか言うとすっ飛んでくるな」
楓「明らかに覚えてるよね」
孝「了解。気をつけます」
そして孝と楓の支度が終わりキャリーバッグにニーナを入れようとして四苦八苦し、どこぞのYouTubeの猫のように自分から入ってくれる事など有り得ぬ。
なんとかかんとか詰め込み出発。
車の中で楓の膝の上にキャリーバッグごと抱えらてはいるがご不満のようでずっとあ〜ぉあ〜ぉと鳴いている。
そして診察。今日は朝ニーナがもよおしたブツも検便してもらっている。
獣医師「猫エイズは陰性ですね。体重も増えましたし三種混合ワクチン打っときますね。あと避妊手術どうされますか?」
楓「お願いします。何時ぐらいがいいですか?」
避妊手術をするのは孝は最初反対だった。だってなんか可哀想じゃないかと言ったら、楓に懇々と説明され承諾した経緯がある。
獣医師「そうですね、来月ぐらいでいいんじゃないかな。あ、便検査で回虫で出ますね」
楓「スポット薬でダメだったなら投薬剤お願いします。3回分下さい」
獣医師「1回半錠、2ヶ月に1度飲ませてくださいね」
ニーナはお腹の虫が取り切れてなかったようで、お腹以外のところも回虫が移動してしまっている可能性があるので継続して虫下しの薬を飲むことになった。