いま昔
「う〜、どのチャンネルも選挙関連だ~」
「そりゃそうだ。あ、ここはブレないw」
「アニメだ」
「アニメだね」
「そういえば子供の頃見たアニメで今見ると見方が全然違うていうのあって自分でもびっくりだよ」
「へ〜」
「タイトルは言わんけど、山に預けられた少女の話しよ。子供の頃あれホント好きで干し草のベッドに憧れたわ」
「あ〜、あれか。干し草のベッドって実際寝たらチクチクして寝られなさそう」
「そう言う夢のない事言わんでいい」
「そう言うけど君だって思う所があったんでしょ?」
「うッ、まぁそうなんだけど。山から降りて街のお金持ちの家に行くじゃん。そこで白いふわふわのパンに感動して帰る時にお友達のおばあちゃんにもって帰ってあげようってシーンですよ」
「毎食自分のパンを残して置いてお土産にしようとする優しい子だよね」
「うんうん、前は自分もそう思ってた」
「前は?」
「その後クローゼットの引き出しからめっちゃ大量のカビたパンが発見されました」
「マジか~」
「んで、お嬢様の家庭教師に見つかって怒られるんだけど、当時は怒られて可哀想って思ったんだけど、今は家庭教師怒るの当たり前やん!! 自分でも怒るわと思いました」
「たしかに」
「その他にも色々やらかすんだよ。ネズミを部屋に持ち込んだり、お嬢様の小鳥を勝手に逃がしたり、お水を汲みに1人で家から出てちゃったり。その度に滅茶苦茶怒られるんだけど、見ていて可哀想って全然思えなくなってる自分に愕然としました」
「あれ? なんか落ちこんでる?」
「子供の自由さとか突拍子もない行動とかに目くじら立てて怒ってる家庭教師の方に共感しちゃう自分が将来の自分の姿に見えて落ちこむなぁと」
「1人で育てるワケじゃないんだから今からそんな心配してどうすんの」
「そうは言っても性格って中々変えられないじゃん」
「人間イイとこばっかじゃないんだもんしょうがない、君が苦手なとこは俺がフォローすればいいんだよ。その代わり俺がダメなとこは君がフォローしてよねw」