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守り人よ、君は愛を乞うても良い  作者: 朝来
不変、寄る辺、可否
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第19話

「……今日中に着かないなら、少し休んだほうが」


 荒々しい魔獣も、元は普通の獣。襲ってくるのは見通しのきかない狭い道や深い森などでのことが多い。今は起伏のある丘陵地で微妙な上り下りが辛いが、不意をつかれることはなさそうだと言ってみる。

 大洋自身、ただ歩くだけなら余力はあった。アルドの意見にも同意できる。しかし少し前から少女の顔色が気にかかっていた。元から白い肌が一層白く、足取りもいつもほどの気力が感じられない。それでも少女が自らの体調のために休息を申し入れることはないだろう。

 アルドが振り返った。ちらと流しただけの大洋の視線を流石の機敏さで捉える。


「そうですね……。確かに、その方が良いかもしれません」


 気温は高くなくとも、休みなしに歩いていれば体温は上がる。汗を拭いながらアルドは同意してくれたが、鋭く飛ぶ声があった。


「駄目です、ここは穢れがひどい」


 驚いて大洋が振り返ると、最後尾を歩いていたパウラと目が合った。その視線は声と同じくらい鋭い。


「そう、ですか?」


 問い返したのが癇に障ったのだろうか。パウラの眉間に、更に深い皺がぎゅっと寄る。


「この穢れの中では、聖女様は休めません。返って疲れが増してしまう。今は先を急ぐべきです」


 穢れは常人の目に見えるものではないが、あまりに強ければその限りではない。魔獣が倒された時に放出されるそれなどは大洋でも視認できるし、触れれば不快感もある。魔素を感知する精度は人それぞれで、祈りの奇跡を起こす少女が常人以上にそれに反応してしまうのはなんとなくだが理解できる話だった。

 だがパウラ自身がどうなのかは分からない。


「……そんなにひどいですか?」

「守り人様は穢れにお強いようですから分からないのでしょう」


 あくまでアルドの意見をと口にしたところを皮肉げに被せられて、流石にムッとくるものを感じてしまう。


「パウラさんには分かるんですか」

「私は聖国に仕える者です、並の者とは違う」


 それが真実か否かはともかく、パウラの言う並の者というのが大洋のことを指していることだけはとにかくはっきりと分かった。あまりに一方的な、半ば言いがかりのようなパウラの言動には反射的に憤りを感じたし、それと同じほどに、己を疑う内心を指摘された羞恥もあった。顔に熱が集中する。


「パウラ殿、その言いようは」


 いつにない尖った空気にアルドが口を挟もうとする。それを遮ったのは、パウラでも大洋でもなかった。


「――危ない!!」


 叫ぶと同時、少女が思い切りパウラに飛びかかった。


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