仲を深めましょう~リラと
なるべく毎日更新したいですが、時間もないため不定期になると思います。
ちょっと後半の文面が納得いかず修正いたしました。
「リラは、何か得意なことはないの?」
「え、得意なことですか?」
今は第二王子とつまらない時間をすごして帰ってきてから、レイラドールの着替えを手伝ってもらっている。
ちょっと、リラの手際を見ていると、かなり手先が器用なのではと思って聞いてみたのだ。
「ドール家に迎え入れていただいてから、マイヤー様をはじめ教育を受けた中で得意なものはなかったです…」
さて、レイラドールからドレスを脱がせることができた。
後は、保管用にインナーだけを着せておこう。
改造はまた今度。
リラに話を戻そう。
「では、引き取られる前は何をしていたの?」
「母は裁縫が得意だったので、一緒に貸衣装の修理の仕事をしていました」
「あら、じゃあ刺繡や裁縫は得意なのね?」
「えーと多分…」
あぁほかの人と比べたことがないということか。
仕事の内容を聞く限り、家にいてできる仕事だから、あまり外に出なかったのだろう。
実際問題、リラを外に出したら誘拐されそうだしな…それぐらいかわいらしい。
下手におしゃれして外に出しておけば、金持ちの商人の娘だとでも思われるだろう。
父がこっそり支援をしてなるべく囲い込みたかったのもわかる。
「じゃあ、私にリラの実力を見せてもらってもいいかしら?」
「レイラ様に見せられるようなレベルではないと思うのですが…」
「大丈夫よ、私は思われているほど衣装作るのは得意じゃないの。基本人形の服は買い物か依頼主からのもらい物だから」
私はクローゼットから1着のドレスを持ってくる。
「ためしに、このドレスを直してもらってもいいかしら?去年私が着たドレスなんだけれど、もう小さくなってしまって」
「えぇ、私が触っていいんですか?」
「大丈夫よ、最悪捨てるものだし」
「またレイラ様が着られるようにすればいいです?」
「そうね、私服として使えるレベルに改造してもらえれば御の字ね」
私は裁縫道具を取り出してリラに渡してあげる。
「今日はこれを使いなさい」
「わかりました。やってみます。えーと…レイラ様採寸してもよろしいですか?」
「えぇかまわないわ。よろしくね」
服を脱ぐ必要があるか聞いたら、顔を真っ赤にして止められた。
それでも採寸するためには最低でも下着姿にないないといけない。
工房から私の部屋に戻り、着替えるついでに採寸してもらう。
そういえば、リラには入浴補助もしてもらっていないから、裸は見られていないわね。
仲良くなれば一緒にお風呂入るのもいいかも。
「レイラ様、採寸終わりました」
「ありがとうリラ。時間はあまり気にしないから、ゆっくりやっていいわよ」
「いえ、今日中に終わらせます」
ん?今日中?
そんなに早く直せるものだろうか?
仮にもそれはドレスだ。
シンプルに見えて、縫い箇所はおおくバラすだけでも時間がかかると思うのだが…
その日の夕食時間になってもリラは現れなかった。
どうも部屋にこもって作業に没頭しているらしい。
いや、そんな無理強いをしたつもりはない。
私は、リラの部屋まで行くことにした。
「リラ、夕飯は食べたの?」
なんだか、ドタバタ音が聞こえ、扉が勢いよく空いた。
「も、申し訳ありませんレイラ様!夕食の時間のご案内もできずっ」
「それはいいから、リラは夕飯は食べたの?」
「…まだです」
「まず食事をしなさい。無理をして作業しなさいとは言ってないわよ」
「はい…」
「夜食を用意してもらうから来なさい」
「はい…」
ちょっとリラが落ち込んでいる。
私のために頑張りたかったのかもしれないけれど、若いからと言って無理をしてはいけない。
これは私も父から言われて守っている。
どんなに忙しくても休憩と睡眠はしっかりとるようにしている。
こんなこと言っているから10歳のわりに擦り切れているなんて執事からも言われるのね。
「ホットサンドを用意して、リラの夜食よ」
私はリラを調理場まで引きずっていきテーブルに座らせる。
料理長人形に指示するとすぐに調理が始まる。
「なんで、食事を抜いてまで作業しようと思ったのよ」
「…」
「黙ってたらわからないわ。別に怒るつもりはないから話してリラ」
「レイラ様に認めてもらいたくて…」
「認めるも何も、あなたは私のメイドで仮にも血のつながりのある妹でしょ」
「ですが、私はお屋敷の人形より仕事ができませんし…お料理もできません…なにか、何か役に立ちたいんです」
リラなりに悩んでいたのね。
別にそんなの気にしなくても私の愛人になれば…げふんげふん
「そんなこと気にしなくていいのよ?それと、ドール家に気に入られたいにしても食事と睡眠と休憩は絶対とりなさい。それがドール家のルールよ」
「はい」
お、ホットサンドができたらしい。
料理長人形に机に運ぶよう指示をする。
ついでに紅茶も持ってこさせる。
「さ、食べちゃって。この後の作業は明日以降やること」
「はい、わかりました…あ、すごくおいしい」
リラは料理長の料理を初めて食べたようだ。
作ってほしいと言わない限り、ドール家の使用人は勝手に調理場にある食材を使って料理をすることはないので、リラも今まで自分で作っていたのかもしれない。
「ドール家の料理人をなめてもらっては困るわよ」
「…でも人形ですよね?」
「えぇ王宮にも入っている自立作動タイプのね」
「へ…」
そう、この調理場にいる料理長は王宮に納品した人形の試作品なのだ。
毒見をしなくても温かいものを食べたいとのことで、完全自立稼働と条件設定による”人に危害を加えない”を証明するため1年以上の試験の末、正式納品されたもののプロトタイプだ。
そのため、料理の腕前は宮廷料理長を完全模写しているので、ほぼ同レベルである。
王宮用の人形には追加で王族自らの魔力供給で作動し、完全にドール家からも独立していることが宮廷魔導士からも証明されている。
あと、プログラムの書き換えは出来ないので、悪用ができないことも証明済み。
頭開けるとその段階で一部の回路が破損するから動かなくなるのだ。
「さ、食べたら今日は寝なさい。続きは明日ね」
そうして、リラを部屋に戻して私も部屋に戻る。
ちゃんと寝たかは人形に確認させればよい。
というか、その辺の管理ができないなら、一緒の部屋で寝てもらうことまで辞さないが。
「レイラ様出来ました」
昨晩はちゃんと寝たらしく、人形からの連絡はなかった。
そして今は昼食も終わり、午後のお茶の時間というところで、リラがやってきた。
手には私が渡した淡い青色のドレス。
「早かったわね」
「これぐらいのリメイクであればすぐできます」
「ではさっそく着てみましょう」
ちょっと裾が上がっているが、余計な装飾を排して今の体に合わせて衣装のサイズが変えてある。
普段使いとして、屋敷内で着る分には十分すぎる品になっていた。
「ありがとうリラ。とてもすてきよ、このワンピース」
「そう言っていただければ幸いです」
「うん、決めたわ。リラあなた私の人形用に洋服を作ったり、リタッチする作業を手伝いなさい」
「へ!?」
「十二分な腕よ。これなら、私は人形の作成に注力できるから、例の研究もできそうだわ」
「そ、そういっていただければ、ありがたいです」
「そうと決まれば今日からリラはメイドじゃなくて、私の助手ね!」
「へあ?!」
「それはそうよ。仕事仲間で非公式ながら姉妹なんだから、いつまでも”メイド”になんてさせとかないわよ」
「ひゃ、ひゃい」
「じゃぁこれからよろしくねリラ!」
私はさっとリラの手をとりぎゅっと握る。
リラが慌てて顔を真っ赤にしている。
ふっふっふ、常に一緒にいればリラを落とすことも可能だろう…
この裁縫の腕はぜひとも私の人形作成に欲しいし一石二鳥だ。
これからとっても楽しみだわ。
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