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人形遊びも、ここまでくるとすごいでしょ?  作者: シャチ


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7/18

バカはだますのが簡単だな

 第一王子が挨拶をしてくださった後、ようやくお茶が出た。

 こんな扱いをしておいて、よく女たらしなんて言われているわね。

 女性の扱いが全くできていないじゃない。

 ダンスに誘われた時だけは”紳士”をしていたようだが…

 きっと第一王子はすでに婚約者もおり来年には結婚し王太子になるので、各貴族家は王家に取り入るために第二王子に娘を紹介しているのだろう。

 それで余計に調子に乗ったか?


 時間として半刻ほど、ようやく第二王子がいらっしゃいましたとノックされた。

 私は代わりに飲んでいたお茶をソーサーに戻し、服のしわをなおしてレイラドールの後ろに立つ。

「どうぞ」

 その答えで、扉が勢いよく開く。

「待たせて申し訳なかったレイラ嬢!急な執務が入ってしまったのだ申し訳ない」

「そうですか、ご機嫌麗しゅう殿下」

 人形を立たせてカーテシーをさせる。

 私は礼をするだけだ。メイドは本来”いないもの”である。

「さすがドール家のメイドは美しいな。ところで、レイラ嬢こないだの夜会とはまたメイクが違いよりかわいさが増したな」

「さようでございますか、夜会の時は少々大人びて見えるようにメイクいたしましたので」

「今のほうが愛おしく感じるぞ」

「ありがとうございます」

 第一王子殿下は即見抜いたのに、メイクの違いでごまかしがきいてしまった。

 それにかわいいメイドだとは…いくらメイクをして顔を変えているとはいえ、その目は節穴だな。

 応接室は一応扉が半分開けられ、外には護衛の騎士も見える。

 そのあたりは、周りが気にしているのだろう。

「しかし、レイラ嬢は男性を毛嫌いしていると聞いていたので、来てくれるとは思わなかったぞ」

「お言葉ですが殿下、私も貴族の娘。政略というものぐらい理解しているつもりですわ」

「そ、そうか」

 どうせ今まで”王子”という役職に媚びる女しかいなかったのだろう。

 私はそういったものには靡かないし媚びることはない。

 今は人形を通じて私がしゃべっているので噓は言っていない。

「…どうかな?この後二人で四阿でお茶など」

「それはご遠慮させていただきますわ。初顔合わせでいきなり二人きりなど、緊張してしまってお茶の味もわからなくなってしまいそうです」

「かわいいことを言うじゃないか…わかった今日は諦めよう。しかしそちらのメイドもなかなかかわいらしいな」

「うちのメイドに手を出されるのならこの話はなかったことに。ほかの女性に触れた手で私のエスコートは不要ですわよ」

 気持ち悪い、私のことを性的な目で見るんじゃねぇよ。

「あぁ、申し訳ない。市井の娘にしては皆目麗しくて、つい…な」

「殿下、我が家のメイドをそのような目で見ないでくださいませ。ところで私と”婚約したい”ということですが、両陛下もご許可の上ですの?」

「あぁそうだ。すでに許可はとってある。ドール家は王家の血も入っている重要な貴族家だ。この国への貢献度も高いドール家と王家はより強固に結びつく必要がある。よりライスター王国が発展することになればとのことだ」

 まぁ間違いではないだろう。

 この婚約が達成されれば、ドール家の能力を継ぐのは私だけなので、その力が王家に入ることになる。

 ただ、ドール家を継げるのは人形操作(ドール・オペレカント)ができるものだけ。

 養子をとればよいわけではないことを理解されていないな、このバカは。

 ま、裏では両陛下からは、レイラ嬢がこの後の婚約破棄などで損をしないようにと別に契約書にサインをしている。

 向こうの有責で婚約が破棄されれば、しっかり慰謝料も出る。それにこっちにも婚約を破棄すべく計画がある。

「わかりました。今日はこの婚約の顔合わせとのことでこれで失礼させていただきます」

「そ、そうか?…俺がお茶に誘って断る女がいるとは」

 ぼそっとつぶやかれているようですがしっかり聞こえていますわよ。

 くず男が、下級貴族の令嬢たちとよく”遊んで”いるのは知ってる。

「殿下もお仕事がお忙しいようですし、私も依頼されている人形を作らねばなりません。これで失礼いたしますわ」

「あぁ、次はいつ会えるかな?」

「お手紙をくださいませ。私一人では王城内には入れませんので」

 そういって殿下を残して部屋を後にする。

 これで気が付くなら利口なんだがな…なんで王城内に子爵などの令嬢が簡単に出入り出来ているかはその父親や母親の手であると言ってやっているのだが…


 まったく最悪の気分だ。

 目線で嘗め回しやがって。

 ドールのレイラのみならずメイドの私までそういう目で見るとは、王城のメイドは身を守るのが大変だろう。

 とりあえず、今日の目的である顔合わせは終わらせた。

 こうして突き放せば、さらに興味を持つだろう。

 ここから、このレイラドールを徐々に改造していくのだ。

 第二王子の好みから徐々に外していくように。

 高位貴族だからと婚約を打診したのが運のつきだ。

 不倫でも何でもして、外聞を悪くしてもらえれば目標は達成する。

「ふふ、自分になびかないでかつ、好みから外れていく女に対して第二王子はどう動くかしら?」

 これからドール家の本気をお見せいたしますわ…楽しみですわね

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