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人形遊びも、ここまでくるとすごいでしょ?  作者: シャチ


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6/18

登城して、第一王子と会う

 第一王子であるアルベルト様から、了承の手紙が来た。

 これで、将来的に私は同性と結婚できるようになる。

 その後の侯爵家を継ぐ子孫については、現在私が研究しているものが役に立つだろう。


「レイラ様。本当によろしいんですか?」

「別に切るわけじゃないんだから大丈夫よ。まさかリラにこんな特技があるなんてね」

 現在は私はリラにヘアセットをしてもらっている。

 私の人形制作の魔法により作ったこの国で多い茶色の髪を作成し、リラによってウィッグに加工してもらった。

 彼女は魔法は使えないながら、手先が大変器用だった。

 今は人形の髪型セットや、衣装の改造など手伝ってもらっている。

 私は今、少々地味なメイクをしてもらい、メイド服を着て、この茶髪のウィッグを装備し”レイラドールの付き人”としての準備をしている。

 今日は第二王子との顔合わせのために王宮へ登城する。

 ちなみに、母と一緒に行くが、母は仕事なので途中で別れる予定。

 矢面に立つのは先日最終調整を終えたレイラドール。

 すでに、紺色の露出のないドレスを着せ、髪もセット済みだ。

 私の部屋で大人しくたっている。

 所作などの詳細制御についても教育済みだが、最悪の場合は私自身が直接制御できるようにしている。

 なお、顔はリラのままだ。

 今回はこれでいい。

 この顔のほうが庇護欲を搔き立てるだろう。

 私の顔ではきつすぎるのだ。

 この釣り目は結構怖く見えるらしい。

「でも、レイラ様これって”不敬”にならないんですかね?」

「私の制御でばれると思う?」

「いえ、思いませんが、万が一があってはと」

「まぁ心配してくれるのリラ?」

「それは心配しますよ。お嬢様に何かあったらドール家はどうするんですか…」

「そっち?」

「えぇそっちです」

 リラにとって私は次期侯爵で一応姉という以上の感情はないようだ。

 うーん、ことあるごとに愛をささやいているはずなんだけれど、暖簾に腕押しなんだよな…

 絶対リラもこっちの気があると思うんだけど。


 *****

 今日の顔合わせについては、登城の際従者を一人つけてよいと了解を取り付けている。

 未成年とはいえ、男女が二人だけという状況はないと思うが、すでに”女たらしの尻軽男”と噂される第二王子とそういう状況にはなりたくない。

 すでに一部の貴族令嬢で被害にあっている者もいるほどだ。

 まだ12歳のはずだが、ずいぶん下半身に正直な方である。

 ドール家の紋章が入っている馬車が王宮の馬車どまりに入る。

 女神の横顔とその後ろに5本の糸が伸び渦を描いて円を描く。

 仮にも侯爵家だ、家より上の家格の貴族なんてこの国にそれほど多くはない。

 現国王の弟殿下が臣下した公爵家、初代王の兄であった方の血をつぐ公爵家の二つ。

 後は我が家を合わせて7つの侯爵家となる。

 待つことなく王城の馬車どまりに滑り込むと、私は先に降りて”お嬢様”をエスコートする。

 降り立つレイラは先日の記念パーティーの時よりも、明るいメイクを施している。

 今日は昼にあうので、夜会用のメイクでは暗くなりすぎる。

 顔はリラに寄せてあるせいで、少々たれ目だ。メイクでだいぶごまかしているが。

「じゃあレイラちゃん頑張ってね」

「はい、お母様」

 すでにレイラドールを制御しているので返事をしたのは人形のほう。

 目線だけで私はお母様と言葉を交わす。

 しばらく待っていると、メイドが一人こちらに近づいてきた。

 あれはちゃんと生身だな。

「レイラ・ドール様ですね。登城ご苦労様です。こちらへお越しください」

「あら、第二王子殿下自らの出迎えではないのですね」

 ちょっと王城のメイドさんが青ざめている。

 婚約をしたいと手紙を出しておきながら、本人は出迎えるつもりはないとは

 王族とはいえ、向こうの願いで来てやったのに、流石クソ野郎である。

 もうその時点でろくな奴じゃない感が出ている。

 ちなみに、人形はずっと貴族的微笑を浮かべたままだ。

「もうしわけありません、第二王子は急な執務で遅れるとのことで、お部屋へご案内いたします」

 なかなか無理な言い訳だ。第二王子の公務など緊急の物はなかろうに…

 メイドに連れられ私たちは、応接室の一つへと案内される。

「しばらくお待ちいただきたく存じます」

 そういうとメイドは外へ出て行った。

 茶の一つも出さないのか…先日まで伯爵家であったとはいえ、この扱いは完全になめているとしか言えない。

 まぁ出されても人形のレイラは何も口にできないが。

 しばらくしてノックされ扉が開く。

「ドール嬢、弟が申し訳ないね」

「だ、第一王子殿下…」

 私はあわてて人形にカーテシーをさせる。

「あぁ気にしなくていい。人形に礼をされてもうれしくないのでね」

 ん、どこかに違和感があったか?

 私が制御をまずったはずはないが…

「顔が違う。レイラ・ドールには左目の下の黒子はないはずだよ」

「よくご存じで殿下。このような服装で申し訳ありません」

 流石第一王子だ。しっかり覚えておられたようだ。

 私はあきらめてカーテシーをする。

「きっと”本人は同席する”と思っていたけれど、まさかメイドの格好をするとはね…」

「ご令嬢に付き添うのに、これほど違和感のない装いはありませんので」

「弟が来る前に一言伝えたくてね。例の件、依頼が達成されたら必ず成し遂げるよ」

「ありがとうございます殿下、必ず成功させねばなりませんね」

「では、また機会があれば」

 メイド服のままカーテシーをする。

 さて、第二王子殿下はちゃんと私を見破れるだろうか?


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