レイラの暗躍
くだらないお茶会からしばらくたった。
侯爵令嬢としてのお茶会には自立稼働させたレイラドールを向かわせている。
伯爵家以下が主催するお茶会には既にレイラドール単体で向かわせても問題ない。
それぐらいには自立作動するようになった。
お茶会での重要な情報を後から引き出すこともできるので大変便利だ。
といっても、令嬢同士の会話など、あの花がきれいだとか、新しい宝石がとかドレスがといった話しかない。
家督を継げば変わるだろうが、10代前半の令嬢の会話なんてこんなもんである。
レイラドールだけで充分事足りるのだ。
貴族の間では既に、レイラドールが”レイラ・ドール侯爵令嬢”であるという認知がほぼされている。
なので、私とリラが街をふらつくときは、さすがに髪色を隠すようにした。
ちなみに、レイラドールは体形はそのままで、顔だけマイナーチェンジをした。
もうちょっとだけ人相が悪くなるようにしたのだ。
おかげで、第二王子からは一切手紙が来ない。
私は別にいいのだが、王家の教育はどうなっているのか…いや、あきらめているのかもしれない。
噂では、第二王子にも側近が付いたという。
仮にも王子なので、側近がついて当たり前なのだが、どうも第二王子をゴミ箱にするための人選らしい。
つまり一緒に首切りが目的である。
公爵家の宰相の三男、こいつは完全な役立たずで、爵位でしか物事の判断しかできないクズ。
護衛として、騎士団副団長の息子が付いたが、こいつは命令に従ういい部下らしいが、自分でモノを考えない鉄砲玉のアホだそうだ。
という二人が付いたらしい。
そこで私は思いついた。
このゴミ3人をまとめてポイするためにも都合の良い人形を提供しようと。
公爵家の三男とは歳がちかく、一度会ったことがあるが「成り上がりの伯爵令嬢風情が」と言われた過去があり、仕返しをするのにちょうどいい。
副団長の息子に恨みはないが、彼も伯爵家の嫡男のくせに”自分で考えることをしない”やつなので、どうなってもよいのだろう。
その人員で足りないと言えば、会計系と護衛がもう一人だ。
私は第一王子殿下に密書をしたためる。
隣国の血を引くが、優秀な事務方と護衛だから第二王子に紹介してほしいと…
1週間ほどして第一王子から手紙が届いた。
「ぜひよろしく。王宮に来てくれれば後は何とかするよ」
大変短い内容だが、許可が出たようなので早速準備していた人形を送り届ける。
父の力も借り、普通の人間と見分けがつかない出来の人形2体である。
「そういう悪だくみは好きだよレイラ」
とは父の言葉。
どうも父も私が生まれる前に人形を使って相当悪さをしたらしい。
この人形二人も王子に対して従順に従うだろう。
どんな不正だろうと”言われたことは実行する”。
あのバカどもが何をするのか大変見ものである。




