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人形遊びも、ここまでくるとすごいでしょ?  作者: シャチ


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10/18

街へ繰り出しデートする

 今日はリラとデートの日。

 私の装いは町娘風ということで、割といつもの服装であるブラウスとロングスカートである。

 ただ、生地は絹ではなく木綿であるが。

 リラも似たようなものだが、リラのほうがしっくり来ている。

 元平民と貴族だとやっぱり見栄えが異なるようだ。

「レイラ様は元が良すぎるんです。どんなに平民のような服装をしても肌の艶も髪の艶もお貴族様ですから…」

「そう?そんなに違うかしら?」

 そういってリラに顔を寄せる。

「ちょ、レイラ様顔が近いです」

 ふふふ、顔真っ赤にしちゃってかわいいわね。

 それでも最近のリラは十分下級貴族令嬢としては十分すぎる肌と髪の艶があるので、平民だとしてもかなりの豪商の娘という感じだが。


 町に繰り出すのはリラとデートをすることも目的だけど、それ以上に市井の状況確認も含まれる。

 街の景気や、人々の服装、商売になりそうなことについては実際に見ないとわからないことは多い。

 二人で屋敷を出ると、まずは貴族街を歩く。

「こうしてみると、ドール家のお屋敷ってそれほど大きくないんですね」

「祖父の代で増築したけれど、それでも伯爵家相当よ。侯爵家としては小さいし、屋敷の場所は王城に近めだけれど、逆に近すぎてこれ以上拡張ができないのよ」

「なるほど、それで下へですか」

「そういうこと」

 家の屋敷は、横方向よりも下方向へ拡張されている。

 我が家は敷地を完全に使いつぶす箱形の屋敷で、2階建て。

 1階はパーティーなどを行うための大ホールと調理場に洗濯場、あとお風呂。

 2階が私たちの移住スペースになっている。

 そして、地下1階が工房で私用と父の二つの部屋がある。

 私が使っているのは元祖父の工房だった部屋。

 それと私のとある計画のため、さらに地下2階を拡張中。

 この計画はドール家長年の夢でもある。

「優雅さを求められるので、工房とかは外から分からない様に作るのが貴族の屋敷なのよ」

「…貴族ってめんどくさいですね」

「そういうものよ」


 しばらく歩くと乗合馬車の停留所に着く。

 今日は家の馬車は使わずに町へ出る。

 一応は”お忍びで”である。

 このあたりに来る馬車は高級商人たちが使うのもあり少々割高だが、護衛などもしっかりしている。

 しばらく待つと、黒塗りの大型馬車が止まる。

 大体10人ぐらいが乗れる馬車だ。これで町の中心まで行くことができる。

 馬車が動き出してすぐに、貴族街を抜け平民街に入る。

「リラ、なんだか町の人通りが多くないかしら?」

「今は収穫期ですから、農作物や交易品が多く入ってきてると思いますよ」

「あぁそういえば、この時期は屋敷への納品も多いのね」

 現に屋敷にはこの冬を越すための保存食などが続々と納品されている。

 こないだドール家と直接契約を結んでいる貴族の領地から麦や野菜、ハムなどが運び込まれていた。


 馬車に揺られること四半刻ほど。

 王都の中央広場に到着する。

 二人で広場から大通りへ向けて歩き貴族街へ戻るコースが今日のデートコースだ。

 町は活気がありいくつもの屋台が立っている。

「珍しい野菜なんかも売ってるわね」

「この時期ですと、キノコや根菜類、イモも収穫時期ですから」

「保存がきく食べ物とはいえ、お芋はこの時期のが特にふっくらして美味しいものね」

「旬に食べるのがやっぱり一番ですよレイラ様」

 国の各地から商人が農作物などを持ち寄っているのだろう。

 たまに見たことのないようなものもある。

「リラ、あそこをのぞいてみましょう」

「アクセサリーの屋台ですね。こうやってにぎやかな時によく店が出てますね。遠くから来た商人たちが地元へ戻るときに購入していくことが多いそうですよ」

「何か気に入ったものがあれば買ってあげるわ」

「本当によろしいんですか?」

「屋台のアクセサリーぐらいドール家にとってはなんてことないわよ」

「そ、そうですか…」

「えぇ遠慮なく選びなさい」

 屋台の店員さんは珍しく女性だった。

 こういう貴金属や石を扱うお店は大体男性が店番をしていることが多いのだ。

 何かトラブルがあった時はやっぱり腕っぷしがキモなので。

「いらっしゃいませ、何をお探しです?」

「この子に似合うアクセサリーを探しているのよ。おすすめはある?」

「こちらはどうでしょう?」

 シンプルなネックレスを出してくれた。

 センターに青色の石がついており、瞳の色に合わせてくれたらしい。

「お姉さん、これもう少し濃い青の石はないですか?」

「ありますよ、少々お待ちください」

 屋台裏の在庫を確認してくれるようだが、今の石のほうがリラの瞳の色に近いと思うのだが…

「こちらはいかがでしょう?」

「いいですね、これいくらですか?」

 あぁ私の瞳の色に合わせたかったのか…では私もさっきのリラの瞳の色のものを買おうじゃないか。

「先ほどのネックレスとこちら両方くださいな。あと、これで足りるかしら?」

 店員さんが目を丸くする。

 私が出したのは金貨だ。この国で二番に価値が高い硬貨である。

 ちなみに一番高いのは白金貨で、そちらは金貨100枚分の価値がある。

「お、多すぎますっ!これは二つでも銀貨10枚ほどのものですのでっ」

「あらそう、お安いのね」

 そういって、私は支払いを銀貨に切り替える。

 貴族用のアクセサリーより安いだろう程度の感覚で払おうとしてしまったわ。

「レイラ様、ありがとうございます」

「どういたしまして。これでお揃いね」

「そ、そうですね」

 ちょっと赤くなるリラはかわいいわね。

 この後は一緒にお茶お楽しみましょうかね…

この世界では日時計で時間を決めているため、結構ルーズです。

またお金の価値は100枚単位で切りあがり、最小単位は銅貨です。


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