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p.8

***********************************


「悟? これ、どうかな?」


 純白のウエディングドレス姿の真由を、黒木は眩しそうに見つめる。


「いいよ。とっても似合ってる。この前の、シックな黒のドレスも良かったけど、真由は、白も似合うんだね」

「あ~、ハイハイ」


 満足そうに頷いている黒木に呆れながら、真由は、試着中のドレスを脱ぐため、担当のプランナーとそそくさとフィッティングルームへと戻っていく。


 1年前に公園で出会った真由と黒木は、その後しばらくして交際を始め、この度めでたく結婚することになった。


 真由がドレスの試着を終えて戻ってくると、次は、プランナーと結婚式の細々とした打ち合わせが始まった。


「黒木社長、式場に飾るお花はどうされますか?」

「あ~、うちの会社でやるから、生花代は、全部なしにしてもらえる?」

「それはもちろんでございます。いつも、お世話になっております」


 2人の式を担当するプランナーが、黒木に親し気な笑みを向ける。


「ってか、お花代って意外とかかるのね。悟がお花屋さんで良かったわ~」

「お花屋さんって……まぁ、そうなんだけど」


 会場装飾から、フラワーショップまで生花業を手広くやっている黒木の会社は、もちろん結婚式場とも懇意にしており、このような無理も容易く話が通るのだ。


 黒木曰く、生花業の取引先は、個人から企業に至るまで多岐にわたるので、仕事に困ることはないのだという。黒木が真由にプロポーズした際の言葉は、「お金で苦労はさせない。一生安定した生活を保障する」だった。


 その言葉を聞いたとき、なぜだか真由は、1年前にほんのひとときだけ交流をもった子供のことを思い出した。


 いつの間にか黒尽くめの子は公園に来なくなり、程なくして、真由も公園へ足を運ばなくなっていた。黒木と付き合うようになってから、タバコの煙は花に悪いと口酸っぱく言われ続け、いつしか、真由がタバコを吸わなくなっていたからだ。


 真由は、ふとした瞬間に思うことがある。


 あの黒尽くめの子は、もしかしたら、愛猫のクロだったのではないかと。クロが真由と黒木を出会わせるために、あの公園に姿を現したのではないかと。クロが一人残される真由を心配したのだろうか。それとも、クロに愛情を注いでいた真由への恩返しのつもりだろうか。


 本当のところは、知りようがない。でも、黒木との縁は、クロが繋いでくれたのだと、真由は密かに思っている。

完結しました☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆


こちらは、『ちょっぴり不思議体験記 〜不思議体験短編集〜』シリーズ作です。


他作品も併せてお楽しみ頂けると幸いです。

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