あなたはまことに死んでしまった4
早すぎる晩年。
12歳のはるかは、4歳になる彼方にこう語った。まず、始めにはるかの容姿を説明しておこう。色白で頬がほのかに赤く、切れ目で、唇は紅く形が良く、線が一本通った様な目鼻立ちであった。(髪と瞳は黒く、しかも、見事な色合いを見せていた。)彼女を見る者は、「もったいない」と言い、彼女を賛美した。実は容姿は中身が整っていなければ、意味がないのだが、その彼女は彼方にこう語ったのである。
「常に神を賛美し、震えと共にいなさい。あなたをこの世からいずれとられる神は、あなたをかえりみられます。あなたはまだ自覚がない様だが、神はあなたの中にもいます。あなたを守って下さるのも、弁護して下さるのも、その神だけです。ゆえに、良心に忠実になりなさい。良心は神と人間を繋ぐバイパスなのだから、神に従う様に良心に従いなさい。」
彼女は神を信じており、その信仰心はたゆみないものであった。
もちろん、はるかは4歳の彼方には理解出来ないものである事は分かっていたが、少しでも神に近づける努力をしたのである。
己の天命をさとっていたからこそ、出た言葉だった。
はるかは自分の晩年を予期していたのである。