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ランプの精「ふむ...お前の願いを叶えてやろう」 人間「ここ問題の解き方を教えてほしいのです」 ランプの精「...ん??」

作者: 黒豆100%パン



「これは...何でしょう?」



その男は塾の途中、奇妙なものを見つけた。それは、銀色のランプで漫画などにあるような魔法のランプのようなデザインで、急須のような細長い注ぎ口に取っ手が付いている。

それを拾い上げて擦ってみる。するとモクモクと煙が出てきて口髭の生えたおっさんが姿を現した。



「やあ!私はランプの精。願いを言いたまえ」



肌色の人間のような肌に頭にターバン。口の周りの黒いヒゲをさすりながらそいつはそう男に向かって言った。



「ランプの精?願い?」



「そうだ!君も、テレビとかで1度は見たことはあるだろう?ランプの精が願いを叶えるシーンを!あれだよあれ」



「そうですか。なら参考書をください」



「はえ?」



まさかの回答にランプの精はオホンと席をして聞かなかったかのようにもう一度同じことを尋ねる。「願いを言え」と。だが帰ってきた答えは同じものでランプの精はガッカリしたような顔になる。



「なんでもできるぞ?車だって出せる。なんなら世界を征服だっていい」



「聞こえなかったのですか?参考書をください」



ランプの精は男を見る。丸メガネで学ランという漫画とかによくある「ガリ勉」と言えるようなタイプの男だ。細い体で背も高く割とガリ勉に当てはまるものばかりだった。



「そうか!何か試験があるんだな?なら君を合格させてもいいぞ」



「お断りします」



「はあ...」



何でも願いが叶うという状況でよくそんなお願いができたもんだと、ランプの精は呆れていた。生真面目といか何というか...はあ、とため息をついた後に念押しする。



「いいのかい?何でもできるんだよ??」



「自分の力で受からないと意味がないので。今欲しいのは受かるための参考書です。◯◯大学の参考書をください」



「だから私の力を使えば合格...」



「同じことを言わせないでください」



ランプの精が言い切る前に男はそう口を挟む。それを聞いて「そうか...」とだけ呟いて指を鳴らす。すると目の前に本が何冊か現れた。赤い表紙に◯◯大学という文字。これは間違いなく男の欲していた◯◯大学の参考書だ。



「では」


そういうとランプの精はスルスルとランプの中に消えていった。

男はそれを確認するともう一度ランプを持ち上げこする。



「やあ!願いを..ってまた君か」



ガリ勉男の顔を再び見るや否やランプの精はとても嫌そうな顔になる。男は参考書のとある問題のページを開き目の前に提示する。



「ここの解き方を教えて欲しいのです」



「え?」



その問題は中々の難問で簡単に解けるようなものではなかった。ランプの精はため息をついた。



「知らないよ解き方なんて」



「何でも願いを叶えてくれるんじゃなかったんですか嘘つき」



「君ねえ..?」



そのあとを言おうとするがランプの精はそれをやめ、パチンと指を鳴らす。するとその参考書に解き方が赤い文字で書かれていった。ランプの精は疲れたような顔でまた戻っていった。

そしてまた擦り出す。



「君さあ、いい加減にしてくれない???何なの?合格させてくれでいいじゃん!何がダメなの???」



「何度も言わせないでください。これが終わったらまた別のお願いをしますから」



「本当に???」



「本当です」




そこから怒涛の勉強会が始まった。ランプを擦りもちろん願いは「ここの解き方を教えてくれ」だとか「別の参考書が欲しい」だとかそればっかだ。



「何か気分転換したくないか?私の力なら空だって飛べるし好きなものだって何でも出せる。どうだ???」



そう尋ねてみても「勉強に集中したい」の一点張りで勉強から離れようとすらしない。困ったものだ。

はあ、とため息をついて魔人はしょうがない、とだけ呟いた。

ポンポンと音を立てて新たに参考書が2、3冊出てきた



それを見るとノートを取り出して熱心に何かを一心不乱に書き始める。それに集中しているその男を見て静かにランプに戻っていった。





それから長いことランプの精はそこから呼ばれることがなく、ランプの中で考え事をしていた。こんなに呼ばれる事がないなんて、まさか何かあったのか...。

いや、なぜそこまで考える必要がある?ひたすら参考書とか地味なものばかりを頼む奴だ。



「うーむ...」



ランプの中で精はそんな声を出した。するとランプの擦る音が聞こえ勢いよくランプの精は飛び出していった。久々の登場で煙も少し多めに出しながら登場する。




「御用は...ってん?」



ランプの精はランプから出るや否や何度も見た顔にため息をついた。その参考書を何度もせびる男を久々に見たこともあり少しどこか嬉しそうな感じもする。



「また参考書とかか??」



ランプの精がそう言うと首を縦に降る。男は相変わらず前と同じような格好に丸メガネだ



「言ったでしょう?終わったら別の願いをすると」



「あ、ああ。そうだったな」



「無事受かったのでその願いをしようと思いましてね」



そんな願いしていたば、と精自身も長い事呼ばれていなかったので忘れていた。

その願いをドキドキしながら待っていると男がその口から願いを言う。



「今度は勉強が捗る為の道具が欲しいですね...」



「そうか...」



ランプの精は「またか」と言うような表情をして、すぐに久しぶりの願いに少し嬉しそうな顔になった。






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― 新着の感想 ―
[一言] 叶える願いの回数制限無いとか羨ましい(´ρ`)
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