秋葉原ヲタク白書30 夏コミに咲く花の名は
主人公はSF作家を夢見るサラリーマン。
相棒はメイドカフェの美しきメイド長。
この2人が秋葉原で起こる事件を次々と解決するオトナの、オトナによる、オトナの為のラノベ第30話です。
今回は、深夜のアキバ路上で人々が次々と電撃に見舞われ、気を失うという事件が多発します。
早速、調査に乗り出すコンビですが、何と犯人は秋から登場予定の極秘キャラのコスプレをしてて…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 稲妻キネシスの電撃王女
梅雨明けで真夏の太陽ギラギラ到来!
夏だっ!コミケ!コスプレ!同人誌!
「つぼみん、SHCって知ってるか?人体自然発火現象のコトなんだが…俺達、消防士にとっちゃ万国共通の悪夢なんだ…」
あと日本人なら忘れちゃダメ絶対。
夏の風物詩と逝えば?怪談だょね←
「俺は見ちまったんだ。周囲に全く火の気がないのに上半身だけが自然発火。靴を履いた足2本を残し、上は完全に炭化して骨も残らない…」
今宵の語り部はハシゴさん。
神田消防署のリアル小隊長。
「きゃー怖い!ソレ以上はらめぇ!禁止なの!」
「あら?怪談?もっと聞きたいなー。やっと御屋敷も夏気分。今度、浴衣デーでもやろうかしら」
「ハシゴ氏、でもソレって酒飲み過ぎて炎上って話なンじゃないの?過剰摂取のアルコールと体内のリンが結びついて爆発的に炎上したとか?」
ココは僕の推し(てるメイド)ミユリさんがメイド長を務める御屋敷だ。
つぼみんはヘルプのメイドさんで、ハシゴ氏は彼女のTOを務める。
国民総ヲタク化で逆に絶滅危惧種となった"濃い"ヲタクが大量に集うので、最近膨大な氷が発見された水星に因み"水星バー"とか呼ばれてる。
「人体発火って、昔からあるよね?ソレってアメリカのオカルト覇権主義に対するEU的な反発の産物なんじゃね?」
「待った。SHCの本場はイギリスだから、反EU、ブレグジットの旗印と逝うべきではナイだろうか」
「うーん。ウチの子達も何人かやられてるのょ。そのDHC」
いや。SHC(Spontaneous Human Combustion)だ。
およそ怪談とも無縁で不毛な議論はともかく(まだ続いてるw)最後の発言はジュリ。
彼女は、昭和通り界隈にタムロするストリートギャング"セクボ"のヘッドの妹。
因みにJKコーデだがアラサーで無理がある←
「やっぱり?何で化粧品?とは思ったけど…とにかく、最近、ウチの常連とかも千鳥足で(秋葉原)駅まで帰る途中でよくヤラれるのょ。ビビっとね」
「何だょ、そのビビって?店の中でシビれさせて有り金巻き上げてんじゃないの?歌舞伎町のキャッチバーみたいだな」
「キャッチバー?ソレっていつの話?平成?だっさー」
そーゆージュリも平成生まれで、彼女はJKキャバ"チョベリバ"の立派?な経営者だ。
"チョベリバ"は、教室タイプのJKキャバで僕も1回逝ったら即"学級委員(常連w)"←
「確かに千鳥足カモだけど、ちゃんとお見送りした後で(秋葉原駅の)昭和通り口に辿り着く前に襲われちゃうのょね。瀕死の連絡を受けて駆け付けると、まだピクピク痙攣とかしてる」←
「ヒドいなそりゃ。立派な通り魔じゃん。万世警察には話したの?」
「別にお金とられるワケじゃナイし、本人が届とか出さない限り警察は動けないって。ねぇ!コレって(夜の)アキバに対する何者かの挑戦よっ!みんなで受けて立たなきゃ!」
そうやって他人を巻き込むなw
…とか僕は思うが"チョベリバ"でのサービスを期待してか盛り上がる輩もいるw
特に「警察がアテにならないの」とジュリが嘆いてからの消防系の高まりが凄い←
「よかった!帰り道に通り魔が出るって噂になって、実は客足が落ちて困ってたの!さぁみんなで力を合わせてウチの客の安全を確保するの!コレはアキバのホルムズ海峡問題よっ!」
「おおっ!…でも消防隊員は、夜勤シフトがあって有志連合には参加出来ない。あとはテリィさん、よろしく頼むっ!」
「えっ?」
あのなぁw何かあったら即119するからな!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その中華の名は"新秋楼"。
腹一杯食べ安く上げるならヤハリ中華だね!
コレは世界中の貧乏ミュージシャンの常識←
しかも、店の太ったおばちゃんは、娘がロッカーだとかで、僕達バンドマンに優しい。
あ、作家だけでは食べて逝けないので、週末にはバンド組んで小遣い稼ぎしてルンだ。
で、カウンターの隅で裏menuの"母さん炒飯"を食べてたら、伝令が飛んで来る。
"ツィオルコフスキーの公式"を大描きしたダブダブTシャツの彼は"セクボ"だ。
"セクボ"こと"セクシーボーイズ"はストリートギャングなんだけど、彼はその中でも精鋭とされる"追跡チーム"のメンバー。
目配せ1つで僕を呼び出して、夜の暗い街路の奥の奥へと僕を誘う。
すると、街灯の下に何度か顔を合わせたコトのあるリーダーがいる。
リーダーは、僕を見ると軽く頷いてソッと前を指差す。
ソコには、肩を組み千鳥足のサラリーマン3人組の影。
絵に描いたような昭和な絵に、軽く"always"的なタイムスリップ感も覚えながら、追跡チームと共に、夜の闇に紛れて後を追う。
その時だ!
千鳥足3人組の前に突如として"ナイアガラの滝"が出現、いや幻出する!
あ、あのモノホンの滝じゃなくて、仕掛け花火のナイアガラだょ念のためw
通りに線でも張ってあるのか、ヤタラ眩しい火の粉の滝が降り注いで、千鳥足はもちろんストリートギャングの精鋭達も腰を抜かす!
あ、モチロン僕も笑
ところが、さらに驚くべきは、その火の粉の滝の中から進み出る人影があるコトだ!
女性らしいラインがクッキリと出たボディスーツに紋章学的に意味ありそうな模様w
生暖かいビル風にそよぐ長い髪は、降り注ぐ火の粉に光り輝く美しきブロンド。
フェイスは…滝の前に出て逆光でよく見えないんだけど美女だろぉよ?普通は←
まるでアメコミヒーローの出現だw
戦隊ヒロインの域は絶対超えてる←
彼女は、ナイアガラの滝をバックに進み出、既に腰を抜かしてる3人組を指差す!
次の瞬間、その、何と逝うか、彼等が爆発したように見えて3人は路面に大の字w
そして、終末は唐突にやって来て花火が尽きたか光も音も全てが止んで闇に沈む。
後には、薄暗い街灯の下で大の字の3人の酔っ払いと呆気にとられる追跡チーム。
多分全ては数10秒間の出来事。
謎のヒロインは影も形もない。
百戦錬磨の追跡チームのリーダーが、まるで幽霊を見たかのような顔で僕を見る。
もちろん、僕も全く同じ思いで彼を見返したが…実は僕には思い当たる節がアルw
アレは"ムーンライトセレナーダー"だ←
第2章 "ムーンライトセレナーダー"
僕は特撮アクション番組"地下鉄戦隊メトロキャプテン"の原作を描いている。
幸い番組は絶好調、先日出したノベライズ本がコレまたジワジワ売れ出してる。
と逝うワケで全国サイン会ツアーや各種インタビューとか舞い込んで気分はもうベストセラー作家!そろそろサラリーマンやめようかな…
あ、喋り過ぎたwまだ会社には内緒だょ←
ところで!メジャーになってw初めて知ったがクール後半には"途中女幹部"が必要だ。
"途中女幹部"は初回から登場する"悪の女幹部"の手下で秋に登場する追加キャスト。
昔は、ココで正義の戦隊側に追加戦士が現れてクリスマス商戦を盛り上げたものだ。
ソレが最近では、悪役、ソレも女幹部限定の追加キャストを登場させる手法が定着。
平成ライダーが、無名のイケメン俳優の登竜門となってママ層の人気を掘り起こす。
次はパパ層だ!と逝うワケで、無名のグラビアアイドルの登竜門化を目指す企画だ←
で、今回"途中女幹部"としてアイデアを練ってたのが"ムーンライトセレナーダー"。
超古代、巨大彗星の軌道上に立ちはだかり地球衝突を防ぐ盾となり滅んだ月王朝の末裔。
あ、セーラームーンに似てると思った君!
ソレは君の勘違いで似てるのは偶然だょw
でも、昔からセーラー戦士のフリルみたいなミニスカって邪魔だなぁと思ってたワケだ。
だからこの際、思い切ってミニスカは取っ払いボディスーツっぽいコスチュームを採用。
コレで長年の恨み…じゃなかった懸念を解消し実にアメコミっぽいヒロインが誕生する。
こりゃパパ達のハートを鷲掴みだな!と確信しつつ極秘設定資料として秋まで厳重保管←
と思ったら、立派に3D化し既に公道上で酔っ払い相手に戦ってるではナイか?!
コレは一体どーしたコトだ?デザインが盗まれコスチュームまで作られてるょw
「な、なんなのコレ?コスプレショー?新手のフラッシュモブ?誰かダンスしてた?」
「歌も歌ってナイwそもそも、酔っ払いは本気で失神してたから、ヤラセ的なモノではナイと思うンだょな。財布も何も盗まれてないし」
「テリィさんのおっしゃる通りです。ソレから…多分、この電撃を撃つ時、彼女の瞳が光ってたように…思います。ええ、多分」
いつもは沈着冷静な追跡チームのリーダーの報告がヤタラとシドロモドロで笑える。
ココは"セクボ"の溜まり場で昭和通り沿いにある国民的ハンバーガーショップB1。
通称"パレス"。
追跡チームが、昨夜の顛末をジュリに報告する横の電源席では、サイバー屋のスピアがPCを何台も広げて何やら仕事をしている。
「じゃ全部、この花火娘のパフォーマンスってコト?1人で夜中の路地で正義のヒロインごっこをやってるワケ?この女、誰よ?」
「うーん新手のストリートパフォーマーってトコかな?予め仕掛け花火をセットした街路に酔っ払いを誘い込み、テーザー銃(有線のスタンガン)で電撃食らわす、って感じ?いずれにせよ、もはや、真夏の怪談では済まナイな」
「グラビアアイドルの新手の売り出しかしら?この酔っ払いも実はタレント事務所の仕込みだったりして。ねぇ!この画像、もうMy Tubeに上がってルンじゃないの?」
ツィオルコフスキーのダブダブTシャツを着た彼が無表情に首を振る。
僕達が今、見終えたのも彼が昨夜、必死?の覚悟で撮影した画像だ。
そろそろ正直に話しとこうカナ…
「じ、実は、あのヒロインは…」
「"地下鉄戦隊メトロキャプテン"の今年の途中女幹部で"ムーンライトセレナーダー"でしょ?月の裏側にある王宮の廃墟から蘇った"電撃王女"で、あの必殺技の名は"稲妻キネシス"」
「ええっ?何で何から何までみんな知ってるの?」
突如、スピアがペラペラ機密事項を喋り出し、PCに極秘のコスチュームまで映し出す。
レオタードタイプのボディスーツは白が基調で黄金のデザイン文字が描き込まれてる。
実はウルトラ文字で「アキバ大好き」と描いてあるんだけど、サスガにスピアはそこまではワカラないみたいだ。まだまだだな←
「テリィたん、セキュリティ甘々のエージェントはサッサとクビにしたら?かなーり昔にハッキングされて機密情報が流出したまんまょ。web上で全部バレバレょ」
「ええっ!何てこった!」
「とりあえず、ハッカーが誰で、ハッキングされたファイルが何処に流されたかをトレースしてみる。ソレはテリィたんの元カノ会長として、私の方でやるから。テリィたんは、早くエージェントをクビにして。嫌いなの、あのメガネ女」
僕のエージェントは、サユミさんだ。
昔、ゲーム雑誌の編集部にいて、僕に色々仕事を回してくれて以来の御縁が続いてる。
丸メガネで文学少女風だけど、脱ぐとスゴ…じゃなかった業界でもヤリ手で通ってるw
と逝うワケで彼女をクビには出来ません!
と逝おうとしたら、スピアの方が先手を…
「やだぁ。またガード下だわ。テリィたん、1ヶ月も前に"ムーンライトセレナーダー"のコスチュームが発注されてる。受注納品は"リトル広州"のフロント企業」
「マジかょ?発注者はハッカー?」
「ソレが…コイツ、私より腕がいいカモ。まさか"サンクチュアリ"クラス?」
"リトル広州"は、神田川とJRが交差する新幹線高架下に密集するコピー商品の工場群。
"サンクチュアリ"は、世界的頭脳を持つハッカーだけが集う伝説のチャットシステム。
スピアの話を要約すると、サユミさんのオフィスをハッキングしたのは天才ハッカー、コスチュームは神田川沿いの制作と逝うコト。
とりあえず"リトル広州"で手掛かりを探そうと思うがアソコは余りいい思い出がナイ。
こりゃショーさんからセンムにつないでもらうとしよう。病気は治ったのかなセンムは?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ショーさんは僕達アキバに集うヲタクの兄貴分みたいな存在だ。
アキバが生んだ世界的POPシンガーMAMIさんの伝説のTO。
センムは、アイドルショップの老舗"eアイドル"のオーナー。
普段は"リトル広州"にある隠し店舗"eアイドル+"にいる。
"リトル広州"は、日本語の通じない世界なのでセンムに窓口になってもらう必要がある。
まぁこのセンムも、話の途中で意識が混濁したり、失禁してしまったりする難物なんだけどw
「やぁセンム!何か当たりがありますか?」
「おぉショー!久しぶりだな、ウサギ(MAMIさんのメイド時代のネーム)のサイン入り手袋があるぞ!真冬でもあったかいぞ!」
「ソリャお宝だぉ!でも今、真夏だから微妙カモ…ところで、センム!テリィさんを覚えてますか?ミユリさんのTO」
律儀に手袋を手に取って試着wするショーさんの横で、僕はピョコリと頭を下げる。
幸い、センムは覚えてくれてたみたい、かつイヤな思い出とは別?みたいで助かる。
ところが…
「アンタが来るのは知ってたょ。ドラゴネス(雌ドラゴン)のコス(チューム)の件だろ?どうだ、素晴らしい出来だろう?」
「ドラゴネス?何ですか、ソレ?ってか、僕が来るって誰に聞いたんdeathか?」
「セクシーコスだょな。いよいよ戦隊ヒロインも巨乳キャラの時代が来たのか!生きてて良かった!令和、何て素晴らしい時代なんだっ!」
"リトル広州"のブースの中にいるセンムがPCをクルリと回して僕に示す。
画像の中では今度はアジアンなグラマー美女がポーズをとって微笑んでるw
あちゃ!こんなトコロまで流出しテンの?こりゃもう機密でも何でもナイでしょ?
ソレに君!ヤタラ肌が浅黒くて鼻ペチャで多分フィリピーナだと思うけど誰だょ?
「センム、コレは隠しキャラの極秘コスですょ!このデザイン、何処から手に入れたんですか?ってか、コレ、センムのトコロでつくっちゃったの?」
「ウチじゃないが、ココからホンの半径数m内で作り上げてる!"リトル広州"は、何でもあっという間にコピーしちまうんだ!俺は、まぁ発注者と逝うか、"皇帝"とこの町工場ネットワークとの中継ぎ、いわば総合プロデューサーみたいなモンだ。で、お前のムーンライト何ちゃらってのは、俺達はドラゴネス(雌ドラゴン)と呼んでる。まぁコードネームみたいなモンだな」
「皇帝?中継ぎ?コードネーム?」
はぁ?何逝ってんだろーな、このオヤジw
でも失禁されても困るから話題チェンジ!
「いやぁ見事なナイアガラの滝でしたねぇ!"リトル広州"は花火までコピーしちゃうとはなー。ホントにキレイだったdeathよ!さすが"リトル広州"」
「花火?何だソレ?そんなコトより、何たって"稲妻キネシス"の仕掛けだろう!(コスプ)レイヤーを人間スタンガン化し人体から大電圧を惹起すべくプラスを右手、マイナスを左手に帯電させ、両手をクロスさせた瞬間にショートする回路をコスプレに埋め込む!うぅ!我ながら天才だっ!技術立国ニッポン、プロジェクトエーックス!」
「え?でもソレってウルトラマンのスペシウム光線のパクリでは…」
小声で逝ったせいかセンムには聞こえず、絶好調のままダラダラと話は続く。
そのほとんどは意味が不明だったんだけど、端々を繋ぎ合わせると概ね以下。
つまり、センムは相変わらずシンギュラリティAI"アキバ皇帝"に支配されているのだ。
"アキバ皇帝"とは、アジアンマフィアがシンジケートの一切を管理させてるAIの名称。
かつて、アキバ進出を図るも寸前で企みは阻止され今はネットの海に潜伏中なのだ。
その際、メイン電源を落としアキバ進出を阻止したセンムを廃人とし支配下に置く。
そして今回"地下鉄戦隊メトロキャプテン"のヒットを知った"アキバ皇帝"は、サユミさんのオフィスから極秘資料をハッキング。
秋から大ヒット間違いナシの"ムーンライトセレナーダー"に注目し"リトル広州"の総力を挙げ世界に先駆けコスプレを完成させ…
うーん何かヘンだw
"ムーンライトセレナーダー"のヒットを予想してくれるのはありがたいが、何も世界に先駆けてコスプレする必要はナイだろうw
やはり未だ最後のピースが欠けてる…
「…そして、アキバのヲタクどもょ!喜ぶがよい!時は満ちた!神の国は近づいた!リア充を悔い改めてヲタクを信ぜよ!」
「あーあ、センムはまだ、あの気違い電卓(AI)とつきあっテンdeathか?散々儲けたんだから、もう手を切ったら?ってか神の国って何?」
「その国の名は"超人類帝国アキバ"」
何だかなーw
第3章 生アクビ娘の御帰宅
"新秋楼"の"焼き刀削麺"が届くw
"リトル広州"から御屋敷に戻り、誰となく顛末を話してたら出前の兄ちゃんが来る。
福建出身でイマイチ話がわからないが、どうも店のおばちゃんが僕を呼んでるらしい。
で、早速出掛けたら…何とおばちゃんが客を自動小銃で脅してるw
やや?FG42?第2次世界大戦でドイツ軍の空挺部隊が使用した銃?
まぁおばちゃんは、先日フリーガーファウスト(肩打ち式対空バズーカ)で時間ナチスのUFOを撃墜してたから今更驚かないケドw
問題は、おばちゃんの横で仁王立ちのヒト←
「テリィたん!またアンタ?いつも一体ナニやってんのょ?立派に業務妨害だから!ダンナにハンマーしてもらうわょ!」
「わああ、た、助かった!何でも話す!命だけは助けてくれ!俺は、闇サイトで仕事を請け負っただけだ!どうかお目こぼしを…わ、わ、わ」
「ゲゲッ!エリカ様?何でココで絡むかな?それから、ソコのアナタ、恐らく初めましてdeathけど、何で"42年式空挺猟兵用突撃銃"をくわえてんの?無銭飲食?」
説明しよう。
最初は、人呼んで"アキバの夜の裁判長"コト爆乳司法書士のエリカ様だw
黒のハイウェストスーツにブラウスのボタンは3つまで開け谷間クッキリ!
次は発言中におばちゃんに口の中に小銃を突っ込まれ終わりまで逝えない男w
多分古着の青アロハにジーンズというヨタ公スタイルで床に尻餅、口に小銃←
このセットは何だ?
話を聞いてみると…
失業中の詐欺師アロハは、闇サイトを通じて意匠登録を出願する仕事を請け負う。
出願対象は"ムーンライトセレナーダー"のデザインだが彼はそーとは知らない。
まぁ出願なら、いつも風営法で世話になってる爆乳司法書士に頼もうと近くの中華に誘って話し始めた途端にFG42でホールドアップw
まぁ出会い頭にダンプに轢かれちゃいました、みたいな感じ?可哀想ではアルが詐欺?未遂を市民逮捕したおばちゃんも御苦労様←
しかし、次からは僕じゃなくて直接万世警察に通報してくれても良いンだょw
ところで、意匠登録をすると、意匠権で保護された物品の製造販売を独占して行える。
裏を返せば、意匠権者以外は"ムーンライトセレナーダー"のグッズ販売は出来ない。
「盗んだデザインでも先に登録すれば勝ちってコト?こりゃもう立派な犯罪でしょ!盗まれたデザインの登録って盗品の所持・流用だょね?やっぱりコレ、犯罪だょ!」
「だ、だ、だからって、口に突撃銃を突っ込まなくても!わ、わかりました!私は頼まれただけですが、今から喜んで万世橋に自首します!」
「おおっ!潔い態度だ。では、万世警察までお供つかまつる!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
店を離れられないおばちゃんを残し、僕とエリカ様と福建の出前氏でアロハを連行。
まぁイヤーな予感はしてたが、もうすぐ昭和通りと逝うトコロで何処からともなく…
ムーンライトセレナーデが流れて来るw
グラン・ミラー楽団ではないようだが…
そして、突如目の前にナイアガラの滝が発現して一帯に火の粉の大雨が降り出す。
続いて、火の粉のナイアガラ瀑布の向こうからボディスーツの金髪美女が現れる。
"ムーンライトセレナーダー"だw
初めてでアッサリ腰を抜かすエリカ様と福建の兄ちゃんはともかく、僕は2度目w
しかも、一応生みの親でもアルんで、ココは腰を据えてガン見してみたトコロ…
フェイスは格別ではないがギリギリ美女。
ボディスーツは概ね正確に3D化されてる。
肌は浅黒くて中身は多分フィリピーナだ。
音楽専用のウェラブルスピーカーを内蔵…
他にも色々アルが時間切れ!
と逝うのも、彼女が謎めく微笑みで僕達を指差すように手を向けたからゲームオーバーw
だってソレは"ムーンライトセレナーダー"の必殺技"稲妻キネシス"のポーズだから!
次の瞬間、世界中の火花が僕達に向かって飛んで来てカラダを電撃ショックが見舞うw
全身の筋肉が激痛と共に収縮して、僕は地面に崩れ落ちつつ彼女の口が動くのを見る。
その時彼女はこう逝っていたのさ。
"稲妻キネシス"を撃ちながらね。
「オカエリナサイマセー!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
結局、僕達は詐欺師のアロハを取り逃がす。僕が息を吹き返すと既にアロハの姿はナイ。
見回せば大股開きで失神してるエリカ様と大イビキの福建兄ちゃん。
未だシビれてる頭を振り、ボンヤリとエリカ様のパンツを鑑賞する←
探してた"最後のピース"がコレ?笑
アロハに意匠登録の出願をさせようとしたのは多分"アキバ皇帝"だ。
秋以降"ムーンライトセレナーダー"の露出を待って提訴する作戦か?
意匠権侵害の差止請求、損害賠償、使用料請求など、ヤリたい可能だw
何とかアロハは止めたが…大変!僕は急いでサユミさんにメールする!
さらに、真夜中でも、なお生温かいアスファルトに手をついて考える。
光線を発射する時に"オカエリナサイマセー!"と逝うヒロインって…
ああっ!思い出したぞ!
"生アクビ娘"だっ?!
少し前に、御屋敷に御帰宅した自称特撮監督の3人組"ブンバガバン"。
本人も知らない内にカルテルの運び屋をやらされ本国送還となったが…
彼等がMyTubeにUPしたパイロット画像"シビれろ!生アクビ娘"に登場するヒロインが決めシーンで確かソンな雄叫びを上げてるw
急いでスマホでMyTubeを見直す(ゲッ!いつの間にヤラ10万回再生w)。
おおっ!パンツ丸見えのまま光線発射する時に上げる雄叫びは確かに…
「オカエリナサイマセー!」←
さらにスマホの小さな画面に目を凝らすと、アラビアン"生アクビ娘"の顔は、さっきの"ムーンライトセレナーダー"にソックリw
間違いない!"生アクビ娘"は"ムーンライトセレナーダー"だっ!
ウロ覚えだけど"生アクビ娘"の(コスプ)レイヤーの「君の名は。」
彼女の名は…確かルビィ。
第4章 夏コミに咲き乱れる花の名は
何となく最後のピースの行方がモヤモヤしたママだが夏コミの初日キター!
世界中から約50万人が集う、今や世界最大級の規模を誇るヲタクの祭典!
同人誌即売をベースに企業ブースやコスプレなど多彩な華が咲き乱れてる。
今年もミユリさんとコスプレ参戦するコトにしてて、お題は月面ナチスw
月の裏に逃げ延びたナチスが地球に攻めて来る、と逝うSF映画のコスプレだ。
ミユリさんはミリタリールックの地球学者でミニのタイトスカートが眩しい。
僕は、ドイツ空軍大佐で飛行船型宇宙母艦から出撃してマンハッタンを空襲するUFO編隊の指揮官(ヘルメットで顔は見えないw)。
着替えコーナーで男女に分かれ、出口でコスプレして来る彼女を待つ、あの高揚感w
ナイトプールで彼女が水着に着替えるのを待つ、あの感じ!あぁ!今年も夏キター!
腕組み出掛けるコスプレ会場は、既に押すな押すなの大盛況で思い思いのポーズをとる(コスプ)レイヤーにカメ(ラ)小(僧)が群がる。
ミユリさんには忽ちカメ小の大行列が出来て僕は交通整理に大わらわだ。
まぁ毎年のコトで慣れてるし、今夏はどう逝うワケか僕にリクエストもw
と、その時!
真夏の太陽ギラギラに大群衆と逝う殺人的状況のコスプレ広場の遥か向こうに…
"ムーンライトセレナーダー"がいる!見間違いか?いや間違いない!彼女だ!
「ア、アホイ!」
僕の叫び声は、世界最大規模の祭典が生む大喧騒にかき消され(まぁそもそも僕もヘルメットを被ってルンだケド笑)全く届かない。
しかし、彼女はその瞬間、僕を振り向く。
そして、遥か遠くの僕に向けて投げキスw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
さて、何から話そうか。
やっぱりセンムだな。彼は、ホントに可哀想な人なんだ。
"ムーンライトセレナーダー"に襲撃された翌日のコト。
僕とミユリさんは、昨夜の出来事をセンムに話しに"リトル広州"を訪れるが、小間にセンムの姿はなく、裏で荒ぶる声がスルw
「ぷはっ!逝ってなひ!俺は誰にも逝ってなひ!や、やめて…ブクブクブク」
センムが水責めに遭ってる?
ミユリさんと狭い裏部屋を覗くと、何とフィリピーノっぽい男3人がポリバケツに並々に張った水の中にセンムの頭を突っ込んでるw
僕達と目が合った3人が一斉にバタフライナイフを抜き目にも留まらぬ早さで刃を開く。
危ない!と思い僕がミユリさんを庇うより前にミユリさんが僕の前に出て庇ってる…笑
「ま、待ってくれ!ミユリ、コイツらはみんな友達!俺の友達なんだ!フレンドリー!フレンドリー!」
「無理。センムさん、とてもフレンドリーには見えないわ」
「みんな友達。だからミユリ、今日は帰って下さい。この人達は日本語がわからない。アジアで取引。香港、上海、マニラ。どこも同じ。ギャングには賄賂。諦めるしかないんだ。フレンドリー、ミユリ&テリィ!ミユリ&テリィ!」
ハッキリ逝ってセンムが何を逝ってるのか皆目わからないが、最後の僕達の名前連呼は効果テキメンで全員が一斉にナイフをしまう。
まるでバッキンガムの衛兵みたい笑
しかも、リーダー格の男が両肩をスボめ掌を上に向けフランス人ぽい愛想笑いで不気味。
もっと不気味なのは、後は突っ込まれるだけのバケツの水面スレスレにして笑うセンムw
空気を読んで?とりあえず、その場を辞した僕達だったが、その夜、マニラの困った盟友から、御屋敷宛に国際電話が入る。
あ、ブンバガバンはブン&バガ&バンの3人組だケド面倒なのでココは三位一体でw
「ハロー、アキバ!皆さん、お元気ですか?」
「わ!特撮監督ブンバガバンだ!本国送還って前科になった?」
「あはは。ところで、ミユリ殿&テリィ殿…」
「あ、それ逆だから。逝い直せょ」
「…テリィ殿&ミユリ殿、お2人が"リトル広州"にお見えになったと伺って、お電話しました」
「ええっ?じゃまた今回もカルテルとか絡んでくるのかな。思い切り迷惑」
「うーん。とりあえず、ルビィ。彼女は実はカルテルのボスの娘です」
「娘キター。日本、と逝うかアキバに来てやりたい放題やってるょ!お転婆電撃娘w」
「ルビィはヲタクなので…根っからのアキバ好きなのです。だから、娘に目がないボスの肝いりでドラゴネススーツもつくりました。金に糸目をつけずにつくった」
「素晴らしい出来で、みんなシビれっ放しだょ。あの電撃はスタンガン?」
「…あのスーツは電源を積んでない。だからあの電撃は…実はルビィの肉体が発電したものdeath。電気ウナギのように」
カルテルのボスの娘が電気ウナギだと?
しかしソレにしても、あの超高電圧は…
「今、ボスの肝いりでルビィがヒロインのアクション映画を撮ってます。ルビィの口利きで監督は僕達。カルテルがスポンサーだから予算がハンパなく、スゴい映画になりそう。特撮監督ブンバガバンの名が一気に有名になります!」
「ええっ!そりゃスゴいな!でも有名になってもアキバで世話になったヲタクのコトを忘れるな!」
「モチロンです。特にテリィさん。私達を常にインスパイアし続けた貴方には敬意を表します。"生アクビ娘"のディレクターズカット版は見て頂けましたか?」
「あ、再生回数10万回の?」
「すぐ20万回でしょう。クレジットにテリィ殿の名を載せてます。"executive story editor "。ルビィの映画でも同様にするつもりです。このコトはボスも承知。だから、貴方の名前を出せば、カルテルの連中は皆、大人しくなる」
うーん確かにナイフが3本引っ込んだょw
「ソレからテリィ殿、カルテルは"アキバ皇帝"とも取引を始めた。でも、あのAIはヤバい。冷酷で情け容赦がない。お互い儲けが出る内はいいが、いつか敵に回す時が来ると厄介だ…」
あ、サユミさんによると"ムーンライトセレナーダー"の意匠登録は既に出願済らしい。
またも水際で"アキバ皇帝"の侵略は退けられたのだろうか?しかし全く油断ならんなw
「でも"アキバ皇帝"が意匠登録詐欺をやりにだけ、わざわざアキバに触手を伸ばしたとも思えないンdeathょね」
「さすがdeath。テリィ殿、実は"アキバ皇帝"は密かにアジア中から"特殊能力者"を集めているフシがある」
「ええっ?アジアのX-MENかょ?ミュータント部隊とか?ルビィも"特殊能力者"ってコト?人間電気ウナギとか?」
「彼女の場合は、さらに特殊なボディスーツを与えられ、能力を極限まで高める"超人類"要員にされてイルようです」
「マジかょ。そー逝えば"アキバ皇帝"の手下(センムw)が"超人類共和国アキバ"とか口走ってましたが」
「遺憾ながら、テリィ殿は"旧人類"と逝うコトになりますね。アキバ幼年期の終わり。御愁傷様です」
「コレでもバブルの頃は"新人類"とか呼ばれたんだがな」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
僕はヘルメットをとり、遥か遠くの"ムーンライトセレナーダー"を見遣る。
"ムーンライトセレナーダー"?いや、彼女の名前はルビィ。"超人類"だ。
そうとは知らない、単にスケベ心だけのカメ小が彼女の前に列を作ってるのが見える。
ルビィは、忙しげにカメ小1人1人に視線をあげて笑顔を振りまきながらスマホを操作w
やがて、スピアしか番号を知らないハズの僕のスマホが鳴り、てっきりルビィだと思ったらブンバガバンで、極めて大型にガッカリw
「ルビィが、テリィ殿がコミケに来てるって逝うもので電話してみました」
「あのなぁ。ミユリさんともうン年も連続でコスプレやってんだょ。僕じゃなくて、ルビィが夏コミに来てるの間違いだw逝い直せょ!」
「あはは。テリィ殿は相変わらず独善的だな。実は、ルビィ主演の映画、ワケあってAVになりそうなんdeath」
え?ソレってヒロイン企画モノ?
"超人類"版ヒロ(イン)ピン(チ)w
「あのなぁ"地下鉄戦隊メトロキャプテン"は子供番組なんだ。余り良い子のトラウマになりそうな絵は困るな」
「モチロンです!あ、テリィ殿は誤解してますね?カルテルのボスが娘をピンク映画に出すハズないでしょ?」
「ソレに"ムーンライトセレナーダー"は既にウチのエージェントが意匠登録済みだからな。いつでも損害賠償を請求出来ルンだからな」
「だから!"ムーンライトセレナーダー"の"稲妻キネシス"に代わる必殺技、何か考えてくださいょ!」
「えっ?ソッチも必殺技が必要なの?」
「当たり前でしょ?稲妻を自由自在に操るのが"稲妻キネシス"だから…人妻を自由自在に操る"人妻キネシス"なんて、どうでしょう?!」
その瞬間、真夏の太陽ギラギラに焼かれながら僕は悟ったんだょ。
もしかしたら、僕はコイツらには敵わないかもしれない、ってさ。
あ、あくまで"もしかしたら"だけどね。
おしまい
今回は、特撮監督ブンバガバンや謎AIの"アキバ皇帝"や手下のセンム、そして前回名前のみ登場したカルテルのボスの娘などが登場しました。
最近見てるアメコミ系番組の影響を強く受けたせいか、比較的短時間で仕上げるコトが出来ました。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。