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少女の正体とは一体……エイプリルフールの一発ですが続きは…………

江東区にある、そんなヘンテコな名の高校に通う俺は、女神となんか色々話したあと、とある異世界で目を覚ます。

「ここは………」

それはどこかの不気味な森。

それ以外何も分からない。

は? は? 何? なにこれ、怖いんですけど、ちょっと女神さま?

いきなりこれはないだろう、説明をはしょり過ぎにも程がある。

何なら会話のないようさえ、ろくに思い出せないんだせないのですが。

ガサガサガサ。

突如、後ろの方から、意味ありげに物音がしたので慌てて振り向くと、そこには。

狼だった。

尻尾が蛇で、肩に悲鳴を上げたような動物の顔がくっついている、狼のような何か。

そんな不出来な合成キメラを見つけた俺は

「ぎゃああああああああああああああ」

一心不乱に逃げ出した。

無理、無理、無理、無理、無理無理無理無理無理、無理!

なんだ、あの得体の知れない化物! 開始早々、究極難易度なんじゃないか!

ヤバい確実に死ぬ。転生早々、死んでしまう。

俺は全力で逃げながら後ろを確認。

もしかして、追ってきてない?

「……って追って来てるし!」

酷い、あんまりだ。チュートリアルにしたって、こんなのはあんまり………チュートリアル?

俺は走るのを辞め、その場で立ち止まり、近づく敵を見据えながら、拳を握る。

そうだ、これはチュートリアルだ。

異世界での最初の戦闘。ただのイベント。

俺の力を異世界に知らしめ、披露する最初の機会。

だったら

「やってやろうじゃねえか……来やがれキメらああああああああああ!」

ぐちゃ。

異世界転生から、およそ三十秒。

俺は自宅で目を覚ました。



四月一日、今日はエイプリルフール。

さっきの話が、噓かどうかは置いといて。

嫌な夢を見た……そう思いながら目覚めた俺の、あの日からの日常はある意味、激動の日々になるのだが、それもひとまず、置いといて。

僕は今年で高校二年になったところだが、僕の代は、奇跡の年代なんかと言われているが、その理由も、置いといておく。

重要なのはここからなのだから。

四月一日、今日は新年号、発表の日。

テレビの向こう側では、色紙に書かれた新たな時代、令和が表明された。

初めて歴史の転換期とも呼べる時期に立ち会い、心の中では、すごいことなのだと理解しつつも、だからといって何も変わりはしない。

印刷会社なんかは今頃大忙しで対応に追われているかもしれないが、今年度で高校二年生になる俺には、全く関係のないことだ。


五月丸之黄金。

五月丸が苗字で、之黄金が名前。

そもそもおかしな苗字だが、之黄金なんてもっとおかしい。はっきり言って正気の沙汰とは思えない。

親の付けた名前に対して言っていいことではないが、のおうごん、なんて呼ぶのすら難しいだろう。

実際、ノーゴンとか呼ばれてるし。

何故、こんな名前なのかと親に尋ねたら、覚えていないのだとか。

覚えてないって…………そりゃないぜ。

でも、覚えてないなら仕方ない、仕方ないとしても…………。

学校にいるときは随分目立つ、この名前。

成績が優秀だとかスポーツ万能とかでもないのに、やたらと目立つ、無理もない。

むしろ、俺は優秀でもないのに目立っている、そこが問題なのだ。

そこそこの馬鹿で有象無象に埋もれるはずの俺が、名前のせいで、黄金級の馬鹿とか噂になっている。

惨い、全くもってあんまりだ。

だからといって、自分から名に恥じない、名が恥にならない、努力をしてきたかといえば、してこなかったので、結局は自分による甘えである。

自分の行う努力だけでどうにかなるなら、まだマシだ。

世の中には、努力じゃどうしようもないことだってある、こと知名度に関しては。

こんな俺と同じくらい目立つ生徒が、ここエイプリル学園に一人にいた。

勿論同じというくらいだから、スポーツや勉学で優れているという訳でもなく、もっと他の理由でだ。

そして、その生徒は今、俺の目の前にいる。

何を思ったか、制服姿で、校門の前に立っている。

始業式の日でもないというのに。

これだけでも少し不思議に思えるが、バッグを背負う肩の手が持つ鉄の兜が、より不思議ちゃんゲージを際立たせていた。

桜を見に来たのだろう。

さっきっから桜の前で棒立ちのまま止まっている。

さては、学校の登校日を間違えてしまい、教室に行くもすることがないので、一人悲しくお花見鑑賞か。

精神は大人っぽいのに、言動は幼いと揶揄される俺が考えるのだから間違いない。

的中した考えだと思う。

俺自身、登校日を間違えてここにいるのだから、きっとそうに違いないのだ。

そして、こうも思った。

そろそろあの桜、ヤバいんじゃないかと。

予感は的中した

落ちる桜の花びらが、少女の鼻頭をサラリとなぞると、少女は顔をもぞもぞさせる。

ヤバい、ヤバいヤバい。

気付けば俺は、駆け出していた。

「ストップ溶子! それじゃあ、お花見鑑賞どころか、お花見干渉だよおおお!」

アホみたいなことを叫ぶが、時すでに遅く。

「へくしゅん」

可愛いらしいくしゃみの破裂音と共に、桜の木は、絢爛に炎上した。


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