6話 伝説のはじまり。
「ぁぁああああ!!!しぬぅううううう!!!!」
「大丈夫です!殺しはしません!死ぬ一歩手前まで追い込むだけです!」
おっぱいにつられた俺は、木に吊るされていた。
足をロープで固定され木に吊るされている。下にはミリアが用意した焚き火がある。力が抜けて体が伸びきろうものなら頭を焼かれるという仕組みだ。これはもはやトレーニングではない、拷問だ。
「うぅ…ッ!!もう……だめだッッ!!!力が……はいらないッッ!!!」
「あと20回腹筋できたらおっぱいさわらせてあげますから!!!」
「ぬぉおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!こんなもん余裕じゃぁあぁあああいっっっ!!!!!」
健全な思春期男子はおっぱいには抗えないのだ。
その後も30回といったはずの腹筋は40、50と伸びていき最終的には121回腹筋をする羽目になった。汗と涙と鼻水で体はグショグショになっている。
「もうダメだぁ……腹筋がうどんみたいになってる……」
「じゃあ自然治癒魔術、展開しますね。」
青色の魔導陣が体を包む。体がピリピリ痛むと同時に、お腹が空いてきた。昨日の急にお腹が減ったのも、筋力や怪我の再生にエネルギーを使ったからだろう。
「はい!完治しました!腹筋に力を入れてみてください。」
「ふっ!」
腹筋が深く割れている。憧れのシックスパックになってしまったようだ。
「うおー!すげー!!」
「やはり私の読みに間違いはなかった!この調子で続けましょう!」
それにしてもたった一回でこんなに筋肉がつくものなのだろうか。ミリアの魔術自体の効力もかなり大きい気がする。
「ねぇ、もう腹筋割れたし今日は休みにしない??」
「何言ってるんですか?残り17セット残ってますよ?次は背筋です!」
背中に冷たい汗が流れる。あと17回?確実に死ぬ。いやミリアは殺さないだろう。死ぬよりも辛い筋トレを俺に味合わせる為に。
「うぅっ!!お腹が……!急に!!」
「…?さっき魔法かけましたよね?痛くなるハズが…。」
「痛いもん!!お腹痛いもん!!!ほんとだもん!!!」
なんとかして筋トレを回避しなければ、あんな地獄をもう二度とごめんだ!
「ヤマトくん、はい、ぎゅーっ。」
ミリアは俺の右手をとり、自身の豊満な左おっぱいに押し付けた。
「ヤマトくんはまだ頑張れるよね?」
「はいママ。ぼく頑張りゅ。」
「ヤマトくんはこの半径1メートルの大きな岩を持ち上げてスクワットできるよね?」
「はいママ。ぼく頑張りゅ。」
ミリアの圧倒的ママ力を前にして逃げることはできなかった。ミリアは見事にアメと鞭……いや、アメと鞭なんて生易しいもんじゃない。例えるならマリファナのような快楽と拷問電気椅子のようや責め苦を使いこなしていた。
大岩を持ち上げる。背骨から変な音がした。
「やばいって!!!これ背骨折れるって!!!!」
「折れても大丈夫!私が治すから!!むしろ折って!!それだけ丈夫になるの!!」
「このクソ女がぁああああ!!!!!!」
「あら?ママにそんなこと言っていいの??ご褒美お預けにしちゃうよ?」
「ごめんなさぁあああい!!!!!ママぁぁああああ!!!!!」
ある時は大岩を持ってスクワット、ある時は、大岩を足にくくりつけて水泳、ある時は、大岩を重りにして指立て伏せ。大岩をロープで背中にくくりつけてマラソンまでさせられた。途中ドラゴンに見つかって死にかけた。
そして……。
地獄のような責め苦と、天にものぼるような快楽を与えられ。なんとか2週間耐えきった。
「すごい…。」
ミリアが俺の肉体をみて思わずつぶやく。
それもそのはず、今の俺の肉体はおそらく、この世界のどの生命体よりも精錬されていた。
胸筋は大きく隆起し、腹筋はマリアナ海溝のように深く溝をつくっている。
腕周りの筋肉は効率よく物を破壊する為に最適化され、足回りの筋肉は動く為に最適化されている。
ボディビルダーのような体型ではなく、あくまでも動く為の筋肉。
一見細身の肉体でも質量はそんじょそこらの筋肉とは比べものにならないくらいに増えた。実際に体重は元の体重の6倍にまで膨れ上がっている。魔術無しではおそらくこうはならなかっただろう。人間の限界を超えてしまった故のバグのような現象なのかもしれない。
「ちょっとドラゴンぶん殴ってくるわ。」
次はドラゴン戦です。