決意〜Origin〜 (了)
「…一つだけ、頼んでいいかな。マルコー。」
「今度は何だよ?」
僕が不意に改まると、マルコーは首をかしげた。
「ルチアのこと、守ってほしいんだ。お前なら、いつでも側にいれるだろうから。」
「………。確かに、お前はルチアに会うことを禁じられてる。だけど完全に会えなくさせるなんて、俺がさせねえよ?話聞いてただろ。夫人だってお前のこと悪く思ってる訳じゃねえんだ。取り計らうさ。」
僕はゆっくりと首を横に振る。
「言っただろ、勝負だって。お前の手だって、借りないよ。ルチアを助ける確かな方法がみつかるまで、僕はお前達のもとには戻らない。……それに、もし僕が戦争に行くことになったら側にいれるのはマルコーだけだ。」
「…シオン。」
マルコーはふと、不安げな表情を浮かべる。
「………本当に。死ぬなよ、お前。」
そんな顔も初めて見た。何だか逆に新鮮で、僕は笑ってしまった。
「大丈夫。僕は必ず生きて帰ってくる。だって、やらなければいけないことがあるんだから。」
僕自身もう迷いはないつもりだ。だからはっきりと答えることが出来た。そうだ、絶対に死ぬものか。どこまでだって、僕は現実に勝ってみせる。
「頼むよ、相棒。」
そう溢すと、マルコーは肩をすくめて固まってから…黙って頭を掻いた。自分でも、少し恥ずかしいことを言ったと思った。だけどもうどうでもよかった。さっきから同じような言葉を言っているのだし。
それに、まんざらでもなさそうだから。
「………ったく、しょーがねーな!」
二人して、笑った。
「約束だ、僕が戻ってくるまで。」
「ああ!」
そして
草原には誰の姿も無くなるのだった。
これが、『僕』の起源であり
全ての始まりだったのである。
To be continued…
ゼローーEpisode of Originーー
了