01-ExChapter 『彼女』の日記_前半部
???「メインヒロインの私が登場!皆さん後書きでまた会いましょう」
灯吏「今回の後書きは次章の予告だ。バカ」
???「えっ」
駄作者(メインヒロインとは言ってないんだけどな~)
そんな一章の番外編、スタートです
かつて篠崎灯吏と呼ばれていた青年はある女性の部屋で探し物をしていた。
-綺麗な部屋だな-
その青年はそんな感想を持つと、探し物を再開した。部屋の主の妹から許可をとってはいるが、急いだ方がいいだろう。彼女の仲間からなんと言われるか分かったものじゃない。まぁ、そんなもの気にするような性格でもないが。
「これだ」
そう小さく声を漏らしそれを手に取った。それの表紙を_古いノートの表紙を丁寧に開け、書かれている内容を確認する。
それはある女性の日記だった。
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最近、仕事がなかったりすぐに終わったりして暇だ。それはそれでいいことなのだが、いかんせんやることがない。という訳で、私はこの古いノートに日記を書くことにする。多分、続いて10日ぐらいだろう。最低でも3日は頑張りたいとは思っている。よし、頑張れ私。
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呆れたものだと思う、何が頑張れ私だ。たった一日で終わってしまった。10日ぶりのこの日記だ。
気持ちを切り替えて今日のことを書こうと思う。今日はフレディさんに娘さんや奥さんの事で相談された。私には家族が妹しかいないから彼の相談に上手く答えれない。それが悔しい。この日記を書き終えたら妹に聞こう。あの子もフレディさんの悩みなら本気で考えてくれるだろう。
追記
彼の悩みはマスターが相談に乗ってくれたらしい。相変わらず部下思いの方だ。たまにすごく怖いけど。
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書くことが思い至らないくらい暇だ。そんな事を言えたらどれだけいいだろう。それくらい仕事が多い。なんなんですかこの量は。暇だとか言っていた日記の一番最初が懐かしい。もう、疲れた。今日は寝る。こんな日記でいいのだうか?
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日記は毎日書く必要はないと言い訳(開き直りとも言う)して20日ぶりに今日あったことを書く。
もうすぐ妹の誕生日だ。だから、プレゼントを買いに行こうと思うのだがあの子が喜ぶのはどんなものなんだろうか。ちゃんと考えて渡そう。あの子はともかく私は一年後や二年後に生きている保証はないのだから。と、いけないな。ついネガティブになってしまった。とにかく二日後の休暇を使い何がいいかを見に行こう。
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今日はレアちゃんと一緒に妹の誕生日プレゼントの買い物だ。レアちゃんもフレディさんへのプレゼントを買いたいと言っていたので、彼女も誘うことにしたのだ。父親思いの優しい子だ、と感心したのは記憶に新しい。
妹へのプレゼントが決まったのは良かったが、近くで殺人事件があったらしい。どうして殺すのだろうか、そう考えていたのが顔に出ていたのか、レアちゃんに心配された。ダメだな私、こんな風にすぐに顔に出てしまうのは。もう少し気をつけないと。
追記
この殺人事件を私は少しでもいいから調べるべきだったかもしれない。そうすれば、この事件を探っていれば、もう少し早く彼を、篠崎灯吏を知ることができたかもしれなかったから。
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コンコン
開っきぱなしドアをノックしながら、男が部屋の前に立っていた。
「アンタは開いているドアをノックするのか」
「少しふざけただけだ。あまり気にするなよ」
そう言ってその男は部屋のなかに入ってきた。
「探し物は見つかったか。聞くまでもなさそうだが」
「まあな。今それに目を通していたところだ」
そうか、と呟くと男は部屋を出ようとした。それを呼び止めるように篠崎灯吏だった青年は言葉を放った
「『ライル』。あの話、引き受けてやる」
「ああ、分かった。お前ならそう言うと思っていたよ、◼◼◼」
そんな短いやり取りを終えると今度こそ男は部屋を出ていった。
青年はそんな男を目でも、気配でも追わずに再び日記に目を落とした。
これが篠崎灯吏が本当に名を捨てた瞬間だった。
-私はあなたのなんなんですか?-
「だから、こんなことをしたのか?俺を越えるためだけに」
「ええ、もちろん」
-私にとってのお前は
「だから、私はあなたを殺します。篠崎灯吏さん」
ただの失敗作だ-
殺人鬼の弟子 二章
「半年前の犯人が分かったのよ」
「先輩、助けて」
「笑ってくださいよ。でなきゃ、あなたを殺す意味がない」
「やっぱり俺も捲き込まれるのか」
「調子に乗るなよ。小娘が」
「お前は殺す価値もない」
「あなたなんか、私の成功作でしかないのに!」
模造少女は笑えない 《Mad To Tears》
「血反吐を吐いて出した最適解がそれなら死んだ方がマシだろ」