02-ExChapter 友と墓標に花束を_表裏の囮
短いっ!そして短っ!!
???「あの私は……(泣)?」
駄作者「君は次の章で出番あるから」
はい~タイトルが全く意味不明な二章の番外編です。
それと後書きは予告となります。
ここに一振りの刃と一人の殺戮者がいる。
「へぇ、ここか。随分と良い所じゃないか。良かった。お前にその手のセンスないと思ってたからさ。例の彼女さんがおかしな場所で眠っていると思ったよ」
一つは抜き放たれると相手を殺し尽くすまで追い続ける無慈悲な大鎌を持つ青年。だが、青年でありながら受ける印象は青年のそれではない。まるで枯れかけた老人の様であり、歴戦の兵士のような不明瞭な印象だった。
「黙れよ死狩刃。冷やかしなら帰れ。それともここで一戦やるか?」
一人は強く、どこまでも強い好戦的な笑みを浮かべる殺戮者を名乗らされている青年。彼は殺すことをあまり好まない。しかし誰よりも殺して生きている。受ける印象はただ一つ。鋭利な刃物、その一つのみ。
殺戮者は口ではこんなことを言っているが死狩刃と呼んだ青年と戦う気などゼロだ。だからこれはただの軽口だ。
「悪い悪い。そう怒るなよ殺戮者。第一俺とお前じゃ戦ったところで平行線だ。そんな無駄な事をする主義はない」
こちらもただの軽口だ。死狩刃も殺戮者と戦う気はない。
照らし合わせたような軽口を互いに叩きながら丘を登る。その丘の頂上は霊園だった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「おぉ~、いい見晴らしだな。ここで酒でも飲みたいもんだ」
「ああ、そうだろう。同意はするよ。サイズ、ここから先は俺とこいつだけの時間だ。だからお前は席を外してくれ」
「あいよ。終わったら呼んでくれ」
軽く手を振りながら周りを興味深そうに眺めている。席を外す様子はない。
「…………去れ。殺すぞ」
「分かったよ。分かったから。何だよ今日のお前沸点低過ぎやしないか、おい」
しぶしぶその場から離れる。それを見届けるとため息を一つ吐き、殺戮者は墓標へ語りかける。
「久しぶり、って言えばいいのか?この場合。お前の知っている俺はこの間捨てたものでね。ここに来るのもこれが最後になるかもしれない。今日はまぁ、一言で言うと別れの挨拶に来たんだ」
墓標を磨き終えると花束を添え、自身の近況を語り出す。いや、語り出そうとして止めた。
「今の俺の仕事はあまり大声で言えるようなものじゃなくてな。簡単に言うと人を探しているんだ」
人探し。確かに間違えてはいない。今の自分の役割は彼を探し当てることだ。そして_
「多分、俺は探している相手に殺されると思う。自業自得の結果なんだけどな」
フッ、と何故か嬉しそうに笑う。
「済まない。これから先も時間が押しているんだ。もう長居は出来ない。
……また来れるように努力するよ」
コートを翻し墓標へ一言呟く。
「安らかなれ愛しい人」
空っぽの左腕のコートを軽く掴むと一粒だけ涙を溢した。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
霊園の丘を降りると壁に背を預ける形で死狩刃が声をかけてきた。
「終わったみたいだな」
「ああ。済まないな。待たせてしまって」
「いいんだよ。俺が来たいって言いだしたのが発端なんだから。あっ、でも道行く人の目が痛かったな。どうでもいい話だが」
「こんな装なら当たり前だろうが。ってか、お前そんなもん気にしないだろ」
殺戮者が言うように二人の姿はまさしく異様の一点に尽きる。
金と銀がコードのように装飾された黒よりも更に黒いロングコート。左胸には手のひらサイズの奇妙なバッジ。例えるなら、針のない時計に突き刺さる一振りの剣、と言うべきシルバーとルビーのバッジ。そして、赤いラインでオルトロスの模様をあしらった黒い手袋。おまけに殺戮者と呼ばれる男には左腕がない。
なるほど、確かにこんな奇妙が過ぎる野郎なんて関わりを持ちたいだなんてよほどの神経を持ってないと思わないだろう。普通なら通報されておしまいだ。
「じゃあ、騒ぎになる前に戻るとするか。帰った所でライルに雑用押し付けられるんだろうけど」
「そうだな。お前一人で頑張れよ、サイズ。俺はやらん」
「……いや、お前もやれよ殺戮者」
「俺には特権があるんだよ。知らないわけじゃないだろ。それに仕事サボって俺について来たお前が悪い。あとシュライクの方で呼ぶな」
嘘だろ、と軽く頭を抱える。こんな見え透いたオーバーリアクションをしたところで手伝う筈はない。
「例の特権とかその名前とか本当にライルの奴お前に優遇しすぎだろ。そりゃ俺だってお前が俺達の『計画』の最重要人物の一人だってことは分かっているけど、それを踏まえた所でこれはどうかと思うぜ、ホント。なぁ、そう思わないか裏の囮」
「お前だって似たようなもんだろ。役割が違うだけだ。口動かすくらいなら仕事しろ表の囮」
「へいへい。どうせ俺は表の牽制ぐらいしかできねぇよぉだ」
「待ってろよ。どれだけかかるか分からないが」
殺戮者は真剣な面差しで死狩刃を見据える。
「必ず俺がアイツを見つける。見つけ出す。その後に、俺達の舞台から要るもん揃えて、要らねぇもん消して、完成させてやる。だからそれまで待ってくれ」
「ああ、当然だ。期待してるぜ?シュライク」
揃って丘を降りる。彼らの会話は端から見れば理解不能だ。しかし彼らの会話は彼らにとって何よりも大切な会話だ。
「で、ライルはお前から直接聞けとお前に丸投げしたんで聞くけど……っと、タイミング悪いな」
「全くだ」
そこには殺戮者へ敵意を隠さずにぶつける黒髪の女性がいた。
「あのお嬢さん戦うつもりだな。どうする?右腕一本でやれるか?俺は手ぇ貸さないぜ。アレは昔のお前に用があるみたいだ。なぁ、殺戮者・シュライク=ベーデ」
「へぇ。篠崎、今はそんな名前なんだ」
「一応、な。偽名でも名前がないと不便なんだよ
それと久しぶり。随分と綺麗になったな。見間違えたよ緋室」
殺戮者は、かつて篠崎灯吏と呼ばれていた片腕の青年は寂しげに微笑んだ。
まるで失い諦めてしまっていたモノを見つけてしまったかの様な笑みだった。
「何者ですか?あなた」
-間違いない。彼は私と同じだ。
「お前こそ何だよ。エセ軍人」
私と同じ『解理』を持っている-
殺人鬼の弟子 三章
「誰か助けて……イッ、イィヤアアァァァァァァァッッッッ!!!」
「うるさい。篠崎には関係ない」
「僕だって男なんだ僕だって男なんだ僕だって男なんだ僕だって男なんだぁ!」
「おい待て今まで気色が違いすぎるだろ!?」
「『夢』ですか。厄介な……しかも範囲もかなり広いですね」
「やべぇ。お前マジで萌える」
「レエェェェェェストォォォイイィィィンッ!!」
「ここはボクの世界なんだぞ!ボクが一番強いんだ!偉いんだ!!」
「返答次第ではあなたを殺します」
「やっぱりあの人を殺すんだね」
「何なんだよ!お前はッ!?」
夢の中で見る夢を 《Breaking Dead Night》
「舐めんなよ劣等が。雑魚等で俺を殺したきゃあと一万は連れて来い!」




