小さすぎる独り言
みなさんこんにちは。無限さん、です。
いきなりですが、みなさんは何で生きてるんだ??とゆう疑問、一度は抱いたことありませんか?
生きるって何だろう。
この小説は、生きることについて考えさせてくれるような小説に出来ればいいなと思っています。素人ですが、頑張りますので
興味がある方は読んでいただければ幸いです(^ν^)
人間でいるのは哀しい。
あっという間だったこの数年で
私は何か一つでも変わっただろうか。
いや、きっと変わってない。
きっとこれからも変わらない。
ただ高いビルの狭間に見え隠れする太陽が
よく晴れた日の雨の中
光と闇を交互に与えて
嘲笑っていた。
「帰りたくない。」
煙草で煙たい車中に静かに私の声が響いた。
外は雨で、昼間だとゆうのに太陽は隠れていた。
彼は少し微笑んで
「…じゃぁ、今日はありがとうね。外だからチュウはしないよ?」
と、冗談っぽく口にした。
5月9日。少し時間を遡る。
午前6時。入る意味の無いくらいのぬるま湯に
私は浸かっていた。
熱いお湯は、すぐ逆上せるから嫌いだ。
少し寒いけど、いつものことだから別に気にならなかった。
いつもより体を丁寧にあらう。
足から腕まで、滑らかに刃を滑らせる。
あと数時間後には、会うんだ。
今日私は、午前10時に人と待ち合わせをしていた。
家を出る前、少し部屋を片付けているうちに、予定より少し遅れていた。時計を見て、普通の女の子なら
慌てて家を飛び出すだろうけど
私は無表情のまま時計から目を離し、急ぎはしなかった。
別に遅れたっていい。
家から必要以上出なかった、、ゃ。
出られなかった私に
人と会う予定があるなんて実感が湧くはずもなく、
最寄駅までの道のりをただ無心に歩いた。
天気はいい。目が痛いくらいの日差しに嫌気が差したけど、駅までの距離が近づくほどに、どんな冒険が待ってるのか、いつもの危ない好奇心と衝動に駆られていた。
改札と人混みを抜けて、駅のホームまで歩いた。
朝から座る場所の無い、四角い空間に足を踏み入れた。
つり革に掴まり眠たい目をうとうとさせながら
私は1年前のことを思い出していた。
.................................
「こんにちはー!ご無沙汰してます。」
「あぁ、いらっしゃい。どうぞ上がって上がって。、!ぁら!おーきくなったねぇ。」
見知らぬ男の人の声に私は目覚めた。そして祖母の声。
デジタル時計に手を伸ばす。
”07.025 AM11:38”
まだ昼じゃん…
また知らない親戚かなんかか。
今は高校も夏休み中で、今日は父親が家にいないから好きなだけ寝ていられると思ったのに
憂鬱だった。
寝れるだけ寝たかったけど、起こされてまたうるさい中寝る気にもならないし。
寝癖でボサボサになったショートボブの黒髪を無造作に掻き分け
私はゆるい普段着のまま、居間に行ってボーッとしていた。
親戚なら、また挨拶しに来られたりするんだろうな。
私は父親側の親戚と、関わったりするのが苦痛で仕方なかった。
そもそも、17年生きていて親戚に一回もあったことがないって
とゆうよりも、今更会って挨拶する必要なんてあるのか。
どうせ、こんな場所からはいずれ消えるつもりなのに。
1人で面倒だなと考えながら着替えをして顔を洗って居間に戻った時、居間の外に繋がるドアがガチャと音を立てた。
目をやると
肩につくぐらいのの茶髪に
綺麗な顔立ちの女の人が立っていた。20代後半といったところだろうか。後ろには3歳から4歳くらいの癖毛の男の子がいた。
「こんにちはー、希だよねっ!初めまして。神崎実咲です。えーっと、あたしと希は従姉妹になるかなっ!」
「あっ、こんにちは!従姉妹、、ですか!すいません、何もわからないもので。」
従姉妹なんていたんだ。
別に興味無いけど。
私は得意な作り笑顔をいつものように発揮した。
「あはは!んまぁ、よろしくねっ。この子は末っ子の愛斗、あっちに長女の華菜と、長男の楓がいる!」
あまりに唐突な人名の連呼に、覚えられないよ…とうろたえながらも
失礼はいけないからと思い三人の子どもの名前を頭の中で何回も口にしていると、実咲さんの後ろから男の人が覗いた。
「あっ、それと!これがあたしの夫の吾守!」
「おーこんにちは!よろしくねっ!」
さっきの声の人か。
つり上がった眉、スッと通った鼻筋、整った顔立ちに、くっきりとした二重まぶた…
顔立ちと軽い口調のせいで真面目っぽさを出すはずの短髪の黒髪も
意味を成していない気がした。
結婚か。まだ学生ではあるけど、
私にとって一番興味のない言葉だ。
「よろしくお願いします。」
にこやかに挨拶をしながら、
心の中では2人には無関心な目を向けていた。
「今夜はみんなでBBQするからさ!希も一緒に食べようよ。準備できたら呼ぶね!」
「あ、はい、ありがとうございます。」
ドアが閉められた瞬間、穏やかに取り繕われた表情は一変し、深いため息をつきながら椅子にもたれ掛かった。
休みの日ぐらい1人にしてよ。
居場所の無さに嫌気を感じながら
見もしないテレビのスイッチをつけた。
お腹なんて空いてない。
みんな顔見知りの関係の中で、何も知らない、知られていない自分はどこにいればいいのか
従姉妹の家族以外にも親戚は集まってきて
息が詰まりそうだった。
ため息を繰り返していると、聞き覚えのあるエンジン音が家の前で止まった。
ガタッ
椅子から瞬時に離れ、テレビのスイッチを切り、テーブルの上を素早く綺麗にし、教科書とノートを広げ、わざとらしく中途半端に解いた問題を見つめ構える。
ガラガラガラ…
「お、勉強してるのか。今日は何時に起きた?」
聞き慣れた耳障りな声が響く。
「時計見てないけど9時前には居間にいたから、多分8時過ぎくらい。」
「8時から何してた?」
「休み休み勉強。」
「お父さんがいなかったからってだらけてないだろうな?」
「…別にだらけてないよ。」
「とりあえず、みんなの手伝いしてきたら?今日はBBQらしいよ。」
「うん。」
本当はさほど手をつけていないノートをしまう。
必要以上に言葉は発しない。
今前に座っているのは、実の父親であり、
この世で最も憎い生き物だ。
それと同じくらい、憎しみに支配された愚かな自分も
憎かった。
外に出て実咲さんのそばに駆け寄る。
あいつといるよりマシだ。
「実咲さん、何か手伝うことありますか?」
「全然人手は足りてるよっ。ありがと!ゆっくりしてていいから。」
可愛らしい笑顔で実咲さんは返した。
居間に戻ればあいつがいる。戻りたくない、でも部屋にいたら、鬱だの病気だのまた罵られるから面倒だ。
父に言われた言葉の数々を思い出しているうちに
苛立ちで頭がいっぱいになって立ち尽くしていた。
すると背後から服の裾を小さな力で引っ張られた。
「ねーねー遊ぼう、希!」
声を掛けてきたのは末っ子の愛斗だ。
「え?ぁ、ははっ!いーよー。何して遊ぶー?」
ぁはは…呼び捨て。可愛すぎるよ愛斗。
今日初めて本当の笑みを浮かべた瞬間だった。
楽しそうにはしゃぎ回る子どもの姿に癒された。
でも、子どもは嫌いだった。
理由はハッキリわからないけど、年上の大人や初めて会う同級生なんかよりもずっと気を使ってしまう。
嫌われるんじゃないか、見透かされているんじゃないか。
そんな風に常に思考が巡って、疲れてしまう。
わがままを言われれば断れない。嫌われたくない一心で
自分が爆発しそうになる。
自分が小さい時、幼いながらに気を使って
顔色を伺って、考えていることがわかるような気がしても、気にしないようにしていた。
きっとそんな自分と子どもを重ね合わせて、一定の所からは踏み越えられない。
だけど子どもの笑顔は、私の嘘くさい笑顔に比べたら
凄く可愛かった。
いよいよBBQが始まり椅子に腰掛け
空きのない胃に無理矢理食べ物を押し込んでいた。
みんなが食べ終わる前に、気づかれないように部屋に戻り、至福の一時を楽しむ。
6年前から吸っている煙草。もちろん法律で禁止されていることはわかっている。
あの時の自分は今よりもっと馬鹿で考え無しの人間だった。
お金も減る。父親にばれたら本当にただじゃ済まない。
いいことはない。やめたいとは思いつつも、
もう体は慣れてしまっていた。未成年でこんなことをしている自分のダサさに嫌悪感がよぎったのと同時に
喉から体に少しキツい煙が駆け巡る爽快感に安堵した。
こんなのはたから見たら、ただの意気がったガキにしか見えないよな。なんて自己嫌悪に陥りながら灰を落とした。
吸い終わったら早く戻らなきゃ。
父親が親戚と駄弁っているスキに何食わぬ顔で椅子に戻り、コップに入ったお茶をちょびちょび飲んでいると
愛斗がこっちに来てなにか言いたそうにしていた。
「どうしたの?」
「ねぇ、何でここに住んでるの?」
「…っ、あー。うんと、、ここに住んでるからだよ!はははっ。」
いきなりの悪意の無い質問に一瞬戸惑いを隠せなかった。
ここの家の人間だからとは、決して口にしたくなかった。
私の一番触れられたくない点。
父親がこっちを見ていないか横目に確認する。
私の気も知らずに、楽しそうに駄弁っていた。
その様子を見ながら、私はうつむいて静かにつぶやいた。
「ここに住んでるのはあいつのせいだよ。」
夜が更けた午前2時頃、私はまだ起きていた。居間に、吾守さん、実咲さんのお父さん、私。宴会のような騒がしさはもう静まり、父親は部屋で寝ている。実咲さんは子どもたちを寝かせつけている。
実咲さんのお父さんが、焼酎の入ったグラスを口から離してこう告げた。
「希よぉ、深くは聞かないけどその腕の傷。まぁ吾守にでも話聞いてもらえよ、な!こいつぁ話上手だからよ。」
私は無言で、左腕を隠すようにさりげなく腕を後ろに下げた。
何のことを言ってるのかはわかったけど別に、聞いて聞いてと請う程人に自分のことを教えたいとは思わない。
第一汚ないだろう。私は嫌いだ、こんなことをしている弱くて馬鹿な人間は。
私が事を流すような控えめな苦笑いを浮かべると、吾守さんは自分のグラスと実咲さんのお父さんのグラスに焼酎をトクトクと注ぎ、笑いながらこう言った。
「えー?俺ですか?ただうるさいだけですよ俺はー、あははは」
自覚してるじゃん。と軽く心の中でツッコんだ。
さっきまでは吾守さんは外にいて、私は実咲さんのお父さんと2人で話していた。説教がましくてごめんな、
と言っていたけど、私にとっては
人生の先輩と話せる時間は価値があって、
何より実咲さんのお父さんは聞き上手だったから、思っていたよりもリラックスできた。
吾守さんが話上手って、確かにそんな雰囲気はあるけど
私は聞き上手の人と話していたほうが疲れなくて楽だ。
吾守さんに話を振られて何だか少し残念な気持ちでいると、
吾守さんが汗をかいたグラスに目を落としたまま言った。
「まぁさ、結局そうゆうのって、
自分を見て欲しいとか、気付いてほしいとか、構って欲しくてするわけでしょ?もっと楽しいこと考えて生きたほうが楽だよ。」
「楽しいこと…ですか…。」
適当に返した。だってそんな言葉は腐る程聞いてきた。単純かつ素晴らしいものではあるのかもしれないけど、私には下らない気休めでしかなかった。
わかっている。周りからそう思われて当たり前なのは。
でも、私は1人がいいんだ。わざわざこの傷の事に触れて、自分から面倒な事情に入り込む人なんてほとんどいないし、あからさまに隠すのも嫌だった。
これに触れてくる人間はほぼ全員、
偽善者だ。心配するフリをして
本当は興味もない、ただ人を心配する自分の行動に酔っているだけ。
だから別に構ってほしくてしているわけじゃなかった。
人前でわざと切りつける人間や、傷を見せつけるような人間。堂々と傷ついているんだよとさらけだせる人間なんか、本当楽なもんだろう。
傷つく自分を好きでいられるだけまだマシじゃないのか。
一緒くたにされたくなかった。
周りから見ればそれもこれも全て同じ。見下す対象とゆうことには変わりはない。
わかってはいるけど下らないプライドが心の隅に潜んでいた。
吾守さんは、無表情で一点をただ虚ろな目で見つめている私を見て、陽気な笑顔で
「じゃぁさ!希は今一番何がしたい?何が欲しい?俺はねー、イルカに掴まって泳ぎたいなぁ。」
小学生のように目を輝かせてイルカに掴まっているジェスチャーをする吾守さん。
30代の男性とは思えないけど、どこか楽観的で素敵に見えた。
実咲さんのお父さんが、優しく微笑みながら立ち上がって
「ちょっと俺子どもの様子見てくるわ。」
と言って居間を出て行った。
吾守さんがした質問の答えは既に自分の中で思い浮かんでいたけど、
私はなかなか言い出せずにいた。
何だか喉が潰れるような感覚に襲われて、声が出てこようとしなかった。
深い深呼吸をして、小さな声で呟いた。
「普通に…」
「ん?なになに」
小さな声を拾おうと尋ねる吾守さんの目は1度も見ずに、少し笑って私はもう1度言った。
「普通に、普通に生きたいです。
無償で愛してくれる、家族と思える家族がそばにいて、すっごく幸せじゃなくてもいいから。普通に…
生きたい。それだけです。」
私の話す声は、次第に震えて
気づかないうちに冷たい滴が頬を伝っていた。
そんな私を前に吾守さんは戸惑っていたのか、それとも変な奴だと思っていたのかは
俯いていたからわからないけど、別になんでもよかった。
ただずっと、口に出して言いたかった言葉を吐き出した瞬間、我慢していた寂しさが涙に変わっていた。
「ごめんなさい。」
謝る私にティシュの箱を差し出しながら吾守さんは言う。
「なら、現実がそうなるためにどうすればいいかを希は考えてみた?今出来ることをやるだけだよ。」
「考えても、方法はないです。誰かが犠牲になって誰かが幸せになる。少しの犠牲も無しに幸せなんて生まれないでしょう?考えて変わることではないんです。」
「んー。でもね、考えるだけで前には進んでるんだよ。
だから考え続けるしかない。気の済むまでね、」
吾守さんの言っていることはよく理解できなくて、
あまり心に響かなかった。理解できないことを
悲しいとは思わなかった。
「そうですね…いきなりすいません。楽しい話でもしましょう?」
そう言って、それから一時間他愛のない話をして
その日は部屋に戻った。
神崎家が泊まっている間、海に誘われたり
ご飯に行ったりして、この田舎町に来てから
夏休みらしい夏を初めて過ごした。
誘いに対して乗る気にはならなかったけど、断る理由がないのに断るのは失礼だしと思って、笑顔でいいんですか?と嬉しい素振りを見せた。
砂浜で子ども達とじゃれ合う吾守さんと実咲さんは
とても楽しそうで、子ども達も幸せそうに駆け回っていた。
少し離れた場所で1人砂のお城をつくる私。
「なんでここに居るんだろう。」
そんな小さすぎる独り言は、綺麗な海の色と
囁くさざ波の音にさらわれて、無かったことになった。
1話、小さすぎる独り言。
読んでくださった皆様、本当にありがとうございます(^ν^)
ここまでではまだよくわからないですね、、(・_・;
まだ序盤の序盤です。
これからもっと深く、少女のストーリーに入っていこうと思っております。
何話完結かはまだ明確ではありませんが
気ままに書いていこうと思っていますので、
まずは暇つぶしにでもどうぞ(^ν^)




