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floor lover  作者: 桔梗
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Chapter4


立川支店に到着した私たちは、支店長に挨拶を済ませ、二階のセミナールームで研修を受けた。

明日以降は、それぞれの部署で先輩の指示のもとに、研修を受けるのだそうだ。


「やば疲れたわ」


と休憩に入るや否や岡田が言うと、「それな〜」と藤沢が続いた。


他の同期の顔にも疲れが見える。


「みんな、明日から別々ってなんか寂しいね」


私がそういうと、「俺らは一緒やん!と岡田だが嬉しそうに言う。


「そうだけど、みんなで一緒がよかったな」


私は本気でそう思っていた。岡田と二人はいろんな意味で不安だ。


「とりあえずさ、俺ら社宅組は飯でも食って帰る?」と神田。


「いいね!てかみんなで行けば良くね?」と藤沢。


「あー、俺はパス。帰って筋トレするから」と山本。


山本は筋トレが日課らしい。


「麻衣子は?社宅?家どこ?」と岡田。


「私はね、社宅じゃないよー。家は、八王子」


「八王子か、近いしええやん。一緒飯いかへん?」


「うーん、私お母さんと住んでるから、ご飯作ってると思うんだよね……」


「そなん?残念。なら明日みんなでご飯行くんはどう?」


「明日なら私は大丈夫」


「OK!みんなは?」


岡田の問いかけに、みんなそれぞれ大丈夫だと答えたので、明日の終業後に全員で食事に行くことになった。


「帰る前に、みんなLINE交換しとかん?」と岡田が言うので、全員でLINEグループを作成した。



話しているうちに15分間の休憩が終わり、次はセミナールームを出て、

一階の各部署がいる部屋に案内されることになった。


一階には、お客様案内用の玄関と、従業員用の裏口があるのだが、

2階のセミナールームを降りるとすぐに従業員用の裏口が見えた。


すると、ちょうど17時を回る頃だったせいか、営業職の先輩や上司たちが営業先から戻ってくるところだった。


「なんかいっぱい人いるね」


「そやな」


私と岡田が二人で静かに話していると、研修を担当していた土地開発部の原田さんが説明してくれた。

従業員専用の裏口は、駐車場と喫煙所に直結しているため、タバコを吸うメンバーは裏口に集まるのだとか。

そのため、この時間でなくとも、この裏口は人の出入りが多いのだとか。


「じゃあ、とりあえず全員で各部署に挨拶回りだけして、今日は終わろうか」と言うと、

原田さんはなれた足取りで、まずは設計部に向かった。


「今日からこちらに配属となりました、新入社員の皆さんです。じゃあ、一人ずつ自己紹介でもしとこうか?左から順に簡単な自己どうぞー」


原田さんがそう言うと、一番左端にいた山本が自己紹介を始めた。

そうやって各部署を回っていたのだが、最後に私と岡田が配属された土地開発部に来たとき、

大きな怒鳴り声が聞こえてきた。


「お前さぁ!いい加減もうわかるだろ!!」


私たちは全員で顔を見合わせ、原田さんはバツの悪そうな表情だった。


「ちょっと待ってて」と言うと、原田さんは土地開発部の方にいき、

怒鳴っていた背の高い男性と、何やら話している。


すると、先ほどまで怒鳴っていた背の高い男性は、まるで何事もなかったかのように、

目の前で怒られていたであろう男性社員に、あっちに行けとでも言うようなそぶりをしてから、

満面の笑みに変わってこちらを見た。


(あんな人が自分の上司になるのか)と、私は急に不安になった。

あれはーーいわゆるパワハラなのだろうか?


「あー、私は土地開発部の部長をしてます。倉木です。みなさん入社おめでとう、これから一緒に頑張りましょう」


倉木部長はとても優しい口調でそういうと、原田さんは拍手し始めた。

私たちは何が起こったのかよくわかず唖然としていたが、他の部署同様に自己紹介を済ませ、

無事挨拶回りが終わったのだった。


「じゃあ、今日はこれで解散ということで。明日からは、各部署での研修になりますが、みなさん頑張ってくださいね。それからーー」


原田は私と岡田を交互に見て、「間宮さんと岡田君は少しだけ残ってくれる?」と言った。


「はい」と私と岡田の不安気な声が重なる。


他のみんなが外に出た後、原田さんが緊張した面持ちで話し始めた。


「あー、えっとね。さっき…ちょっと嫌な場面に遭遇したでしょ…?」


”嫌な場面”と言われてすぐに、あれかと思った。


「あのね、俺も土地開発部なんだよ。つまり君たちの先輩であり上司…に当たるのね。さっき嫌な場面見せちゃったからさ、大丈夫だったかな?と思ってね…」


原田さんはとても気まずそうに言う。

この人はきっと優しい人なんだろうなと思った。


「私は…ちょっと驚きましたが…大丈夫です」


「俺も大丈夫ですー」


私たちはそう答えるしかなかった。

そうして、結局この日は、なんだか気分が晴れないまま帰ることになった。

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