正解
男が2人もめていた。顔は同じ。ただ服の色が違った。
「体調不良だ!」
赤い服を着た男は声を大にして主張する。
「いや、それは前もそうだっただろ?さすがにきついって…」
黄色の服を着た男は首を横に振る。
「じゃあどうするんだよ!」
「それは……彼女とのデートがあって、とか?」
「彼女いないだろ?嘘つくのかよ!後々ボロが出るぞ!」
レッドはため息をついた。
その時だった。
「おやおやお二人さん、そんな険しい顔にならなくても良いでしょ」
青い服を着た男が現れた。顔は2人と同じ。
「なんだよ、そういうお前はなんか案あるんかよ?」
「あるさ、簡単な話だよ」
ブルーは自分の案を披露した。
「そんな……そんなのだめだろ!」
レッドは目を大きく開け、ブルーを睨みつけ、叫んだ。
「無理だよ…」
イエローもそれに同調する。
「よく考えてみろよ。今回の事案だって不条理極まりないだろ?なんでこちらが苦しまなければいけないんだ?」
ブルーのその言葉にレッドとイエローは黙り込んでしまった。
しばらく沈黙が続き、その沈黙を破ったのはレッドだった。
「分かった、それで行こう」
「レッド、本気?」
イエローは戸惑う表情を浮かべる。
「イエロー、腹をくくれ、どうにかなるよ」
「……分かったよ」
***
冬の夜
男は上司が目を離した瞬間に走って逃げた。
上司と飲みなんてたまったもんじゃない!理由を考えて苦しむよりこれで良いんだ!
男は正解を選んだと思った。
だが一週間後、辞令が下されることをまだ知らなかった。




