17歳の夏、ポテチとジュース
高2の夏、もう二度とこない17歳の夏。
それが明日で終わる。そう、終わるのだ。
いろんな思い出が蘇る。家族での旅行、友達との海。そして彼氏との夏祭り。
それでも少し物足りなさを感じるのは贅沢なのか。
でも私は確信してる、この先何十年もこの17歳の夏を忘れることはないだろう。
私は窓の外に目を向けた。
「窓に目を向けてる場合じゃないでしょ」
「えっ?」
「えっ、じゃない。まだ宿題残ってるよ。日記も読書感想文も!」
友達のあかりは私をきっとにらみつけた。
そう、この夏、私は夏休みの宿題をほとんどやらなかった。
だから夏休み最終日、小学校からの友に力を借りた。
私の部屋の座卓で2人で作業をしている。
「はぁなんで日記とか読書感想文があるんだろう?他の宿題は写せばOKなのに」
「あんた、それじゃばれるよ。同じところ正解して同じところ間違えるなんて普通ありえないからね。だからところどころ答えを変えるようにしてるのよ」
あかりはそう言って、顔をプリントの方に向け、再び書きはじめた。本当に良い友を持ったもんだ。
「終わったらジュースおごるね」
「私の労働はジュース1本かい!」
「分かった分かった、ポテトチップスも追加ね」
その後数時間がすぎ、
「よし終わった!」
あかりははゴロンと背中をつけ寝転がった
「ありがとう!」
私は手を合わせ、頭を深々と下げた。
あかりが目をつぶり寝転がってる姿を見てふと気づいた。
来年の夏は受験の年だから宿題はない。
だからあかりに宿題を手伝ってもらうのはこれが最後。なんだかさみしいな。
17歳の夏、あかりと共闘した思い出が一番心に残るかもしれない。
「さみしいとか言うな! 後、共闘って意味間違ってるよ?あんたの敵(宿題)なんだよ?私は本当なら関係ないんだよ?」
「ごめん、ごめん、ってなんで私の心読めてるのよー」
おわり




