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宿題キャンセルチケット

昼休み、男子児童2人、たけるとまなぶは教室でしゃべっていた。





「ホント、宿題ダルない? 今日の1時間目から4時間目全部宿題出されたし」




たけるはため息をついた。




「あー僕大丈夫。宿題キャンセルチケットあるから」




「まじか、まだ持ってるんか」




宿題キャンセルチケットは半年前の学年集会で教頭が発表したものだ。




「これがあれば今日一日の宿題を出さなくて済むことができるんだよ! 児童諸君」




「おおお!」




児童全員の目は教頭が手にしているチケットに釘付けとなった




「これは2週間に1度、全員に1枚ずつ配布しよう。児童諸君、有意義に使ってくれー」






「あれ、使ったんだよな、先週に」


「俺も先週使ったよ。で今週はおととい使ったよ」


「ちょっと待て、それで明日も使うってことか?」


「うん!」




まなぶはグッドポーズをとった。




「どうしてそんな持ってるんだよ、今までよう使わず我慢してたな」


「我慢なんてしてないよ。定期的に使ってるよ」


「なんでだよ。2週間に1回しかもらえないんだぞ? そんなバンバン使えないだろ?」


「それが使えるんだなぁー」




まなぶは得意げに笑った。




「どういうこと?」


「じゃあ放課後、〇〇公園に行こうか」


「〇〇公園に? なんで?」


「まぁ行ってみたら分かるよ」





放課後となった。2人は〇〇公園に着いた。




「公園来たけどどうするんだ」




「えっと、もうすぐ来ると思うんだけど」




「来る?」




「あっ来た来た、あかねちゃん!」




まなぶが声をかけた相手はクラスの学級委員であるあかねだった。




「まなぶ君、今日も買うの?」


「ううん、違うよ。たける君に紹介したくて」


「ちょっと待って、お二人さん」




たけるはまなぶとあかねの顔を交互に見た。




「まさかチケットを売ってるの?」




「ええそうよ、たける君」




あかねは少し微笑んだ。




「私は、キャンセルチケットを使わない児童から買い取って、欲しい人に売っているのよ」


「転売ヤーやないかい!」


「あら人聞き悪いわ。チケットを欲しい人はもちろん、宿題を我慢してやってお金をためたい人にとっても私の商売はありがたいのよ。そう社会貢献なのよ」


「社会貢献って。これ、違法じゃ…」


「グレーね。売ったらいけないって校則はないんだから。まぁ念の為校外で取引を行ってるけど」


「学級委員がこんなことやってるなんて…」


「で、買うの、買わないの?」


「おぅ、買おうじゃないか。何円や?」


「1万円ね」


「なるほど、じゃあ財布から……てちょっと待て!」


たけるは叫んだ。


「1万? 俺たち小学生だぞ、数百円の世界で生きているのが小学生なんだぞ!?」


「あら払えないの? 残念」


「おい、まなぶ、お前よう払えたな!」


「あーだってうち小遣い1ヶ月50万円だからね。たける君は違うの?」


「違うわ!」




宿題キャンセルチケット。教頭は良かれと思って作ったが結果、格差社会を露呈することになってしまった……

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