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分かれ道
2つの道の分岐点におじさんと少年が立っている。
おじさんが一つの道に向かっておもむろに歩きだした。少年はそれを見て思わず声をかけた。
「おじさん坂道行くの? こっちの道の方が平坦で楽だと思うよ」
「小僧、平坦な道に見えるだろ。でもなこの道、実は下り坂なんだよ。知らぬ間に徐々に下がっていくんだよ。だから俺は坂道を選ぶよ。いい景色みたいからな」
「どっちも結局は同じ目的地に着くからこっちの楽な道のほうが良いのに」
「ハハハ、それはそうかもしれない。でも目的地までの道のりの途中の景色が大事なんだ。いろんな素晴らしい景色を見たいんだよ」
おじさんはそう言って立ち去った。
その後少年はどちらの道を選んだかは誰も知らない。